「甘くなったら続けられない」川上憲伸が明かす谷繁元信の配球哲学
CBCラジオ『ドラ魂キング』「川上憲伸、挑戦のキセキ」は、野球解説者の川上憲伸さんが、自身のプロ野球人生を「挑戦」という視点から振り返るコーナーです。2月18日の放送では、2007年のオープン戦で谷繁さんから「サインを出さないから、好きに投げてみろ」と言われた際のエピソードや、ピッチャーに合わせてリードが変わる谷繁さんの配球術について伺いました。聞き手は宮部和裕アナウンサーです。
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谷繁さんは2試合ほど「サインを出さないから。自分で好きなのを投げてこい。お前がどういう配球したいか、俺はわかる」と告げました。
最優秀バッテリー賞を受賞した間柄でありながら、改めてリセットをかける谷繁さんについて、川上さんは「僕を助けるためにも、谷繁さんを助けるためにも、ああごもっともだなと思いました」と振り返ります。
当時から相手チームはデータを蓄積し、川上・谷繁バッテリーの配球をパターン化して分析していました。そんな中、サインなしの投球が新たな武器になったのです。
予想外の球も受け止める
川上「普通ならここでアウトコースのシュートを投げる。谷繁さんがそう思った時に、川上が急にインコースのストレートにした。『え?』ってなったら、それで抑えたりとかうまいこといくと、谷繁さんの中で『この手もある』というのが増えるわけじゃないですか」
さらに川上さんの投球を見て、谷繁さんは「お前、カーブを3球、4球続けてくるんだ」と新たな発見もしていたといいます。
構えはほぼ真ん中。谷繁さんは、川上さんにこう伝えていました。
「ストレートかなと思った時にカーブ投げても俺は取れるから。カーブかなと思う時にストレートが来ても取るから」
川上さんはこの時のことを「それはすごいです。誰でもできないですよ」と驚きとともに語ります。
同じ球種を続ける条件
そして谷繁さんはキャリアの後半、ピッチャーに対して同じ球種を続けて勝負させることがありました。宮部によると、それは特に一流バッターと対峙した時によくあったといいます。そこには明確な条件があったと、川上さんは語ります。
川上「甘くはなってはいけない。例えばアウトローのストレートを要求して、1球目ビシっと決まりました。次、真ん中に来ます、っていうピッチャーでは続けられないんですよ。そこに来るかボールになるかというピッチャーには続けられる。だから人を選んでいると思います」
例えばファースト側から曲がってくるスライダーを4~5球続ける場合、1球目がコースに決まり、2球目がボール1個分ボール、3球目がギリギリストライクという精度であれば続けられます。
川上「初球いいところに来ました。次はややインコースに来ましたっていったら、続けられないでしょ」
コントロールの精度が、同じ球を続けられるかどうかの分かれ目だったのです。
ピッチャー優先の配球
さらに、気合いの乗ったピッチャーに対しては、打者の弱点よりも投手の状態を優先する配球もあったと川上さんは明かします。
川上「バッターにとっては本当はストレートは得意かもしれないけど、ピッチャーがもっと腕を振れるのであれば、そっちの方が勝ちだろうと。そういった優先順位の配球はあったと思います」
打者への最適解ではなく、投手が最も力を発揮できる球を選ぶ。3,000試合以上に出場した捕手ならではの配球哲学でした。
(minto)
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