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かつて分断区間があった!?北海道“陸の孤島”と呼ばれた雄冬地域の交通手段とは?「国道231号」の歴史を紐解く旅

かつて分断区間があった!?北海道“陸の孤島”と呼ばれた雄冬地域の交通手段とは?「国道231号」の歴史を紐解く旅
CBCテレビ『道との遭遇』

ミキの昴生と亜生がMCを務める、全国の道に特化したバラエティ番組『道との遭遇』。今回は、YouTubeチャンネル「おもしろ地理」でさまざまな道を紹介している道マニア歴23年のかずまるさんが、北海道にある「国道231号」の歴史を紐解きます。

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【動画】“陸の孤島”時代、どうやって移動していた?知る人ぞ知る当時の交通手段とは【12分27秒~】

「国道231号」は幻の国道だった!?分断区間を現地調査

CBCテレビ『道との遭遇』

バスの運転手だった祖父から、道路や地理の面白さを教えてもらったというかずまるさん。その祖父が亡くなり、遺品整理をしていたところ…

(道マニア・かずまるさん)
「50年前の地図を見つけた。北海道の道路総図を見ると、基本的に今の国道はだいたい開通しているが、日本海側を走っている国道231号の一部が途切れている。ここだけ開通していなかったことにびっくりして、面白い歴史がありそうだなと」

CBCテレビ『道との遭遇』

札幌市と留萌市(るもいし)を結ぶ国道231号。1976年発行の北海道の地図から、かずまるさんは国道231号の分断された区間に注目。この地域が気になり、時代を遡って調べてみると他にも分断区間があり、“幻の国道”と言われていたことが分かったそう。

中でも着目したのは、石狩市浜益区と増毛(ましけ)町の市町界を跨ぐ「雄冬(おふゆ)」。分断区間に挟まれ、他の地域とつなぐ陸路がなかった“陸の孤島”は、トンネルの開通前はどのように移動していたのか?かずまるさんはその謎を解明するため、国道231号を現地調査することに。

一日1便の定期船便で移動 “陸の孤島”と呼ばれた雄冬地区の生活

CBCテレビ『道との遭遇』

かずまるさんは、石狩市から国道231号を北上し、かつて分断されていた雄冬の南側へ。

(道マニア・かずまるさん)
「非常に風光明媚な道で、北海道の中でも一番と言っていいドライブルート。水平線が見えるんですよね」

国道231号を含む通称「日本海オロロンライン」は、日本海沿いを通って稚内まで290kmも続くため、絶景が途切れないルートとして人気です。そして、かつて分断されていた区間に突入。トンネルを抜けた先の雄冬岬から、分断されていた区間をじっくり観察します。

CBCテレビ『道との遭遇』

現在は「浜益(はまます)トンネル」という名前ですが、もともとは「雄冬岬トンネル」という名前で1981年に開通しました。

ここは国道231号最後の不通区間でしたが、トンネルの開通によって、札幌方面と繋がる2車線道路が全線開通。

急峻な地形だけでなく豪雪地帯でもあるため、この場所は難攻不落と言われましたが、9年の歳月をかけ見事に攻略。住民にとって100年越しの悲願だったため、雄冬岬には国道開通を記念した石碑が建てられています。

古くからニシン漁で栄えてきた雄冬には、かつて400人ほどの住民がいたそうですが、現在は40人以下にまで減っているそう。陸の孤島・雄冬の住民はかつて、どんな交通手段を使い、どのように暮らしてきたのか?

CBCテレビ『道との遭遇』

周辺の住民によると、国道が分断されていた時代は、毎日港から定期船が出ており、それに乗るのが他の地域へ行く主な交通手段だったとのこと。しかし、札幌方面への船は出ていなかったため、北の増毛(ましけ)へ船で行き、そこからバスで移動する必要があったと言います。

地域住民が株主となり設立された海運会社が、定期船を運航していたそうで、一度に乗れるのは30人ほど。雄冬から増毛までの26kmの航路を、1時間半かけて運航していました。

一日1往復の定期船も、天候や波などの状況によって出航時間が変更。掲がる旗の色によって、出航時間が決まっていたそう。1981年に国道が全線開通した後も、定期船はしばらく運航されていましたが、会社設立から34年経った1991年に廃止となりました。

CBCテレビ『道との遭遇』

道路の建設には、曳舟(ひきぶね)や海上作業用の箱船を使って資材を運び入れ、コンクリートを製造するコンクリートプラントが造られたのだとか。コンクリートの材料となる石は現地で採掘し、その場所は現在「雄冬岬 岩石公園」になっています。

CBCテレビ『道との遭遇』

しかし、長い年月をかけて造られたトンネルに不運の出来事が。開通からたった40日後に土砂崩れが起き、トンネルの一部が崩落。通行止めになり、再び国道は分断されました。

早急に復旧工事を行うため、海沿いに工事車両専用の道路を造り、そこを地域住民も通れるようにしてもらえたそう。そして、約2年後の1983年12月。復旧工事が終わり、冬季閉鎖期間を経て、翌年の5月に再び開通することができました。

特別潜入!国道231号の旧道区間へ

CBCテレビ『道との遭遇』

続いては、国道231号の旧道区間へ。現在は海沿いを真っ直ぐ通る道ができていますが、かつては曲がりくねった道がメインルートで、かずまるさんは以前から地図を見て気になっていたそう。現在旧道はほとんど閉鎖されていますが、特別に許可をいただき入らせてもらうことに。

(道マニア・かずまるさん)
「地図で気になっていた所を走れるってすごい」

CBCテレビ『道との遭遇』

枝や石が道に落ちているものの、想像していたよりも荒れておらず、車で走行。道沿いには、今では使われていない配色の標識も。「これが国道なら酷道」と、かずまるさんは旧道のドライブを楽しみます。

祖父の遺品がきっかけで始まった国道231号の調査。今回を通し、これまで知らなかった歴史を知ることができました。

(道マニア・かずまるさん)
「祖父が道路好きだったので、僕も道路が好きになった。祖父がいなかったら今の僕はない。これからも祖父の遺志を引き継いで、いろんな道路をめぐって行こうと思えた旅でした」

CBCテレビ「道との遭遇」2025年6月10日(火)午後11時56分放送より

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