「まるで竜の元エースみたいやっ!」並外れた才能に川上憲伸ゾッコン!ドラ1金丸夢斗投手を大分析!
【ドラゴンズを愛して半世紀!竹内茂喜の『野球のドテ煮』】CBCテレビ「サンデードラゴンズ」(毎週日曜日12時54分から東海エリアで生放送)
ドラファン界隈は金丸一色
ドジャース世界一のニュースで沸きあがる日本列島。ただドラゴンズファン界隈だけはそれ以上に盛り上がる話題で持ちきりだ。それは書くまでもない。10月24日のドラフト会議で4球団競合の中、抽選で交渉権を獲得した金丸夢斗投手!ドラゴンズ井上一樹新監督が利き手でもある左手で引き当てた瞬間、ファンにとってはシーズンのうっぷんを晴らすくらいのアドレナリンが体中に渦巻いたはずだ。なんと今週のサンドラは金丸投手本人をスタジオに迎え本人を徹底解剖!さて一体、彼が何を語るのか楽しみだ!
青い糸で結ばれたスーパールーキー
井上新監督、会心のガッツポーズが今でも目に浮かぶ、ドラゴンズの恋人・金丸夢斗投手の交渉権獲得。まさにドラゴンズとは赤い糸ならぬ“青い糸”で結ばれていたのだろう。最速154キロのストレート、スライダー、カーブ、チェンジアップ、そしてスプリットと4種類の変化球を操り、インコース、アウトコースとも抜群の制球力を持ち合わせるアマチュア球界ナンバーワンのサウスポー。ハートの強さも超一級で、その強い志を持ったプロ魂は指名会見の場での発言にもしっかり表れていた。
金丸投手「しっかりと“勝てる投手”という目標を立てて、ドラゴンズの勝利に貢献できるよう頑張りたいと思います」
今、子供の頃からの夢をかなえ、プロの世界に飛び込む。名前にも使われている“夢”の一文字には、両親の思いが込められている。
「夢に向かって努力するであるとか、そういった男になって欲しい」
父親である雄一さんは目を赤く充血させながら語り、さらにこう付け加えた。
「(ドラゴンズ1位指名を受け)夢をつかんでくれたのは本当に感慨深いものがあります」
名は体を表す…金丸夢斗投手はその名前に込められた思いとともに夢に向かって走り続けてきた。
才能開花させた豪腕投手からのアドバイス
兵庫県神戸市出身。小学一年生から父親の勧めで野球を始めた。甲子園を目指し、神戸市立神港橘高校へ入学。しかし新型コロナの影響で高校3年の甲子園大会は中止に。夢を見ることすらできず、幻と消えた甲子園のマウンド。ただ金丸投手はあくまでもポジティブに未来の自分自身の姿を描いていた。
金丸投手「(プロを)完全に諦めた訳ではなかったです。一時“無理だな”とは思ったこともありましたが、コロナ期間を乗り越えて、その間でもしっかりと自分を追い込んで練習はしていました。もう一度本気で目指そうと思って練習していました」
転機が訪れたのは関西大学入学後。元阪急ブレーブス(現オリックス・バファローズ)で豪腕投手として鳴らした大学OBでもある山口高志さんからのアドバイスがきっかけだった。
山口さんから“試してみ”と言われ、始めたのが投球時振りかぶって投げるワインドアップ。金丸投手のフォームと合い、体重移動もしやすくなり、ボールの威力が増した。今や球界でも少数派となったワインドアップ投法が金丸投手の才能開花につながったのだ。
才能開花した大学時代
大学2年の春から3年の秋にかけて、リーグ戦で負けなしの18連勝を記録。瞬く間に“関西学生野球連盟に金丸あり”と名が広まった。無敵のサウスポーとして腕を振り続けていた当時の金丸投手を一番近くで見ていた関西大学野球部・小田洋一監督はこう語る。
小田監督「1年の秋からリーグ戦に登板して、そこから順調に階段を上って行きましたね。本当に一歩ずつ成長していったという印象が強いです」
