「俺、サイン出さないから」谷繁元信が川上憲伸に伝えたかったこと
CBCラジオ『ドラ魂キング』「川上憲伸、挑戦のキセキ」は、野球解説者の川上憲伸さんが自身のプロ野球人生を「挑戦」という切り口で振り返るコーナーです。2月11日の放送では、谷繁元信さんとのシーズン中の食事にまつわるエピソードを伺いました。最初は野球の話が一切なかった食事会が、回を重ねるうちに変化していきます。その先に待っていたものとは。聞き手は宮部和裕アナウンサーです。
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2006年頃から谷繁さんに食事へ誘われるようになったという川上さん。特にナゴヤドーム(現バンテリンドームナゴヤ)での試合の日、川上さんが登板しない日には「今日残っといてくれ。飯行こう」と声を掛けられたそうです。
ふたりともお酒を飲まないため、車で店に行き、普通にご飯を食べて帰るというスタイルでした。
しかし食事中の会話は、ゴルフの話や「お前今、誰と仲いいの」「あいつどういう性格なの」といった話題が中心。「配球はこうだ」「曲がりが早いぞ」「ストレートもっと使うぞ」といった具体的な野球の話は一切なかったといいます。
回を重ねて変わる話題
二度三度と誘われるうちに、谷繁さんは少しずつ野球の話をするようになりました。川上さん自身の話もあれば、川上さんと仲の良い後輩の性格についての質問も。
「あいつ本当はどうなの?押していくと逃げるタイプなのか、向かってくるタイプなのか」といろいろな情報を引き出してくる。それでもあっさりしたもので、さっと話して帰るという感じだったそうです。
谷繁さんが食事に誘っていた狙いについて、川上さんは、若い投手のことを知るには自分がちょうどいい年齢だったのではないかと振り返ります。若すぎる選手からは本音を引き出しにくく、逆に年齢がさらに上の選手は下の選手のことを十分に把握できていない。
川上さんはちょうどいい立ち位置にいたのです。
「ピッチャーも配球を考えろ」
食事の場で谷繁さんが話していたのは、「ピッチャーも自分で配球を考えなあかんやろ」ということでした。
谷繁さんによると、ピッチャーが首を振る時は大体「怖くて逃げている時」で、自分で配球を考えているわけではないといいます。谷繁さんがサインを変えずに押し続けると、仕方なく投げてくる。しかしサインには意図がある以上、逃げずに投げるべきところはしっかり投げなければいけないという考えでした。
ピッチャーとキャッチャーのサインが合えば、どんどん向かっていけると川上さんは語ります。昔は「キャッチャーのサインを信じて投げていました」というピッチャーが多かったものの、今のメジャーリーガーは自分からサインを出す選手もいます。
頼りっぱなしではなく、自分で考えなければいけない。谷繁さんはそんな話を、食事の席で川上さんにしていました。
すると翌年のオープン戦で、思いもよらない出来事が起こります。川上さんは谷繁さんから「俺、サイン出さないから。今日の試合、自分で好きに投げてこい」と告げられたのです。
谷繁さんが食事の席で語っていた「自分で考えろ」が、実戦で川上さんに突きつけられることになりました。
(minto)
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