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自治体で血液検査が実施。「永遠の化学物質」PFASとは?

自治体で血液検査が実施。「永遠の化学物質」PFASとは?

岐阜県各務原市では、有機フッ素化合物「PFAS」が水道水の水源地から国の暫定目標値を超えて検出されたことを受け、昨年血液検査が実施され、2月17日にその結果が公表されました。PFASはどの程度含まれていたのでしょうか?3月8日放送のCBCラジオ『大石邦彦のNOW ON SHARE!』では、CBC論説室の大石邦彦アナウンサーがPFASについて解説します。

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防水素材や半導体の製造に有用

岐阜県各務原市で地元住民を対象に血液検査が実施されたのは一昨年に続いて2期目。
2025年度予算案では、PFAS対策として水質改善におよそ7億円の予算を盛り込むと発表されました。

大石「自治体も本腰を入れ始めた。国もいろいろ考え始めている」

PFAS の正式名称は「ペルフルオロアルキル化合物、及びポリフルオロアルキル化合物」です。

大石「これ言える人、そうそういないですよ」

水や油を弾き、熱に強い性質があるため、いろいろな製品に役立てられています。
テフロン加工のフライパンや、衣服の防水素材に使用され、半導体の製造にも長年使用されてきました。

大石「厄介なのが、分解されない化学物質であること。『フォーエバー・ケミカル』と呼ばれています。自然界では分解されないものなんです」

健康被害の恐れも

「永遠の化学物質」PFASには環境への影響のみならず、健康リスクもあります。
腎臓や膀胱での発がん性、脂質異常、赤ん坊が生まれたときの低体重など、人体へのリスクは多岐にわたります。

大石「さまざまな人体への影響が指摘されている」

したがって、水道に紛れ込んで飲んでしまった場合、健康被害の恐れも。
体内から排出され、半減するまでに2年から8年かかるようです。

1万種類あるPFASの中でも、問題とされているのは「PFOS(ピーフォス)」「PFOA(ピーフォア)」と呼ばれる物質。
これらの物質は2021年までに製造・輸入が禁止されていて、現在は使われていません。
つまり、現在のテフロン加工のフライパンは問題ないことになります。

大石「世界的に『有害性があるんじゃないか?』と国際的な規制対象になってしまった。ただ、かつては使われていたので、そういった商品からPFASを体に取り込んでいた可能性は十分考えられる」

過去の調査で、水道水や地下水から国の暫定基準値を超えて検出されたのは23の都府県でした。
ちなみに検出された場所は飛行場や、航空自衛隊・アメリカ軍の基地周辺などです。

基準値7倍超が検出された自治体も…

基地周辺で検出されたのは、訓練で使用される泡消火剤の中にPFASが含まれていたためでした。

では、県営名古屋空港がある愛知県豊山町で検出されたのはなぜでしょうか?
ある専門家は、約30年前の航空機墜落事故によってPFASが地面に染み込み、地下水に紛れ込んだ可能性を指摘します。

大石「それだけ長い間自然界に滞在してしまう」

他にも半導体工場や化学工場の排水にもPFASが含まれているようです。

飲用水における暫定目標値は「1リットルあたり50ナノグラム」。
一方、血中濃度の暫定目標値は「1ミリリットルあたり20ナノグラム」がアメリカでの目安です。

今回の血液検査で実際に検出された量は、岐阜県各務原市で67ナノグラム、豊山町で23ナノグラム。
他にも沖縄県北谷(ちゃたん)町で29ナノグラム、岡山県吉備中央町では、なんと基準値の7倍以上の150ナノグラムでした。

大石「身体がPFASで汚染されている。非常に心配な人がたくさんいるというのが問題」

各務原市は、PFASを除去する働きのある「活性炭」を活用した施設を建設するようです。
社会問題になりつつあるPFASですが、国の基準について今後も注意深く見ていくことを勧める大石でした。
(nachtm)
 

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