日本一やかましい祭り!?町中が轟音に包まれる三重県桑名市の奇祭「石取祭」に初挑戦する男性に密着
昼夜問わず、町のいたるところで打ち鳴らされる、耳をつんざく轟音!三重県桑名市で開催される「石取祭」は、“日本一やかましい祭り”としても知られています。その音にかける、アツい思いを持った「OMATSURIちゃん」を、タレントの寺坂頼我くん(以下、寺坂くん)が探しました。
「体に音が染みついている」中学生でもベテラン級のうまさ!?
毎年8月第一土・日曜に執り行われる「石取祭」。まずは祭りについて聞くため、春日神社(桑名宗社)を訪ねました。
(宮司・不破義人さん)
「(Q石取祭はどんなお祭り?)この春日神社のお祭り。石を持ってきて、この神社に奉納する」
市の南部を流れる町屋川でとれる「御影石」は清らかなものとされ、町民がその石をとり境内の整備のために奉納。約400年の歴史があるとされています。しかし、その神事自体は、祭り初日の朝にわずか1時間ほどで終了しました。
寺坂くんが町を歩いていると、賑やかな音を鳴らしながら歩く人たちと遭遇。
(福江町のドン・籾田信也祭事長)
「(Qなんで騒がしい音を出している?)はじめは石を運んでいるだけだったが、それでは寂しい。鉦(かね)や太鼓を鳴らしてだんだん豪華になったのが祭車(さいしゃ)。今これ全部作ろうと思ったら1億円では足りない」
石取祭の名物は、40町内それぞれの祭車と呼ばれる山車。寺坂くんが出会ったのは、福江町の祭車でした。
石取の子どもたちは、みんな物心ついた頃からこの祭りの音が染みついているそうで、中学生の子どもでも、祭車を鳴らして10年の大ベテランです。
「町に溶け込みたい…」移住してきた男性が祭りに初挑戦!
祭りのスタートは、祭りの開催前日、金曜日の深夜に遡ります。土曜と日曜の2日間で行われる石取祭で、祭車を鳴らせるのは、「叩き出し」と呼ばれる、日付が土曜日に変わった瞬間からと決まっています。
春日神社の拝殿で0時ちょうどに太鼓が鳴り、始まりの合図である提灯が振られると40町内の祭車が町中で一斉に「叩き出し」をスタート。一年間、待ちに待った瞬間に、深夜にもかかわらず、盛り上がりは最高潮です。
そんな中、ぎこちない手つきで太鼓をたたく男性がいました。
(初参加・久保克馬さん)
「初参加。引っ越してきて、ことしから始めさせていただいて」
一昨年、仕事の都合で家族3人でこの町に引っ越してきた久保さん。コロナ禍で初となった去年の石取祭には様子見で参加しませんでした。
(初参加・久保克馬さん)
「地域の人との関わりは必要。町内に溶け込められたら…」
知り合いもいない新天地で、福江町の人々に認められたい一心で太鼓を叩きます。しかし、その姿を見ていた町内の人たちは辛口の評価。まだまだできるはずだと、一緒に頑張って祭りを盛り上げたいと意気込みます。これから丸2日間、四六時中ひたすら叩き続ける久保さんは、町内に溶け込むことはできるのでしょうか。
叩きすぎで手の皮がベロン!?手に入れたのは新たな絆
様々な思いを乗せて進んでいた福江町の祭車は、「渡祭(とさい)」のために春日神社へ向かいます。渡祭は、石取祭一番の見せ場で、春日神社の真正面で40台の祭車が順番に8分ずつ、その音を奉納。その順番は毎年くじ引きで決められ、福江町は「花車(はなぐるま)」と呼ばれる1番くじを引きました。いわば今年のリーダーです。渡祭では、子どもたちは太鼓を叩くことができません。
いよいよ福江町の祭車が到着し、一世一代の渡祭がスタート。町内の重鎮たちが、次々とバチをとり、太鼓を叩いていきます。久保さんも町内への思いを胸に、練習の成果を発揮し、無事に叩き終えることができました。
(福江町のドンの息子・籾田優介さん)
「久保さんはメッチャたたいてくれるし、『覚えよう』という意欲がすごくて、福江町に入ってくれたことがすごく助かって…。(Q久保さんは何点?)100点。これからは『久保っち』(と呼ぶ)」
やかましすぎて何を言っているか聞こえなくても、「久保っち」がこの町に溶け込めたことは、言うまでもありません。土曜日の0時から始まった石取祭。町を包む、日本一の轟音は、日曜の深夜まで鳴りやむことはありませんでした。
今回もたくさんのアツいOMATSURIちゃんに出会った寺坂くん。ベストオブOMATSURIちゃんに選んだのは、今や福江町の皆さんの輪の中心で笑う、久保さんでした。恒例の手形をもらおうとしたところで、トラブル発生。
(寺坂くん)
「手を見せてください、右手(利き手)。ベロって皮がめくれちゃっている!」
(初参加・久保克馬さん)
「私だけじゃなく、皆さんなるそう」
皮のめくれも、努力の証。左手で手形をもらいました。2日間、必死でバチを握りしめて掴んだのは、地域との新たな絆でした。
CBCテレビ「チャント!」8月16日放送より