大病のサイン!?危険な「むくみ」の見分け方…冬に大敵!むくみの原因と対策
身近な健康問題とその改善法を、様々なテーマで紹介する番組『健康カプセル!ゲンキの時間』。
メインMCに石丸幹二さん、サブMCは坂下千里子さんです。
ドクターは、東京血管外科クリニック 連携主任医師 医学博士 榊原直樹先生です。
今回のテーマは「〜顔や脚がパンパン!放置は危険!?〜“むくみ外来”で学ぶ!原因と対策」
正月明けの寒い時期に気になるのが顔や脚の「むくみ」。全国でむくみに困っている人は、脚だけで380万人と言われているそうです。むくみは誰もが起こる生理的な現象ですが、脚が太く見えるなど見た目の問題だけではなく、危険な病が隠れている可能性もあり、放置すると最悪の場合命に関わる事もあるのだとか。そこで今回は、冬に大敵なむくみの原因と対策を専門医に教えてもらいました。
むくみの基礎知識
<むくみとは何?>
むくみは、動脈から戻ってきた血液中の水分が毛細血管から染み出し、静脈やリンパ管などに回収されず溜まってしまうことを言うそうです。その水分は、脂肪にどんどん蓄積されていくのだとか。すると、脂肪が膨らんでむくみという状態になるそうです。
<寒い時期はむくみやすい!?>
寒い時期は、血管が縮まりやすく血液の通りが悪くなるため、脂肪に溜まった水分が回収されにくくなってしまい、むくみやすくなるそうです。
むくみチェック
先生がむくみ外来で行なっている診断の流れは下記の通り。(1)をセルフチェックする事で病院に行くレベルなのかを確認する事ができるそうです。
(1)脚のすねの内側を5秒間強めに押し凹みの戻る秒数を確認
・凹みが10〜15秒で戻る→正常なむくみ(※一部例外あり)
・凹みが15秒以上戻らない、凹まない→超音波エコー検査を実施
セルフチェックで凹みが15秒以上戻らない場合は、強いむくみ症状が出ているので病院で診てもらいましょう。
(2)超音波エコー検査を行い 血液が静脈を流れる時の音で血管異常を確認
・異常あり→下肢静脈瘤など
・異常なし→内臓疾患・生活習慣病など
むくみの原因(1)長時間の同じ姿勢
先生によると、立ちっぱなしや座りっぱなしの運動不足の状態は、脚にとっては心臓が止まっているのと同じ。血液は重力によって脚に溜まりやすいのですが、ふくらはぎの筋肉が動くことでポンプのように心臓へと戻しています。しかし、足を動かさない時間が長くなると、ポンプとしての役割が果たせず血液内の水分が脚にとどまり、むくんでしまうそうです。
<超簡単むくみ改善法「かかと上げ体操」>
▼壁などに手を添えて立つ
▼ふくらはぎの筋肉を意識し かかとを上下させる
▼上記を1時間ごとに3分間ほど行う
この体操を行うことで、ふくらはぎの血流が促されてむくみ改善につながるとの事。座っている時間が長い人は、椅子に座ったまま同じようにかかとを上げ下げすると効果的だそうです。
朝の顔のむくみはなぜ起こる?
朝の顔のむくみは、重力によって身体の下に溜まっていた水分が血液を介して眠っている間に顔に上がってくるため起こるそうです。
<痩せ型の人は朝に顔がむくみやすい!?>
肥満型の人は顔の脂肪量が多いため、水分を含んだ血液が顔を通って脂肪に入り込んだ際に脂肪があまり膨らまないそうです。一方、痩せ型の人は顔の脂肪量が少ないため、水分が脂肪に入り込んだ時に膨らむ部分が多くむくみを感じやすいのだとか。先生によると、朝だけ顔がむくむ場合は、正常の範囲内。顔のむくみが朝だけでなく1日中気になる場合は、内臓疾患など危険なむくみの可能性があるので、内科などを受診するのがおすすめだそうです。
むくみの原因(2)下肢静脈瘤
<下肢静脈瘤とは?>
下肢静脈瘤とは、脚の静脈にある血液の逆流を防ぐための弁が壊れてしまい、脚の血管が浮き出て目立つ病気。むくみの症状が出る原因の1つで、血管がコブのような状態になってしまうのが特徴だそうです。悪化すると、皮膚炎や潰瘍などの症状が現れる可能性もあるのだとか。ただし、痩せ型の人の場合は脂肪が少ないため、下肢静脈瘤でなくても脚の血管が浮き出ることがあるそうです。
<下肢静脈瘤のセルフチェック>
▼脚の表面の血管(静脈)の上部分を押さえる
▼血管が徐々に見えなくなるかを確認する
