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川上憲伸「目も合わせなかった」99年の不調とライバル・高橋由伸との距離感

川上憲伸「目も合わせなかった」99年の不調とライバル・高橋由伸との距離感

CBCラジオ『ドラ魂キング』、「川上憲伸、挑戦のキセキ」は、野球解説者の川上憲伸さんが、自身のプロ野球人生を「挑戦」という視点から振り返るコーナーです。7月23日の放送では、1999年シーズンを振り返り、プロ1年目の負担から生まれた故障の苦しみと、ライバル高橋由伸選手との微妙な関係の変化について語りました。聞き手は宮部和裕アナウンサーです。

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1年目の負担が生んだ誤算

プロ1年目に新人王を獲得した川上さん。2年目の99年には中日ドラゴンズがリーグ優勝を果たしました。しかしシーズン前半、川上さん自身にはなかなか勝ち星がつかない状況でした。その理由は、1年目が終わった直後のオフシーズンにあったといいます。

「やっぱり1年目の負担っていうか。初めてローテーションでずっとフルに回って、途中肩も厳しくて、悲鳴上げてた時もあったんですけど」

新人王や防御率、最多勝の可能性があったため、「こんな痛いとか言ってる場合じゃない」という思いで投げ続けていたそうです。

オフシーズンに表面化した痛み

オフになるとプレッシャーがなくなり、痛みが表面化しましたが、打ち明ける相手はいませんでした。

「選手はみんなライバルですし、自分と同級生の選手はそんなに一軍にいなかったわけですから。『俺、困ってんだよ』って言ったって、知ったこっちゃない」

本来なら医師にかかって治療すべきだったと振り返る一方、1年目に新人王を取れて活躍できたという「甘え」、さらに名古屋のおいしい食事をオフの間にいろんな方が連れて行ってくれることなど、「いろんなことが僕をダメにしていった」と冗談めかして語りました。

開幕11連勝も勝ち星なし

2年目の99年、ドラゴンズをリーグ優勝に導いた試合のひとつが7月6日の札幌市円山球場での読売ジャイアンツ戦。川上さんにとって、これはシーズン5勝目の試合でした。

この年、チームは開幕11連勝という快進撃を見せていました。川上さんもずっとローテーション入りはしていましたが、勝ち星はついていなかったのです。

開幕戦では川上さんが投げ、2対1でリードしていましたが、岩瀬仁紀投手が同点、逆転されました。しかし最終的にはチームが逆転勝ちし、落合英二投手が勝ち投手となりました。

「初戦の逆転勝ちというのが、チームにいい流れを持ってきたのかな」

川上さんに勝ちこそつきませんでしたが、チームの勢いに十分貢献していました。

高橋由伸との関係の変化

この年も注目はライバル・高橋由伸選手との対決。アトランタ五輪合宿で親しかったふたりも、プロ入り後は会話せず、連絡も途絶えました。

「プロに入ったら挨拶もしない。目が合いそうでもお互い逸らした」

嫌いでも避けているわけでもないのに、なんとなく近寄ることはなかった。数年前に話した際、互いに同じ思いだったとわかったそうです。

川上さんは、その理由は1年目の新人王争いにあったと分析します。川上さんが新人王を獲得できた一方で、高橋選手は取れなかった悔しさがあり、その温度差が影響していたというのです。

「『由伸、俺が取ったぜ』っていう感じで言える仲だったらずっと続いてたと思うけど、彼の悔しさもわかるってことで声かけられない」

チームを引っ張っているからというより、1年目の新人王争いを引きずっていたのではないかと振り返りました。

プロの厳しい世界

平成の名勝負を生んだ川上憲伸投手と高橋由伸選手。大学時代はそれぞれ違う大学で切磋琢磨していたふたりが、目も合わせず、挨拶すらしない関係になってしまいました。

それぐらい意識をせざるを得ない、プロという場所の厳しさ。個人対個人を超えた、ドラゴンズとジャイアンツという球団の対決でもありました。

プロ2年目、チーム開幕11連勝でドラゴンズは星野仙一監督の下リーグ優勝を果たしましたが、川上さん自身の中では葛藤があった、そんなシーズンでした。
(minto)
 

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