現在の順位に納得?過去のドラフトで振り返る中日と阪神

8月23日放送のCBCラジオ『若狭敬一のスポ音』では、若狭敬一アナウンサーが過去10年間の中日支配下内野手、外野手、外様率を調べ、阪神と比べてみました。その結果、ドラゴンズとタイガースでは真逆の道を歩んでいることが判明したそうです。
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先週、若狭が調べたのは「外様率」。
トレード選手や外国人選手、出戻り選手も「外様選手」と定義し、ドラフト指名から今に至るまで一度も他球団を経験していない選手を「生え抜き選手」と定義して、セ・リーグ6球団の外様率を比較しました。
外様率が最も少ないのが阪神の12%。2位が広島東洋カープ14%、3位横浜DeNAベイスターズ24%、4位読売ジャイアンツ28%、5位東京ヤクルトスワローズ31%。
そしてドラゴンズは43%の6位。生え抜き率が最も低く、外様率が高い特徴がわかりました。
10年間を見てみると
若狭は、過去10年間におけるドラゴンズの外様率の推移を調べました。
今年2025年が43%、2024年も43%。
過去10年間で最も外様率が高く、生え抜き率が低かったのが昨年だそうです。
そして2023年は30%。2022年は28%、2021年は21%。2020年は20%。
ここから外様率が下がっていきます。
2019年は19%、2018年は21%、2017年は17%。過去10年間で最も外様率が低かったのが2017年。
ちなみに2016年は22%でした。
若狭「ざっくり言うと、2020年までは外様率が20%前後。22年からぐんと上がって来ていることがわかります」
真逆の道
阪神の過去10年間の外様率の推移も調べました。
今年2025年から2020年までの推移は12%、15%、18%、19%、19%、20%。
2019年から2016年までを見ると、27%、30%、30%、33%と外様率が上がって来ます。
比較するとあまりにも対照的な両球団。
なお2020年はドラゴンズも阪神もぴったり20%。それ以前は阪神の外様率が高く、それ以降はドラゴンズの外様率が急激に高くなっています。
若狭「以前の阪神は、他球団からのトレード選手と外国人選手に、内野手、外野手は頼っていました。ところが2022年ぐらいを境に生え抜き選手が多くなっているんです。ドラゴンズは真逆です」
10年間の獲得野手
次に、どんな選手を取っているのか、若狭はドラフトにフォーカスして、ドラゴンズと阪神で比べてみました。育成を含む内野手と外野手で敬称略です。
まずは中日ドラゴンズから。
2015年は阿部寿樹、石岡諒太、渡辺勝。
2016年は京田陽太、石垣雅海。
2017年は高松渡、伊藤康祐。
2018年は根尾昂、滝野要。
2019年は石川昂弥、岡林勇希。
2020年は土田龍空、三好大倫。
2021年はブライト健太、鵜飼航丞、星野真生、福元悠真。
2022年は村松開人、浜将乃介、田中幹也、福永裕基、樋口正修。
2023年は津田啓史、辻本倫太郎、尾田剛樹。
2024年は森駿太。
10年間で26人の内野手・外野手を獲得しています。
岡林しかいない
若狭「いま中日のユニフォームを着ている、支配下、内野手・外野手は26人中14人しかいません」
その14選手は石川、岡林、土田、ブライト、鵜飼、村松、浜、田中、福永、樋口、津田、辻本、尾田、森。
阿部、京田は移籍。福元、星野は育成。根尾はピチャーへポジション変更。
26人獲得した中で、1年でも規定打席に到達したのは阿部、京田、石川、岡林の4人で、このうち現在在籍する規定打席到達者は、石川と岡林しかいません。
若狭「今年活躍しているということに限れば、もう岡林しかいないんです」
ほとんど残っている
一方の阪神は、過去の10年のドラフトでどんな野手を獲得したのでしょうか?
2015年は高山俊、板山祐太郎。なお板山選手は現在ドラゴンズに所属。
2016年は大山悠輔、糸原健斗。
2017年は熊谷敬宥、島田海吏。
2018年は近本光司、小幡竜平、木浪聖也。
2019年は井上広大、遠藤成、小野寺暖。小野寺選手は育成指名から支配下になりました。
2020年は佐藤輝明、中野拓夢、高寺望夢。
2021年は前川右京、豊田寛。
2022年は森下翔太、井坪陽生、戸井零士、野口恭佑。
2023年は山田脩也、百崎蒼。
2024年は佐野大陽。
阪神は10年間で24人の野手を獲得しています。
今も在籍する選手は、24人中21人とほぼ9割の選手が残っています。いなくなっているのは高山、板山、遠藤の3人だけです。
規定打席到達者は高山、大山、糸原、近本、木浪、佐藤、中野、森下、8人。高山以外の7人は今もなお縦縞のユニフォームを着ています。
なぜか放出
若狭「かなり私は衝撃を受けました。よくよく見ると阪神は 、ドラフトで指名した大学・社会人野手が多くレギュラーになっています」
大山選手、糸原選手、近本選手、木浪選手、佐藤選手、中野選手、森下選手などが大学・社会人からの獲得選手。大学・社会人レギュラーが衰えたり、怪我をした時のバックアップのために、高校生を取っていると推察する若狭。
若狭「阪神のスカウトに知り合いがいないので、聞けないんですけどね」
一方、ドラゴンズは 大学・社会人で、獲得した野手でレギュラーになったのは京田選手と阿部選手しかいませんが、その2人を放出しています。
その2人以外の、大学・ 社会人の野手でレギュラーを取った、規定打席に到達したのは1人もいません。
阪神の分岐点
若狭「阪神って全然即戦力野手を取っていない球団のひとつだったんです。分岐点は大山選手です。あの年、結構批判されたんですよ」
1位指名選手を見ると、2016年は大山選手、2018年は近本選手、2020年には競合しましたが佐藤選手、2022年は森下選手でした。
大学・社会人でその年いいとされた選手を1位で指名し、確実にレギュラーに成長させていきました。
さらに糸原選手、木浪選手、中野選手など、大学・社会人内野手をうまく指名して、彼らもレギュラーを掴むようになっていきました。
一方で、小幡選手、前川選手、井坪選手、高寺選手などの高卒組はじっくり下積みをし、徐々に成長して一軍で台頭してきました。
若狭「この前の中日戦にも井坪、高寺がいました。阪神はほぼ優勝確定ですから、あれは一軍の経験を積ませてるんですよ」
ポジションも被りまくり
若狭「阪神はものの見事に、大学・社会人からの即戦力と高卒を育てるサイクルが上手くいっているわけです。ポジション被りもあまり発生していません」
一方で、現在の中日ではサードで大渋滞が起きています。
石川選手、高橋周平選手、さらに埼玉西武ライオンズから移籍の佐藤龍世選手、新外国人のマイケル・チェイビス選手が争っています。
さらに、これから頭角を現すであろう高卒の森選手も基本サード。福永選手もサードを守る可能性があります。
若狭「結構ポジション被りがある。さらには年齢バランス、採用、育成、 いろいろなことを考えても、いま中日と阪神には差ができているのではないかと思います」
阪神の現状を見ると、ドラゴンズにも変われる可能性があるのでは?
若狭「中日はなかなか大学・社会人の内野手がレギュラーを取るまでには行っていない。高卒選手に期待しても時間がかかる。うまくいったのは岡林選手だけ。どうする?って話ですね」
課題を示した若狭でした。
(尾関)
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