入団直後に手術…ドラフト1位ルーキー草加勝の現在地
先発ローテーション入りへの期待がかかっていたドラ1ルーキー草加勝投手。新人合同自主トレ中に、肘の違和感で手術に踏み切った。草加のキャリアを考えて後押しした言葉、リハビリを支えた言葉とは…?
監督の後押しで…
「将来を考えると、手術を出来るなら早くしたほうが良い。」そんな立浪監督の言葉を受けて決断した手術。2024年2月1日に手術が無事終了したことが発表され、それから約2か月後。プロ野球開幕前の3月下旬。ドラフト1位ルーキーの背番号14は、ひっそりと静まり返るナゴヤ球場で、リハビリを行っていた。
手術を受けて以降様子を本人に聞いてみた。
草加投手「野球の動きは当然、練習できないです。ただ、その中でも、可動域を狭めないように、また、筋力を落とさないように、出来る範囲でのトレーニングを行っています。手術を受けた直後は、傷口に直接負荷を与えないように、傷口の周りを鍛えていくトレーニングが中心でした。3月下旬からは、3㎏の軽いダンベルを持つなどして、徐々に傷口に負荷がきても大丈夫なトレーニングも始めています。ここまで順調にリハビリを進められています」
不安な様子一つなく、話してくれた。
草加投手は岡山出身。創志学園高時代は、現在阪神タイガース所属の西純矢投手が、絶対的なエースとして君臨しており、控え投手に。亜細亜大学に進学し、3年秋から頭角を現してきた。4年春に大学のリーグ戦で最優秀投手選出されると、夏に日米大学野球の大学日本代表メンバーにも選ばれ、世代を代表する投手へと成長していった。
2023年秋、他球団と競合の末、ドラフト1位で中日ドラゴンズへ入団。先発ローテーションが期待された。しかし、2024年1月の新人合同自主トレの際に、右肘の違和感があった。そこから、立浪監督との相談の結果、右肘のトミージョン手術を受けることになり、冒頭のリハビリへと続いていく。
肘の痛みは入団前から…
草加投手は、右肘について、手術直後に悔しさを滲ませながらこのように話していた。
草加投手「実は、大学に入ってから肘の違和感はずっとあったんです。ただ、大学時代は、そんなに酷いわけでもなくプレーを続けていました。ただ、中日入団後に立浪監督とも話して、将来を考えたら、手術を出来るなら早くしたほうが良いということで、手術を受ける決断をしました。ファンの方にもチームにも迷惑かけてしまい、申し訳ないです」
同じ手術をした先輩方の支え
入団して3月下旬になっても、ボールが握れず、リハビリを送る日々。「そのもどかしさや焦りを支えたモノは何か?」を聞くと、迷うことなく、答えが返ってきた。
草加投手「“まずは、焦らずに治すことに専念していくように”という立浪監督の言葉でした」
投げられないもどかしさと焦りを取っ払ってくれた指揮官の言葉。その言葉を胸に、草加投手は、6月頃にシャドーピッチングができることを目安に、現在、リハビリに専念している。
同じ手術を経験した先輩投手からの言葉も、リハビリに専念できている要因だと話していた。
草加投手「梅津さん、岩嵜さんから、“今は体を作れる良い機会。これから先、長く戦える体づくりに時間を当てられると思うようにしたほうが良い。ボールを投げられない分、そこに費やせるよ”と言われて考え方に余裕が生まれました」
梅津晃大投手は、2022年にトミージョン手術を受けて2023年シーズン終盤に復活勝利。今シーズンは先発ローテーションとして大きな期待がかかっている。
2017年のパ・最優秀中継ぎの岩嵜翔投手も、中日入団後、2022年に右肘のトミージョン手術を受けて、今季復活を目指している。落合英二2軍投手兼育成コーチも、ここまでの回復具合と投げっぷりに唸るほどだった。
草加投手「手術後もやるべきトレーニングをやったら、しっかり体が大きくなるなと感じました。そして、パワーアップして実践に復帰できるんだとも思いました。だからこそ今やれることをやっていきます」
実戦復帰までは、約1年かかると見込まれている。パワーアップして、梅津投手に並ぶローテーションの一角になれるように。岩嵜投手に繋ぐ好投を披露できるように。そして何より、立浪監督に勝利を届けられるように。その時には、当然、竜党の歓喜が草加を包む。
光山雄一朗(CBCテレビアナウンサー)