『先発が6日間死ぬ気で調整し挑んだ1試合のために全力で神経研ぎ澄ます』松山晋也、竜の新守護神の矜持

「とある妄想しがちなファンのドラゴンズ見聞録」
CBCテレビ「サンデードラゴンズ」(毎週日曜日午後12時54分から東海エリアで生放送)を見たコラム
ドラゴンズ沖縄キャンプも終わり、プロ野球開幕までいよいよあと1ヶ月に迫った。寒波の影響はキャンプ地沖縄にも及び、ダウンを着る観客もいるほどだった。そんな調整の難しいなかではあるが、明確なポジションが決まっていない部分も多く、必死に結果を求めている姿が見られた。井上新監督になって、まだチームのカタチは明確になっていない部分はあるが、強いチームをつくるために変わろうとする熱量は全体から感じとれた。心機一転新たなチャンスを掴もうとする選手たちの大きな声が響くキャンプだった。
ライデル・マルティネスなき今、守護神となるのは…?
ライデル・マルティネス投手がジャイアンツに移籍し、ぽっかりと空いた守護神の座。井上監督から守護神候補として挙がったのは、ナッシュ・ウォルターズ投手、ジュニオル・マルテ投手、橋本侑樹投手、清水達也投手、松山晋也投手の5人。赤星氏は、その中で昨シーズン7、8回を任された実績を持つ清水投手、松山投手を当確候補として挙げた。助っ人外国人の二人について期待はあるが、日本の野球にまだ慣れていないため未知数なので、最初は清水投手、松山投手が当面の候補として最適ではないかと予想した。
守護神を任せて大丈夫?「コモドドラゴンの様な守護神に!」松山投手の自信

今回のサンドラでは、その筆頭候補とも言える松山晋也投手と吉見一起氏が『今シーズンに向けての目標や意気込み』や先発投手からの視点でのアドバイスなど、これからの松山投手の進化について語りあった模様をお届け。それではさっそく振り返る!

吉見氏「抑えをするために必要なことは?」
松山投手「ストライク率をもっと上げることとか、シンプルにボールの強さやスピード以外の部分を磨くのも大事。全球種が一級品じゃないと抑えることができないポジションかなと。」
吉見氏「ストライク率ってどれくらい必要なの?」
松山投手「80%くらい目指していかないとダメだと思う。」

松山投手の2024年シーズンのストライク率は64.8%。飛躍的な指標の向上を目標としているが、ストライク率が上がることにより奪三振数の向上や与四死球数の低減にも繋がるため、長期的な目線で投手としての質を上げることができる。オフには人体模型を購入し、動作のメカニズムを自身でも勉強するほどに研究熱心な松山投手。データも落とし込んで客観性を持った頼れる存在となるだろう。
吉見氏「ファンはライデル・マルティネス投手がいなくなって不安な気持ちがあると思うんですけど、松山投手に守護神を任せて大丈夫なのかな?と思うんですけど、どうですか?」
松山投手「任せてください!コモドドラゴンのように相手を丸呑みにする守護神になります!」
「死ぬ気でやっている先発投手のため…」ゾーンに入るための意識の集中

吉見氏「去年3月の侍ジャパンでの試合の時に、初めて松山選手の投げる姿を見させてもらって、目が合わないんですよ。あれはいつもなんですか?全然耳に入ってこないって感じ?」
松山投手「ゾーンに入っているので、死ぬ気で先発投手陣が調整してきているから。僕は先発ピッチャーの気持ちがわからないけど、6日間死ぬ気で調整してこの1試合のためにと思っているのに、僕がその1試合で潰してしまう可能性がある。その心は持っているので、全部全力で神経研ぎ澄まして、この人たちの為に!というのはある。」
分からないことを信じ大切にするために己の全力を注ぎ込むことは、頭で理想は描けても実現するのは常人には難しい。プロでもその意識を保つのは難しいだろう。『コモドドラゴン』という比喩など松山投手独自の言葉の個性が目を引くが、独自の感覚を信じて、そこに全力を注いで真摯に努力する部分があってこそ辿り着いた説得力があると改めて感じる。そんな部分にグッときて応援したくなるが、同時にその弾け散るように発揮する精神力が心配にもなる。
そんなキャラクターとは対極的な抑えピッチャーとして、長きに渡りドラゴンズを支えた岩瀬仁紀氏のことが思い出される。様々な抑えを見てきた吉見氏の視点でのアドバイスとしてこう語る。

吉見氏「(現役時代は)自分の中ではケツを拭いてもらっている感覚だった。こっちは感謝しかなかったので、そういった気持ちでいる必要はないんじゃないかと思う。常に『ガッ』ともっていくと頭が疲れると思う。頭が疲れて身体が動かなくなって、パフォーマンスが落ちていくと自分では思っていた。それはタイプがあると思うので、自分が言っていることは全て正解ではなくていいんですけど、そこまで背負わなくていいと思う。極端な話、『お前らが最後まで投げないから、俺らが投げないといけない。』ってときもあっても良いんじゃないかな。それは口に出しちゃいけないけど、それくらいの余裕を持っていかないと4、5、6年と続くと身体が悲鳴をあげるんじゃないかなと。」
吉見氏が送ったアドバイスは、勤続の負担も考えてやさしく見守るような意見だった。そんなドラゴンズを支える柱として大きく期待のかかる松山投手の公約についてはこう宣言した。
松山投手「タイトルとかって、メディアさんは言ってくれるけど、タイトルとなると僕の中でも決められないので、神様とかいうレベルの話になってくると思うので、『1安打打ちます』みたいな感じっすか?笑」
吉見氏「打席立たないでしょ笑」
松山投手「三者連続三振を3回とります!」

見えない相手ではなく、目の前のバッターとの勝負で圧倒したい!という強い気持ちが見える松山投手らしい目標だ。公約達成時には、CBCと吉見氏からのご褒美が待っている。吉見氏からは自主トレ時に松山投手が引いていた軽トラックを駐車場も借りてプレゼントするという。プロ入り後は、育成からの昇格や、昨季の開幕から2試合連続失点などの逆境を、全身全霊をかけて乗り越え目標を達成してきた松山投手。今季守護神という立場になれば、さらに緊張感のある場面でのゾーンに入ったピッチングで相手打者を圧倒してくれることだろう!真っ直ぐに熱い情熱をエネルギーとパフォーマンスにかえてファンも熱く痺れさせてほしい!
澤村桃