がん?ただの風邪?見分けるポイントは「2週間」...専門医に学ぶ!がんの見分け方や早期発見の方法
サマリーSummary
ドクター:銀座東京クリニック 院長/医学博士 福田一典
身近な健康問題とその改善法を、様々なテーマで紹介する番組『健康カプセル!ゲンキの時間』。
メインMCに石丸幹二さん、サブMCは坂下千里子さんです。
ドクターは銀座東京クリニック 院長 医学博士 福田一典先生です。
今回のテーマは「〜早期発見が命を守る!〜経験者が明かすがんのサイン」
日本人に最も多い死因「がん」。今や2人に1人がかかるとも言われています。辛い治療を強いられないために何よりも大切なのは「早期発見」。そのためには、定期検診はもちろん、がんのサインにいち早く気づく事が大事だそうです。そこで今回は、がんの見分け方や早期発見の方法を専門医に教えてもらいました。
がんの基礎知識
<がんは誰にでも起こり得る病気>
先生によると、私たちの身体の中でがん細胞は絶えず発生しているそうです。普段は、免疫細胞がそれらを退治しているそうですが、老化・ストレスなどで免疫力が低下すると、がん細胞を退治できずに増殖。これががんになるのだとか。そのため、がんは誰にでも発生する可能性がある病気だそうです。
<がんは早期発見が大切>
先生によると、がんのステージ1の5年生存率は80%以上。なかには5年生存率が90%以上のがんもあるとの事。そのため、早く見つければ見つけるほど手遅れにならずにがんを克服できるそうです。
血液のがん「悪性リンパ腫」サインは倦怠感・微熱・しこり
がんの種類によっては、自身でサインに気付き治療につなげられるケースがあるそうです。そのうちの1つが「悪性リンパ腫」。そのサインは、倦怠感・微熱・しこりなどがあるそうです。
<悪性リンパ腫とは>
悪性リンパ腫とは、血液の白血球の一種「リンパ球」のがん。リンパ節の多い「脇」「首」「脚の付け根」にリンパ節の腫れとして見つかる事が多いのだとか。悪性リンパ腫のしこりの多くは、特に痛みがないまま徐々に大きくなります。そのスピードは、リンパ腫の種類によって年単位でゆっくり進行するものから、月や週単位で進行するものまであるそうです。
<悪性リンパ腫が発生する場所>
悪性リンパ腫は脇・首・脚の付け根以外に、ひ臓・胃・腸管・骨髄・肺・肝臓など、全身のリンパ組織に発生するそうです。
<微熱・倦怠感とがんの関係>
体内にがん細胞がいると、免疫細胞ががん細胞を攻撃する時に炎症性の物質が生まれ熱を産生するそうです。それを「腫瘍熱」といい、全身症状として微熱・倦怠感が出るそうです。
目に付きやすいがんの症状
悪性リンパ腫のしこり以外にも目につきやすいがんがあるそうです。
<目に付きやすいがんの症状(※一部)>
・乳がん →しこり
・子宮体がん →不正出血
・膀胱がん →血尿・尿閉
・舌がん →長引く口内炎
・皮膚がん →いびつな形のほくろ
がん?ただの風邪?見分けるポイントは「2週間」
先生によると、基本的に症状が2週間以上続く時はがんを含めて重大な病気が隠れている可能性があるため、検査をした方が良いそうです。例えば普通の風邪であった場合、どんなに酷くても2週間以内で徐々に治まります。対してがん由来の症状の場合、がん細胞はどんどん増殖するため、症状が持続・もしくはひどくなるのだとか。どんな症状がどの程度続いているかを記録し、気になればすぐに病院へ行く事が大切だそうです。
多くのがんは初期症状がない!?
がんは初期症状が出ない事の方が多いそうです。がんの死亡者数が多い「肺がん」「大腸がん」「胃がん」「すい臓がん」「肝臓がん」なども、前触れがないまま進行するケースがほとんど。多くの場合は、何らかの症状が出た時にはがんが進行しているのだとか。そこで大事なのがたとえ早期でなくても現れたサインが、がんなのではと疑う事だそうです。
初期症状のない「肺腺がん」サインは倦怠感・微熱・咳
初期症状の出ないがんのうちの1つが「肺腺がん」。そのサインには、倦怠感・微熱・咳などがあるそうです。
<肺腺がんとは?>
肺がんには中心型と末梢型の2つがあるそうです。中心型は、肺の入り口の太い気管支などにできるがん。多くの原因が喫煙で、初期の段階で咳などの症状が出やすいといわれています。一方、末梢型は肺の奥にできるがん。肺腺がんも末梢型で、ある程度大きくならないと症状が出ないことが多く、何かしら出た時にはかなり進行しているケースが多いとの事。原因は生活習慣などハッキリ分かっていないそうです。
<末梢型の肺腺がんを早期発見する方法>
先生によると、末梢型の肺腺がんを早期発見する方法は「X線検査」。がんが心臓などの臓器に隠れやすい中心型と比べ、末梢型は早期に見つかりやすいそうです。
早期発見で命を守る!受けるべきがんの検査項目
がんの検査を受ける事が、早期発見のためにはとても大切だそうです。胃がんの場合は、50歳以上で2年に1回の検査が推奨。肺がん・大腸がんは40歳以上で1年に1回。乳がんの場合は40歳以上で2年に1回、子宮頚がんは20歳以上で2年に1回の検査が推奨されているとの事です。
<がんの検査項目一覧>(※問診を含む)
肺がん→ 胸部X線検査・喀痰細胞診(痰の成分を検査※対象者のみ)
大腸がん→ 便潜血検査
胃がん→ 胃部X線検査・胃内視鏡検査
乳がん→ マンモグラフィ
子宮頚がん→子宮頸部の細胞診・視診・内診
がんにならないために!気を付けるべき生活習慣
検査も大事ですが、がんにならないために生活習慣にも気を付けましょう。
<がんにならない身体づくり>
・禁煙(副流煙にも注意)
・お酒は適量を守る
・バランスの良い食事(野菜・果物が不足しないよう十分摂る)
・減塩
・適度な運動
・適切な体重を維持する
たった1滴の唾液で分かる!自宅でできるがんリスク検査
がんの早期発見法には、近年革命的な事も起こっているそうです。それが、自宅でできるがんリスク検査キット「サリバチェッカー」。2020年から実用化され、1滴の唾液で死亡上位5種を含む6種類のがん(肺がん・すい臓がん・胃がん・大腸がん・乳がん・口腔がん)に今かかっているかどうかのリスクが分かるのだとか。自宅で唾液を採取して返送すれば、約2〜3週間で結果が手元に届くそうです。(※必ずがんを発見できるという検査ではありません。※病気の診断には医療機関での診察が必要です)
<なぜ唾液でがんのリスクが分かる!?>
がん細胞からは特徴的な代謝物が出ているそうです。その代謝物が血液中を回って唾液に出てくるので、代謝物の量を健康な人と比較してAIが解析・リスクを判定するのだとか。結果はABCDで判定。病気の診断には医療機関での診察が必要になるので、リスクが高いとされるCやDの場合は、病院で詳しい検査を。そのきっかけ作りのための唾液リスク検査だそうです。
<検査費用は?>
検査費用は2万円ほど(※医療機関によって異なります)。結果の見方が分からない場合は、看護師や専門スタッフによる無料のオンライン相談を受ける事もできるそうです。(※自宅で検査する他、近くの提携している医療機関で申し込む事もできます)(※保険適用外です)
(2023年9月10日(日)放送 CBCテレビ『健康カプセル!ゲンキの時間』より)