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今夜を乗り越えるための“灯(ともしび)”。「夜泣きカフェオリヅロウ」が親子に届けるもの

今夜を乗り越えるための“灯(ともしび)”。「夜泣きカフェオリヅロウ」が親子に届けるもの
CBCテレビ me:tone編集部

夜中、泣き止まない赤ちゃんを抱きながら、部屋の中を歩き続ける。家族も街も眠っている時間、世の中で自分だけが起きているような孤独を感じることもあるかもしれません。

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「夜泣きはいつか終わるよ」「今だけだから」と声をかけられても、つらいのは今、この夜。「わずかな時間でも横になりたい」と、切実に願っている人もいるのではないでしょうか。

名古屋市を中心に活動する「夜泣きカフェオリヅロウ」は、夜泣きに悩む親子を受け入れる“夜の居場所”です。親子が同じ空間で過ごしながら、母親が少し横になったり、お茶を飲んだりできるよう、運営者が見守ります。

立ち上げたのは、現在も子育て中の朝倉博巳さんと、愛知県子育て支援員でもある荒井智子さん。2人が目指しているのは、「今夜をひとりで抱え込まなくてもいい」と思える場所をつくることです。

身近な「隣の女性」が持つリアルな本音を伝え、「今」を生きる女性たちを応援したい——そんな思いからCBCテレビが立ち上げた「me:tone編集部」が、朝倉さんと荒井さんに話を伺いました。

泣き止まない夜に、行ってもいい場所がある

CBCテレビ me:tone編集部

「夜泣きカフェオリヅロウ」は、月に1回ほど、土曜日の午後10時から翌朝7時まで開催しています。利用料金は1回2,500円。参加者には、協賛先の商品やサービスに使える2,500円分のクーポンが渡されます。

開催場所は固定せず、協賛先や協力者が提供するスペースを借りて、名古屋市千種区や尾張旭市などで開催。詳しい場所は公開しておらず、公式LINEから予約した人だけにお知らせしています。夜間に母親と赤ちゃんが利用する場だからこその、防犯面の配慮です。

運営は朝倉さんと荒井さんの2人体制であるため、1回の開催で受け入れられる親子は3組ほどです。

朝倉さん:「大切なのは、いざというときに受け入れる場があることです。それが安心感や、『明日もがんばろう』と思える力につながります」

「夜に開いている場所がある」「行ってもいい場所がある」と知っているだけでも、長い夜を過ごす親にとって、一つのお守りになると考えています。

未来の話より、今夜をどう乗り越えるか

CBCテレビ me:tone編集部

夜泣きカフェを始めたきっかけは、朝倉さん自身の経験でした。

現在1歳の子どもを育てている朝倉さんは、夜泣きに悩む当事者でもあります。悩んだ末に周囲に相談すると、「1歳を過ぎたらおさまるから、もうちょっとだよ」「2年もしたら忘れるよ」と言われることがあったそうです。

励ましの言葉だと分かっていても、当時の朝倉さんに必要だったのは、先の見通しではなく、目の前の夜を乗り切るための助けでした。

朝倉さん:「未来の話なんていらないと感じました。今日、この夜が大変なんです」

あと1年。あと2年。そう言われるほど、「まだそんなに続くのか」と追いつめられていく感覚もあったといいます。

夜泣きの大変さは、赤ちゃんが泣くことだけではありません。眠れないまま朝を迎えること。隣で眠る家族の気配に、気持ちがざわつくこと。自分の対応が悪いのではないかと責めてしまうこと。その時間を、ひとりで抱え続ける苦しさがありました。

気持ちが限界に近づいたとき、「先輩ママたちに少し助けてもらえたら、1時間でも2時間でも、自分の時間ができるかもしれない」と考え、子育ての先輩である荒井さんに助けを求めました。これが夜泣きカフェの原点です。

朝倉さんは、自分を「一番の夜泣きカフェユーザー」と表現します。だからこそ、夜泣きで悩んでいる親に必要なものが、体感として分かるのかもしれません。

託児ではなく、親子で過ごす「寄り合い」

CBCテレビ me:tone編集部

「オリヅロウ」では、母親と赤ちゃんを別室に分けず、同じ空間で過ごします。赤ちゃんは母親の気配を近くに感じられ、母親も必要なときにすぐそばにいられます。そのうえで、運営者が抱っこを代わったり、見守ったりしながら、母親が少し横になれる時間をつくっています。

荒井さん:「ホテルステイや託児とは違います。昔でいう寺子屋というか、寄り合いのようなイメージです」

かつては、近所の人が「ちょっと見ているから、お風呂に入っておいで」と声をかける関係がありました。今は、核家族化や転勤などで、身近に頼れる人がいない家庭もあります。「オリヅロウ」が目指しているのは、そうした近所づきあいのような距離感です。

支えたい相手は、母親だけではありません。

荒井さん:「夜泣きで大変なのは、パパも同じです。夜泣きカフェに来られるのは女性だけですが、パパも助けたいという思いで運営しています」

母親と赤ちゃんが夜泣きカフェで過ごす間、父親やほかの家族も体を休められます。母親だけではなく、家族全体に少し余白が生まれることも、土曜日の夜に開催する理由の一つです。

来ても来なくても、あると知っているだけで支えになる

CBCテレビ me:tone編集部

利用者の中には、感想を言葉にする余裕もなく、ただ少し横になるだけで精一杯という人もいます。それでも、帰る頃には「ちょっと寝られてよかった」という声が届くことがあるそうです。

朝倉さん:「一晩で疲れが完全に回復するわけではありません。それでも、夜泣きカフェという存在自体に意味があると考えています」

荒井さんは、夜泣きで寝ない子どもを車に乗せてドライブする親に気持ちを寄せます。

荒井さん:「立ち寄ったコンビニでスマホを開いたときに、夜泣きカフェが開いていると知るだけでも、『大変なのは自分だけじゃないんだ』ってほんの少し気が楽になるかもしれません。実際に来なくても、『もう1周して帰ろう』と思えたら、それで十分です」

夜泣きカフェは、夜泣きをなくす場所ではありません。開催日も限られています。それでも、夜のどこかに灯りをつけて待っている人がいる。その存在を知っていることが、今夜を乗り越える小さなお守りになるのかもしれません。

夜泣きの夜は長い。でも、その長い夜を、ひとりきりで越えなくてもいい。「オリヅロウ」が目指しているのは、そんな夜の小さな“灯(ともしび)”です。

後半では、活動を支える人たちにも話を聞き、地域の中でそれぞれができる子育て支援の形を考えます。

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