入学当時、自信のある球はストレートだけ。勝負球となる変化球をなんとか身につけたいと練習に励んだのが、今や伝家の宝刀ともいえるスプリットだ。
金丸投手「ストレート以外でも空振りが取れるようになりました」
金丸投手の活躍は侍ジャパン井端弘和監督の耳にも届く。2024年3月、京セラドームで行われた欧州代表チームとの戦いに初招集されると、先発を任され2イニングをパーフェクトピッチング。しっかりと自分自身のパフォーマンスをマウンドで発揮できたことが、大きな自信となっていった。また一流のプロ野球選手と一緒にプレーできたことが金丸投手をさらなるステージへ進む後押しとなった。
元エースを彷彿させる“腕の振りの良さ”
プロ野球選手になるという“夢”をかなえた金丸投手。次の夢はドラゴンズを優勝に導くこと。そんな彼のピッチングについて、ゲストコメンテーターとして同席していた川上憲伸さんが解説した。
金丸投手自身、セールスポイントとして挙げたのが“ストレートの質とコントロール”。それに川上さんは付け加えるようにして、“腕の振りの良さ”を挙げた。
川上氏「ストレートがMAX154キロのスピードが出ますが、打者から見ればそれ以上の球威を感じるのではないでしょうか。腕の振りの良さが特徴ですよね。軸がしっかりしているのが、コントロールの良さにつながっています」
川上さんが例に挙げたのが、川上さん同様、ドラゴンズのエースとして活躍した今中慎二さん。
川上氏「ものすごく腕が振れるのと、リリースする瞬間にものすごく球の押し込みがいいですよね。今中さんのような、軽く腕を振っているのに球が速い。プロとして十分に勝負球となるボールです」
続いて多彩な変化球にも川上さんは切り込む。
川上氏「打者の左右に関係なく落ちる球であるチェンジアップやスプリットはかなりの武器になりますね。バッターは速いストレートに振り負けないよう合わせに行ったところでストンと落としたら、なかなかファウルすらできないと思いますよ」
そしてバッターからストレートと変化球の見分けがつかない投球フォームにも金丸投手が好投手であると感じさせるポイントだと川上さんは話す。
川上氏「ワインドアップで振りかぶる投球フォームは、体重移動の中で勢いをつけ形にはなるのですが、金丸投手は踏み込んだ右足がしっかり体を支え、ブレーキをかけて上半身に力を伝えるという流れは、もうできていますよね。セットポジションも問題ないです」
川上さんの話からはもうすでにプロで何年も修羅場を潜り抜けてきたベテランピッチャーのように聞こえてくる金丸投手。左の先発投手の補強が急務だったドラゴンズにとって、まさに救世主となる活躍を見せてくれるのは間違いなさそうだ。
いつまでも夢を追い求めて
目標のタイトルは最優秀防御率、そしてつけたい背番号は21番ときっぱりと答えた金丸投手。大学でつけていた番号であり、憧れ続けるシカゴ・カブス今永昇太投手がベイスターズ時代につけていた番号でもある。そして誕生日が2月1日ということもあり、思い入れは深い。ドラゴンズの同番は現在空き番。しかしその番号は支配下入りを目指し、腕を振り続けている岡田俊哉投手が以前つけていた番号。球団は金の卵の願いにどう応えるのか。楽しみに待ちたいと思う。
そして願わくは、4年生春のリーグ戦で疲労骨折した腰の完治をまず最優先に考え、決して無理せず焦らず、身体作りに励んで欲しい。同級生の高橋宏斗投手(高ははしごだか)との“ヒロトユメトコンビ”がドラゴンズ投手陣を共にけん引する姿を楽しみに待ちたい。
いつまでも、いつまでも“夢”を追い求めて。
がんばれ金丸夢斗!
がんばれドラゴンズ!
燃えよドラゴンズ!
竹内 茂喜