竜・投打のルーキーがチーム変革の起爆剤となるか!?ドラフト3位辻本内野手、6位加藤投手の熱い思いを聞いた
【ドラゴンズを愛して半世紀!竹内茂喜の『野球のドテ煮』】CBCテレビ「サンデードラゴンズ」(毎週日曜日12時54分から東海エリアで生放送)
来季に向け、出でよ孝行息子
来シーズンの逆襲を誓い「実り多き秋に」と始まった秋季練習。若手選手は皆、この上ないチャンスと野球人生をかける意気込みでスキルを高め、レギュラークラスを脅かす存在が一人でも多く現れて欲しい。そう期待するのは首脳陣ばかりでなく、ドラファンすべてと受け取ってもらっても良いだろう。球団あげて来年こそはAクラス入りというちっぽけな目標ではなく、17年ぶりの日本一を目指すぐらいの意気込みで励んでもらいたいと願うばかりだ。
さて11月12日放送回のサンドラは、来シーズンの新戦力として期待されるドラフト3位指名、ダイナミックな守備が魅力の辻本倫太郎内野手、そしてストレートで押しまくる投球スタイルが魅力の6位指名された加藤竜馬投手がゲスト出演。2人の素顔に迫り、プロ入りへの意気込みを語った。
笑顔が売りの世代ナンバーワン遊撃手
身長168センチと小柄ながら、パンチ力のある打撃と広い守備範囲を誇る世代ナンバーワン遊撃手としての呼び声が高い辻本内野手。ただドラフト指名を受けるまで順風満帆な野球人生ではなかった。
小学校3年生の時、兄の影響で野球を始め、高校は夏の甲子園最多出場を誇る北海高校へ進学。しかし目標としていた甲子園出場の夢は叶わなかった。その時味わった悔しさをバネに仙台大学へ進学。2年生の秋、念願であった全国大会に出場を果たしたものの、後にプロ入りした選手の打球の強さに愕然とし、強い衝撃を受けた。大学でも味わうこととなった大きな壁。しかし日々の努力の積み重ねで障害を跳ね除けたのである。
ウエイトトレーニングで身体を徹底的に鍛え上げ、8キロ増量。その成果はスイングスピード向上につながり、以前よりも飛距離アップにつながった。また守備面においても肩の強さや安定性が増した。その結果、3、4年時には大学日本代表に選出されるなど世代ナンバーワンショートへと成長していった。
常に笑顔を振りまき、高校、大学でキャプテンを務め、チームをけん引した辻本内野手のセールスポイントはもちろん走攻守三拍子そろった野球センス。守りで意識している点には“準備”と即答。
辻本選手「飛んでくる打球を予測して、一歩目を早くきれるように考えています」
また打撃で大切にしていることは何かを聞かれ、滑らかな口調でにこやかに答えた。
辻本選手「その時の状況を考えて、何が最善かを意識して打席に立っています」
目標とする選手はチームの大先輩であり、侍ジャパン監督の井端弘和さん。アウトカウントを増やしてもランナーを進める等、状況を考えたバッティングはまさに現役時代井端さんの専売特許であり、現状のドラ打線に欠けている貴重な役割ともいえる。
対戦したい選手には学年が一緒の阪神タイガース・西純矢投手を指名。初対戦ではセンター前ヒットを打ちたいと発言。着けたい背番号は好きな番号という理由で1番を希望した。獲りたいタイトルはゴールデン・グラブ賞を選び、プロ入りしてからも守備を売りに名前を売っていきたい辻本選手の心意気が読み取れた。笑顔がチャームポイントである“りんちゃん”の一軍での活躍を今から期待したい!
特別なグローブと共にプロの世界へ
最速154キロの力強いストレートが持ち味のパワーピッチャーである加藤投手。身長185センチ、体重99キロの恵まれた体格を持ち、つけられた愛称は“ゴリラ”or“ゴリ”!
ドラフト指名会見時には“バッターをねじ伏せたい”と荒々しいコメントを残し、剛腕のイメージを報道陣に印象付けた加藤投手だが、小学校から野球を始めて、ポジションはずっとキャッチャーだったとは驚き。本格的にピッチャーを始めたのは高校2年生とキャリアは浅い。またピッチャーながらスイッチヒッターというのもなかなかの変わり種。当たれば飛ぶというバッティングは注目に値する。
しかし高校時代に腰を痛め、大学2年時に手術を経験。社会人へ進んだ後にも、右ひじのクリーニング手術を受けるなど、ケガが付きまとう野球人生を送った。そんな加藤投手が逆境から這い上がれた理由は共にドラフト指名を待ったグローブにあった。
加藤投手「大学の時、最後に両親から買ってもらったグローブです。腰のケガをして、そのケガ明けぐらいに手にしたもので、一番苦しい時から一緒に這い上がったというか、もう一度頑張ろうと思えた一番思い出のあるグローブなんです。プロ入りしても使い続けたいです」
この特別な思いがこもったグローブと共にプロの世界へ。ドラフト6位からの逆襲が始まる。
加藤投手「中日ドラゴンズの中継ぎ・抑えといえば、“加藤”と呼ばれるようなピッチャーになりたいです」
対戦したい選手の質問には、今や日本ではなく世界を代表するバッターに成長を遂げた大谷翔平選手の名を挙げ、“全球ストレートで三振を奪いたい”と夢を語った加藤投手。そして着けたい背番号には96番を選択。今季ベイスターズで活躍し、強気なピッチングが印象深いトレバー・バウワー投手への憧れが理由だ。そして獲りたいタイトルには最優秀中継ぎ賞をチョイス。ゴリラパワーで他球団のバッターをストレート一本でねじ伏せる姿が目に浮かんできそうだ。
球団全体が変わらないといけない
先週、大野雄大投手が契約更改会見の場で残した、“選手はもちろん、監督、首脳陣、そして球団も変わっていかなければいけない”というコメントが大きな話題となっている。投手陣の柱である大野投手が口にしただけに言葉の重みは計り知れない。そしてチーム内に激震が走ったのは言うまでもない。そこまでドラゴンズというチーム自体、落ちるところまで落ちたと認識しなければいけないのだ。
今回のゲストである辻本、加藤両ルーキーの活躍は期待したいし、やってもらわなければ困る。だが2人に過度な期待はご法度。球団に関わる全員が危機感をもって取り組むことこそ、昇竜復活のカギとなる。やれることはすべてやるぐらいの意気込みで必ずや有言実行し、実りのあるオフにしてもらいたい。
がんばれドラゴンズ!
燃えよドラゴンズ!
竹内 茂喜