ガンコな便秘を改善!大腸を動かす3つの極意…「大腸の砂漠化」を防げ!夏の便秘改善法
サマリーSummary
ドクター:国立消化器・内視鏡クリニック 院長/医学博士 吉汲祐加子
身近な健康問題とその改善法を、様々なテーマで紹介する番組『健康カプセル!ゲンキの時間』。
メインMCに石丸幹二さん、サブMCは坂下千里子さんです。ドクターは国立消化器・内視鏡クリニック 院長 医学博士 吉汲祐加子先生です。
今回のテーマは「〜砂漠化を防げ!〜夏の便秘改善」
夏は大量の汗をかく事で大腸の中がカラカラに乾いてしまう事があるそうです。それが「大腸の砂漠化」。大腸が砂漠化すると便秘につながります。すると、食欲が落ち免疫力や認知機能の低下など、全身の不調につながる可能性もあるのだとか。そこで今回は、夏の便秘改善法を専門医に教えてもらいました。
便秘について
<便秘の定義は?>
先生によると、毎日排便があっても残便感などの症状がある場合は便秘に当てはまるそうです。3日に1度も排便がない場合は、便秘としては重症なのだとか。また、便秘に悩む人は年齢を重ねるほど増加し、70代を過ぎると男女の数に差がなくなるというデータもあるそうです。
<便秘と不調の関係>
腸には身体にある免疫細胞の約7割が集中しており、便秘で腸内環境が悪化すると免疫力の低下につながる恐れがあるのだとか。また、大腸は脳とお互いに影響し合う「脳腸相関」といわれる関係にあり、認知症患者で慢性的な便秘がある人はそうでない人に比べ認知機能の低下が2.7倍早くなるという研究報告もあるそうです。
あなたの腸もカラッカラ!?便の形でチェック
便の形が下記のどれに当てはまるか確認してみましょう。
<便の形>
(1)コロコロ
(2)硬い
(3)表面にひび割れ
(4)バナナ
(5)軟らかい
(6)泥状
(7)水様
<結果>
(1)(2)の場合は、大腸が砂漠化している可能性があります。大腸の砂漠化が進むと便に含まれる水分が失われ、硬く出にくい便に変わってしまうそうです。
(3)(4)(5)は正常範囲。なかでも(4)が最も良いそうです。
(6)(7)の場合は、腸内環境が悪化している可能性があるそうです。
大腸の砂漠化の原因
<原因は大腸に水分が届かない>
水分は小腸で90%吸収され、大腸に届くのはわずか10%だそうです。そのため、1Lの水を飲んでも大腸に届く水の量はコップ1杯にも満たないのだとか。特に夏場は汗をかくので、大腸に届く水分量はさらに少なくなってしまうそうです。
<夏場の汗だけじゃない!大腸に水分が届かない原因>
(1)食事を抜く
成人の場合、1日に約2.5Lの水分が必要といわれています(※年齢・性別・体重などで変わります)。そのうち水などから得られる水分は約1.5L。残りの水分は食事などから得ていますが、夏バテなどで食事量や回数が減るとその分水分が足りなくなってしまうそうです。
(2)アルコール
アルコールは水分ではありますが、利尿作用があるので飲んだ以上の水分が失われてしまうそうです。アルコールを摂取する際は、同じ量の水を飲むように心がけましょう。
夏に便秘がひどくなる意外な落とし穴
<夏便秘の原因(1)大腸の動きが鈍る>
暑い屋外や冷房が効いた室内などを行ったり来たりすると、体温調整を行う自律神経が乱れてしまいます。すると、便を押し出す大腸の蠕動(ぜんどう)運動が鈍り便秘の原因になってしまうのだとか。さらに、熱帯夜で寝苦しい時や旅行の時などもストレスがかかり自律神経が乱れる事があるといいます。先生によると、自律神経の乱れで起こる便秘は、便秘と下痢を繰り返すなどの症状を起こしてしまうそうです。
<夏便秘の原因(2)大腸の老化>
歳を重ねると「弛緩性(しかんせい)便秘」になりやすくなるそうです。弛緩性便秘とは、お腹周りの筋力が低下する事で大腸の蠕動運動が弱くなり、便の進みが悪くなった状態。筋力が落ちてくる高齢者や腹筋が弱い女性に多く見られる便秘だそうです。先生によると、腹筋が10回できない場合は、弛緩性便秘の可能性が高いのだとか。また、腸の老化は50歳くらいからはじまるそうですが、生活習慣の乱れなどでもっと早くはじまる事もあるそうです。
便秘を繰り返す人は注意!大腸に穴があく「憩室症」
誰もがなり得る可能性がある便秘ですが、治さずに放っておくと危険な事態になる場合もあるそうです。それが「大腸憩室症(けいしつしょう)」。大腸憩室症は、便秘や下痢を繰り返す事で大腸内の圧力が高まり、腸壁の弱い部分が外側に袋状に飛び出してしまう病気。普段は無症状ですが、憩室内が傷つくと大量に出血する事もあり、最悪死につながる事もあるそうです。気になる方は、内視鏡検査を一度受けてみましょう。憩室に出血などの恐れがある場合は、内視鏡で止血処置を行う場合もあるそうです。
ガンコな便秘を改善!大腸を動かす3つの極意
<極意その1「朝1杯の炭酸水」>
1つ目の極意は、朝にコップ1杯の炭酸水を飲む事。朝、胃が空の状態で水分を摂ると胃の下にある大腸が蠕動運動を始めます。この時に炭酸水を飲むと水よりも大腸を動かす力がアップするそうです。(※胃に不調がある方はかかりつけ医に相談の上行なってください)。コーヒーなどを飲みたい場合は、炭酸水を飲んだ後にすると良いそうです。
<極意その2「発酵性食物繊維を取り入れる」>
発酵性食物繊維とは、摂取する事によって腸内で発酵する食物繊維の事。腸内細菌に分解され発酵する際、酪酸などの短鎖脂肪酸という物質生み出します。すると、酪酸などが腸の活動のエネルギーとなり蠕動運動の活性化や悪玉菌の増殖を抑えてくれるのだとか。発酵性食物繊維は、玄米・もち麦・大豆・ゴボウ・玉ねぎなどの茶色い食品やワカメ・ヒジキなどの海藻類にも含まれています。1日1食取り入れるだけでも効果が期待できるそうです。
<極意その3「2つの腸活体操」>
腸活体操(1)お腹ひねり体操
足を肩幅ほどに開き、身体を左右に20回ひねる動きを食後などに行いましょう。この時、腕を振り上げるようにすれば、衰えた腹筋を刺激筋力不足の解消にも役立つそうです。
腸活体操(2)腸もみ体操
▼太ももの付け根に手を当て上下にさする
▼へその左側に手を当てて上下にさする
▼へその左右に手を当て上下にさする
1か所あたり1分、合計3分の体操を朝起きた時や夜眠る前に行いましょう。
改善しない時は内視鏡検査を受けましょう
先生によると、上記の改善法を実践しても便秘が改善しない場合は大腸がんの可能性も考えられるそうです。1週間以上便秘が続く方や40歳を超えた方は1度内視鏡検査を受けた方が良いとの事。検査の際には大腸を空っぽにするので腸内環境の改善にもつながるそうです。
(2023年8月20日(日)放送 CBCテレビ『健康カプセル!ゲンキの時間』より)