オープン戦の安打数トップ!ドラゴンズ三好大倫を覚醒に導いた三つの理由
「とある妄想しがちなファンのドラゴンズ見聞録」
CBCテレビ「サンデードラゴンズ」(毎週日曜日午後12時54分から東海エリアで生放送)を見たコラム
オープン戦も折り返しを過ぎて、プロ野球開幕まで残り2週間を切った。各チームの今年の陣容が見えてきた中、ドラゴンズは熾烈なポジション争いが巻き起こっている。その中でもまだまだわからないのが外野の布陣だ。解説者の吉見一起氏は外野の開幕スタメンを、レフト大島洋平選手、センター三好大倫選手、ライト細川成也選手と予想した。三好選手については「アピールしまくっているから、使わないといけない」と太鼓判。岡林勇希選手の復帰が確定的ではないため、レフトに大島選手が入るのではという予想だ。岡林選手の復帰や、鵜飼航丞選手の調子次第ではこの組み合わせは変わっていくだろうと競争の激しさを語った。
今回のサンドラでは、『使わないと!』と思わせるほど今年結果を出している三好選手を特集!覚醒したと言われる活躍の理由や背景、今年にかける意気込みを掘り下げていきます。
即戦力の期待から『このままだとクビ』苦悩の日々
三好選手「このままだとダメ、クビになるというのがずっとあったので、今できることをしっかりやる」
三好大倫選手はそう話して目に再び光を宿し進化する姿を我々に見せつけている。プロ入り初の開幕スタメンに向けて、猛アピールを続けている。
三好選手「即戦力として指名していただいているので、1日でも早くチームの勝利に貢献できるように頑張っていきたいと思います」という挨拶とともに2020年ドラフト6位で指名されて入団した。
沖縄キャンプでもルーキー唯一の一軍スタートで、潜在能力の高さに当時の日本代表監督の稲葉篤紀氏や、解説者時代の立浪和義監督など錚々たるOBらが絶賛した。パワーやスピードなど、他の人には無い武器があり大きな期待を感じさせた。しかし、その力はなかなか発揮することができず1年目は一軍出場なし。2年目は45試合出場で打率.218、本塁打1、盗塁6、3年目は30試合出場にとどまり打率.154、本塁打0、盗塁3と成績を残せず、そのポテンシャルは弱々しく影を潜めてしまった。
その頃を振り返り、三好選手は歯切れが悪そうにこう語った。
三好選手「自分に自信はなかった。自分に合ったスタイルというかしっくりくるものを見つけられずにくすぶっていたという感じですかね」
そんな思いを抱えながら一生懸命にファームで試行錯誤を重ねていた時期、三好選手より年下の岡林選手、鵜飼選手、細川選手などが一軍の舞台で結果を残していった。
三好選手「焦りも正直ありましたし、実力の世界なので負けたくない気持ちはありましたけど、僕の場合は実力がないので練習するしかないと思っていました。がむしゃらに」
周りに踊らされることなく、地道な努力を積み立てた先に三好選手は意を決した。
大島塾への参加・見つけた自分のスタイル
三好選手「このままだとダメだなと思って。何かを変えないといけないと考えていて、その時にたまたま(高橋)周平さんと話をして、「大島さんのところに一回行ってみたら?」と言ってもらって。自分を変えたいというのが一番にあったので、思い切って大島さんにお話させてもらって、「行かせてください!」と言わせてもらいました」
大島選手の自主トレは、徹底した体幹トレーニングなど球界屈指のハードな練習をしていると言われている。大島選手は38歳のベテランであるにも関わらずレギュラーとして戦える身体でい続けることが何よりの証拠だ。
三好選手「大島さんが、こんなにトレーニングをするんだって思って、じゃあ僕はもっとやらなきゃいけないなと思いました。体重も増えましたし、筋力もアップしましたし、打撃でも、守備でも、走塁でも活きているなと実感しています」
こうして土台のお膳立ては整った。片岡ヘッドコーチらとバッティングの修正をしていく中で、実際のお手本となるモデルを見つけた。
三好選手「参考にしていたのは(タイガースの)近本さん。バットが離れる癖があったので、片岡ヘッドコーチが『バットのヘッドを入れてみたら?』って言ってもらって、ちょっとやってみたらしっくりきて、今に至ります。(近本選手も同じく)左投げ・左打ちですし、あれだけヒットを打てる選手なので、なんかあるかな?って考えて、それで参考にしました」
今年2月沖縄での実戦で、三好選手は覚醒した。打撃や走塁、守備それぞれの面での猛アピールに成功し、オープン戦でも安打と盗塁で12球団トップタイ(3月17日現在)と結果を出し、進化を力強く示すものとなっている。
三好選手「今までやってきたことが、結果として段々ついてきたので、良いときも悪いときもあるけど悪い部分も修正できるように少しずつなってきたので、そこは自分の中でも成長しているなって感じますね」
変化を求めて受けた片岡ヘッドコーチからのフォーム改造の助言や、身体の使い方などを見直すことができた大島選手との自主トレなど、これまで探していた答えが鮮やかに見えてきて、試合中にも修正できる余裕につながっているのではないか。
三好選手「今年にかける思いと言いますか、あんだけやってきたんだから絶対なんとかしてやってやるぞ、という気持ちにはなっている」
開幕一軍を目指していた地点から、いまや開幕スタメンを目指せる地点に到達している。小手先ではなく、積み重ねたものがようやく発揮できる機会が目の前にある。しっかりと力強くそのチャンスを掴み取ってほしい!
澤村桃