不調の原因を解明!消化器の旅
サマリーSummary
ドクター:東京医科大学病院 内視鏡センター部長 主任教授 医学博士 河合隆
身近な健康問題とその改善法を、様々なテーマで紹介する番組『健康カプセル!ゲンキの時間』。
メインMCに石丸幹二さん、サブMCは坂下千里子さんです。
今回のテーマは「~食道・胃から大腸まで~不調の原因を解明!消化器の旅」
春から初夏にかけては、胃腸に負担がかかりやすいシーズン。寒暖差や生活環境の変化などで自律神経が乱れやすく、胃腸に不調が出やすいのだとか。そこで今回は、胃から小腸・大腸まで「消化器」について徹底リサーチ。意外と知らない消化器の役割や気をつけたい病気などを専門医に教えてもらいました。
消化器の役割&気をつけたい病気 ~食道~
食べ物が口から入り外に出るまでの時間は、約24~48時間。距離にすると9mほどあるのだとか。食べ物が飲み込まれて、その後に進んでいく部分にあるのが「食道」です。
<食道の役割>
食道は、歯磨き粉をチューブから絞り出すように筋肉を収縮させて、食べ物を胃の方に送ります。そのため、たとえ無重力空間であっても飲み込んだ食べ物は胃に到達するのだとか。この時の筋肉の動きを「蠕動運動」というそうです。
<気をつけたい病気「逆流性食道炎」>
逆流性食道炎とは、ゲップや咳などがきっかけで胃酸が食道に逆流し、それによって食道が炎症を起こしてしまう病気。放置して慢性化すると、食道がんのリスクが上昇してしまうのだとか。脂肪分の多い食事は、胃酸が分泌されやすく逆流性食道炎になりやすいそうなので、日頃から食事に気をつけましょう。
消化器の役割&気をつけたい病気 ~胃~
食道をさらに進んで行くと「胃」があります。
<胃の役割>
胃の大きな役割は、食道から送られてきた食べ物を強い酸性の胃酸と混ぜ合わせて消化(食べ物を分解)し、腸へ送り出す事。食べ物は、胃で3~6時間ほど停滞するそうです。
<気をつけたい病気(1)「慢性胃炎」>
生活習慣などが乱れると、さまざまな胃の病気になる事があります。そのうちの1つが、慢性胃炎です。胃の粘膜が炎症を繰り返す事で起こる病気で、主な原因はピロリ菌の感染だと考えられているそうです。
<気をつけたい病気(2)「胃がん」>
胃がんは、慢性胃炎を放置すると発症しやすいとされ、塩分の多い食事や喫煙、過度な飲酒などの生活習慣も要因となるそうです。初期の状態だと自覚症状がほとんどないため、早期発見が難しいのだとか。日本消化器がん検診学会によると、自覚症状がなくても50歳以上の人は2年に1回内視鏡検査をするのがオススメだそうです。
<気をつけたい病気(3)「機能性ディスペプシア」>
機能性ディスペプシアとは、胃痛などの症状が慢性的に続いているにも関わらず内視鏡検査などでは原因が見つからない病気の事。先生によると、その原因の多くはストレスなのだとか。胃の働きは自律神経によって制御されていますが、ストレスを感じると自律神経が乱れて胃の蠕動運動が弱くなり、胃痛・胃もたれ・お腹が張るなどの不調が起きると考えられているそうです。機能性ディスペプシアを予防するために大切なのは、バランスの良い食事を朝昼晩食べる事。睡眠を6時間以上とる事。そして、医師との信頼関係も大切だそうです。
<あなたは大丈夫?「機能性ディスペプシア」セルフチェック>
下記の項目に1つでも当てはまる場合、そしてその不調や症状が1か月以上続いている場合は機能性ディスペプシアの可能性があるそうです。
□少量しか食べていないのにすぐ満腹になる
□食後 胃がもたれたり重くなったりする
□みぞおちあたりに痛みがある
□強いストレスを感じる事がある
□スパイスのきいた辛いものを好むようになった
消化器の役割&気をつけたい病気 ~十二指腸~
胃を通過して最初に到達するのが、小腸の入り口である「十二指腸」です。
<十二指腸の役割>
十二指腸の役割は、膵液や胆汁と呼ばれる消化液で、食べ物をより細かく消化する事だそうです。
<気をつけたい病気「十二指腸潰瘍」>
十二指腸潰瘍の主な原因は、過度な飲酒や喫煙、ストレスだと考えられているそうです。
消化器の役割 ~小腸~
小腸の入り口である十二指腸からさらに奥へ進んでいくと、「絨毛(じゅうもう)」と呼ばれる高さ1mm程度の突起物が無数に並んでいます。
<小腸の役割>
小腸にある絨毛の役割は、食べ物に含まれる水分とさまざまな栄養分の吸収。糖・アミノ酸・ビタミン・鉄・カルシウムなどの栄養素を5~8時間ほどかけて吸収するのだとか。小腸内部の表面積は、テニスコートとほぼ同じ。消化された食べ物と接する機会が増えるため、栄養吸収の効率が高いそうです。
消化器の役割&気をつけたい病気 ~大腸~
小腸を通過すると、「大腸」があります。
<大腸の主な役割>
大腸の主な役割は、腸内細菌などの助けも借りて消化物から水分とミネラルを吸収し、便を作り排泄する事だそうです。
<気をつけたい病気①「大腸憩室炎」>
大腸憩室炎とは、大腸の「憩室」といわれる凹みの中に細菌が繁殖して炎症を起こしてしまう病気。大腸には壁があり、その中の筋肉の部分が薄くなると凹みができてしまうのだとか。憩室ができる原因の1つは、便秘。踏ん張ると大腸の中の圧力が高くなるため、憩室が形成されやすくなるそうです。
<気をつけたい病気②「大腸がん」>
がんによる死亡数で男性3位、女性1位の「大腸がん」。その一方でステージⅠの大腸がんの場合5年生存率が95%というデータもあります。つまり、早期発見がとても大切!そのためには、40代で一度大腸内視鏡検査を受けるのがオススメだそうです。先生曰く、検査では4割近くの人にポリープが見つかるそうですが、ポリープは将来的にがんになる可能性があるものも多いため、大腸がんの発生や大腸がんによる死亡を大幅に減らす事ができるのだとか。また、腸に良いのがウォーキング。運動は大腸がんの予防につながる事が証明されているそうです。