脚の血液は、通常下から心臓(上)に向かって流れているので、血管が見えたままの場合は問題なし。血管が徐々に見えなくなる場合は、血液の逆流が起きていると考えられるため下肢静脈瘤の可能性があるそうです。
<病院での検査がおすすめ>
先生によると、下肢静脈瘤は、現在保険での治療が可能との事。「血管が浮き出てボコボコしている」「細かい血管が蜘蛛の巣のように透けて見える」などの症状がある場合は、血管外科・循環器内科・皮膚科などで一度検査を受けるのがおすすめだそうです。
意外な大病のサイン!?危険なむくみの見分け方
むくみが出る症状の病気は他にもあり、それぞれ見分け方があるそうです。下記の症状に該当する場合は、血管外科もしくは循環器内科で一度受診しましょう。
<(1)脚のむくみ+動悸=心臓病>
脚のむくみに動悸が組み合わさった時に考えられる病気は心臓病だそうです。
<(2)脚のむくみ+黄疸=肝臓病>
顔や身体が黄色くなる黄疸症状が伴うむくみの場合は、肝臓病の恐れがあるそうです。
<(3)脚・顔など全体のむくみ+尿が泡立つ=腎臓病>
腎臓には、身体の余分な水分を尿として排出する機能があります。しかし、腎臓の機能が落ちてしまうと余分な水分を尿として排出できなくなってしまうのだか。すると、行き場のなくなった水分が身体に溜まり、むくみにつながるそうです。
脂肪と合体したむくみ「脂肪性浮腫」
<脂肪性浮腫とは?>
脂肪性浮腫とは、むくみが慢性的に続くことで脂肪と水分が合体し、血液では水分が回収されなくなってしまう疾患。女性に多い疾患で、すねの内側を押しても凹まず、すぐ戻ってしまうこともあるそうです。
<脂肪性浮腫の原因は?>
脂肪性浮腫の原因には、運動不足や食生活などがあるそうです。食生活では、塩分の摂り過ぎに要注意。塩分を摂取すると、身体が塩分濃度を調整しようと水分をたくさん蓄えてしまい、むくみにつながるのだとか。ちなみに、先生によると飲み過ぎた翌朝に顔がむくむのは、アルコールではなく一緒に食べる塩分の多いおつまみなどが主な原因だそうです。
むくみ改善の食生活アドバイス
<食生活改善ポイント(1)カリウム>
カリウムは、細胞内に水分を溜め込もうとするナトリウムを排出してくれる働きがあるため、むくみ対策に効果的。塩分多めの食事が中心の人は、減塩はもちろんですがカリウムを含んだ野菜や果物などを一緒に摂るのがおすすめだそうです。カリウムが多く含まれている食材には、小松菜・生姜・バナナ・ミカンなどがあります(※腎臓に疾患のある人はカリウムの摂取に注意してください)
<食生活改善ポイント(2)ポリフェノール>
ワインや緑茶などに含まれるポリフェノールは、血管を広げて血流を良くする効果があるため、むくみ改善効果が期待できるのだとか。高カカオのビターチョコレートにもポリフェノールが多く含まれており、1日に小袋4つ程度を分けて食べるのがおすすめだそうです。
<糖分の摂り過ぎにも要注意>
先生によると、塩分だけでなく糖分の摂り過ぎにも注意が必要だそうです。糖質を摂ると血糖値を下げるため、身体はインスリンを分泌します。インスリンには塩分の吸収を促進させる効果があるため、むくみにつながってしまうのだとか。そのため、減塩・減糖を心がけることが大切だそうです。
自宅で簡単!この冬やりたい「むくみ改善法」
<(1)お風呂でストレッチ>
湯船につかった状態でつま先を上下させましょう。ふくらはぎだけでなく、すねの前面にある前脛骨筋を動かすのもむくみ改善に効果的なのだとか。お風呂の中でバタ足のようにつま先を動かすことで、より効果が期待できるそうです。
<(2)深呼吸>
深呼吸をすると全身の血液の巡りが良くなるので、むくみ改善につながるのだとか。1日3回ほど深呼吸をするだけでも効果が期待できるそうです。
<(3)ゴキブリ体操>
▼床に仰向けに寝る
▼両手と両脚を上に上げる
▼両手と両脚をバタバタと震わせる
ゴキブリ体操は、休憩を挟みながら約3分間行いましょう。両手脚をバタバタ震わせる事で、水分を含んだ血液が心臓に戻りやすくなり、むくみ改善につながるそうです。
<(4)耳を動かす>
両耳を軽く引っ張って回すと顔の血流が良くなり、顔のむくみ改善につながるそうです。
(2025年1月12日(日)放送 CBCテレビ『健康カプセル!ゲンキの時間』より)