トランプ大統領が3期目挑戦に意欲?憲法の"抜け道"と裏技を探る

関税を武器に世界を混乱させているアメリカのドナルド・トランプ大統領。現在2期目ですが、最近になってさらに3期目を目指す発言を繰り返しています。アメリカの大統領は通常2期8年までとされていますが、果たして3期目はあり得るのでしょうか。4月7日放送の『CBCラジオ #プラス!』では、CBC論説室の石塚元章特別解説委員が詳しく解説しました。
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アメリカ大統領の任期が法律に明確に定められたのは第二次世界大戦後のことで、それまでは単なる「慣例」として守られてきました。
その起源は初代大統領ジョージ・ワシントンにあります。当時、大統領の任期に関する明確なルールはまだ存在していませんでした。
大統領を2期務めたワシントンは評判も良く、多くの人が3期目を望んでいましたが「絶対的な権力者に大統領がなってはいけない」という信念のもと、2期で退くことを決意したのです。
その決断がその後の大統領たちに大きな影響を与え、2期までという慣例を生み出すことになったのです。
唯一の例外、ルーズベルト
歴史上、4期務めた唯一の大統領は第32代のフランクリン・ルーズベルトです。
1933年~1945年、世界恐慌から第二次世界大戦という特殊な時代背景の中で、彼は4期目の途中まで大統領を務めました。実際には4期目の途中で亡くなりましたが、4期連続で大統領職に就いたのは彼だけでした。
ニューディール政策で知られるルーズベルトの長期政権は、経済危機と戦争という非常事態を理由に可能となったのです。
こうした特異な事例を受けて、1951年に合衆国憲法修正22条が議会で可決され、1952年に正式に発効。「何人も大統領の職に2回を超えて選出されることはできない」と明確に規定されたのです。
トランプ大統領の野望
現在、トランプ大統領は3期目を可能にする方法を真剣に模索しています。
1つ目は「憲法改正」です。現在、共和党と民主党はギリギリの勢力バランスで、若干共和党が多い程度です。憲法改正には上院と下院でそれぞれ3分の2以上の賛成が必要となるため、非常に難しいとされています。
そうした政治状況の中、共和党の議員からは、通常の2期連続ではなく「間にひとりの大統領を挟めば3期目も可能にする」という興味深い憲法改正案が提出されました。
これは明らかにトランプ大統領を念頭に置いた議案で、バラク・オバマ氏やビル・クリントン氏のように、2期で退任した大統領が出馬するのを防ぐ狙いもあるようです。
様々なアプローチが検討されていますが、いずれにしても憲法改正は極めて困難な状況です。
法の抜け穴「副大統領作戦」
「副大統領作戦」とは、次の大統領選挙で別の人物が大統領候補となり、トランプ大統領がその副大統領候補として出馬するという戦略です。大統領が辞任する前提があらかじめ整えられているため、トランプ大統領の3期目就任を確実にするための「裏技」といえます。
現行の法律では、副大統領候補になることを禁止する条項はなく、この点が議論を呼んでいます。
法律の条文には、「大統領の資格がないものは副大統領職に就く資格もない」と記載されていますが、これは「2期務めたから」という意味ではなく、年齢や市民権などの基本的な資格を指すものと解釈されています。条文の解釈をめぐっては、現在も議論が続いています。
トランプ大統領は基本的な資格を満たしているため、この方法の可能性は排除されていません。最終的には、世論の反応や支持率が、戦略の行方を左右することになると考えられます。
年齢と世論という現実的な壁
トランプ大統領が3期目を目指す場合、年齢は82歳になります。高齢であることは、現実的に見て大きなハードルのひとつ。とはいえ、バイデン大統領も81歳という高齢で出馬していたため、民主党としてはこの点を強く批判するのは難しい状況です。
最終的には、トランプ大統領の政治的野心とアメリカ国民の世論が、3期目への道を開くかどうかを決めることになります。
憲法の解釈を巡る法的な攻防と政治的な駆け引きが今後の注目ポイントです。
(minto)
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