SNSやコラボで若者の注目度が急上昇!「ういろう」は世界へ羽ばたく!?~大竹敏之のシン・名古屋めし
定番になりすぎて「長らく食べていない」という地元の声も
名古屋名物・ういろう。「名古屋めし」という言葉が生まれるはるか以前からご当地の銘菓として広く知られてきました。昭和8年(1933)の文献で既に「名古屋といえばういろうといわれるほど有名」と記されていて、名産地としても長い歴史があることは間違いありません。その歴史は古く、室町時代の帰化人、陳外郎(ちんういろう)が考案したと伝わります。その血統を継ぐ小田原をはじめ、山口、京都、滋賀など全国各地に産地がありますが、現在では生産のおよそ9割を名古屋を中心とした東海地方が占めています。
そんなういろうですが、少し前まではちょっと残念な扱いを受けていました。ネットのアンケートなどでは「もらってうれしい」ランキングの上位には食い込めず、地元・名古屋でも「長らく食べていない」との声が多く聞かれたことは確か。名物として定番になりすぎてしまったため、特に地元ではありがたみが薄れてしまっていたのです。
コロナ禍をバネに「おみやげ」から「自分で食べたい」お菓子に
しかし、ここ数年は確かな復権の兆しが。「青柳ういろう」の青柳総本家・後藤稔貴さんのコメントです。
「SNSやWeb記事など、様々なシーンで『ういろう』というワードを目にする機会が確実に増えています」
これはすなわち若い世代からの関心が高まっているということ。「大学生から商品開発や町おこしの企画などで“何か一緒にやれませんか”という問い合わせがしばしばあります」ともいいます。
このような注目度の高まりの背景には、コロナ禍による未曾有のピンチがありました。ういろうはお土産需要が中心のため、外出もままならない状況下において売り上げが9割減にまで落ち込んでしまったのです。この窮地から脱却するために取り組んだのが、自分で食べるために買う「自家需要」の掘り起こしでした。2020年10月にTwitter(現・X)のアカウントを開設し、積極的に情報発信に努めると、炙って食べる焼きういろうという新しい食べ方が話題となって、試食会には長蛇の列が。ういろう以外でも、定番土産のカエルまんじゅうをアレンジした「ケロトッツォ」が誕生してブレイクしました。さらにはコラボの引き合いも相次ぎ、初音ミク、ドラゴンクエストのスライム、ウルトラマンなどとコラボした期間限定のういろうを毎年のように発売。これらもSNSで情報が拡散されてそれぞれのキャラクターのファンの購買欲を刺激し、ヒットにつながっています。
こうした話題性のある動きだけでなく、個人消費にマッチした新しいチャレンジも。ういろうといえば長細い棒状の形が基本。しかし、同社では2021年4月、スタンダードである「青柳ういろう」をハーフサイズ2本入りにリニューアルしています。これによって一度に全部食べ切らなくてもよくなり、単身者や少人数の家庭でも購入しやすくなりました。加えて、食べ切りやすい「ひとくちういろう」の販売にも力を入れ、駅のお土産物売り場ではこちらが一番の人気商品となっています。
さらなる新しい市場として後藤さんが狙いを定めているのが海外です。「米を使ったお菓子や蒸し菓子は世界各国にあり、ういろうが親しんでもらえる素地は世界中にある。試食用ういろうを持っていろんな国を回り、その可能性を探っていきたいと思っています」
近い将来、名古屋発のういろうが世界へと飛躍することになるかも? 名古屋人の私たちもクールなナゴヤンスイーツういろうを食べ、その魅力をSNSなどで世界に発信していこうではありませんか!
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#名古屋めしデララバ