想像と違った!中日OB・川上憲伸、打者イチローを語る

元中日ドラゴンズで野球評論家の川上憲伸さんが、3月8日放送のCBCラジオ『若狭敬一のスポ音』に出演。1月に日米同時野球殿堂入りを果たしたイチローさんと、実際にマウンドで対峙した時の経験を語りました。聞き手は若狭敬一アナウンサーです。
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この記事をradiko(ラジコ)で聴くイチローに感無量
川上「ピッチャーから野手に転向した苦労人で、4割近い打率とピッチャーの肩を活かしたレーザービーム。アメリカへ行ったら日本人として初めての首位打者ですよ」
まずはイチローさんへの思い。川上さんが一番印象に残っているのが2001年、イチローさんがオールスターゲームに初出場、ランディ・ジョンソンと対決した瞬間だそうです。
川上「ここまで来たかと、うわーって感動しましたよ」
この時のイチローさんの結果は初ヒット、初盗塁を決めました。川上さんにとっては、ここがイチローさんに一番感動した部分。
それ以降のイチローさんの記録などは、イチローさんなら成し遂げて当たり前に思えたんだとか。
雑誌で知る
川上「一番僕の中で印象があるのが、僕の2つ上で、僕が高校2年目の時に、『輝け甲子園の星』という雑誌の表紙がイチローさんだったんですよ」
川上憲伸少年が最初にイチローという野球選手を認識したのが雑誌でした。
川上さんはイチローさんの2つ下。1992年の『輝け甲子園の星』の7+8月号の特集は「甲子園ヒーローたちの新世界」と題して前年ドラフトでプロ入りした甲子園ヒーローたちが載っていました。
表紙は12人のプロ入りした選手たちの顔写真が4×4で並べられ、イチローさんは右上の角。記事の中にもまるまる1ページ、イチローさんのオリックス・ブルーウェーブのユニフォーム姿の写真も載っています。
川上「その時のイチローさんは、まだほぼピッチャーなんですよね。ひょっとしたらイチローになってない感じ」
愛工大名電時代、イチローさんは投手でした。オリックスへ入団直後の登録名はまだ鈴木一朗でした。イチローになったのは1994年からです。
神宮外苑が騒然
川上さんは明治大学時代に、イチローという名前がどんどん有名になっていくのを間近で感じていたそうです。
1995年の日本シリーズは、東京ヤクルトスワローズ対オリックス。神宮球場での日程が、東京六大学野球の秋季リーグとちょうど重なっていたそうです。
例えば、昼間に明治大学対早稲田大学の試合が終わると、ナイターの日本シリーズを待っているファンで神宮外苑が大変な状態だったんだとか。
川上「オリックスって、もちろん4番バッター、クリーンナップもすごいし、投手陣もいいんだろうけど、イチロー対ヤクルトというイメージでしたよ」
当時のイチローさんの注目度を振り返る川上さん。
イチローと対決
川上さんとイチローさんの接点は、1998年ナゴヤドームで行われたオールスターゲーム第1戦。この時は2打席で対決しています。
1打席目、イチローさんは2番センターでスタメン。川上さんは先発でした。
1回表、ワンアウト、ランナーなしの状況で、イチローさんはワンストライクからの2球目を打ってショートゴロエラー。
ちなみに、その日のショートは広島東洋カープに在籍していた野村謙二郎さんでした。
川上「あいたっ!うわ~走られるぞ~といろいろ思いましたよね」
第2打席目は?
2打席目は3回表、ワンボール、ツーストライクからの5球目にイチローさんがセンター前ヒット。
オールスターゲーム、川上さん対イチローさんは2打数1安打でした。
川上「覚えてますよ。テーレテレテレ~」
ここでイチローさんの応援歌を口ずさむ川上さん。
川上「セ・リーグは覚えるんですけど、パ・リーグは覚えることないじゃないですか。だけどイチローさんのは覚えましたよね」
交流戦もない時期、川上さんの中には強烈にイチローさんの印象が残っているようです。
投げていいのかな?
軸足とは逆の右足を振り子のように振るイチローさんの独特な打ち方は、掛け時計の振り子に例えられ、「振り子打法」と言われていました。
この振り子打法、対戦したピッチャーにはどう見えたのでしょうか?
川上「まず、びっくりしたのが、いつになったら打席に入るんかなあって言うぐらい、ホームベースから離れてる感じがしたんですよ」
バットを顔の前にグッと持ってきて、袖を引っ張るお決まりのポーズをやったから、もう投げていいよね?と戸惑うほどだったんだとか。
川上「どうしたらいいんだろうと思って、なんとなく投げたら、そこから急激に踏み込んできてのショートゴロでしたね」
踏み込みがすごい
イチローさんと対戦する前のイメージは、ベースに近く立ち、サラッと流し打ちのように打つイメージを持っていたそうです。
しかし実際に対戦すると全然違ったそうです。
マウンド上、投げ始めた川上さんからは、振り子の右足が柔らかく上がるのが見えたとか。
川上「僕がボールをリリースする瞬間にガーッとくる。それでは時計の時間がズレますっていう感じの、すごい踏み込みです」
一番大きい
また、イチローさんは打席に立つと身長も高く見えたそうです。
川上「自分の方にバットを立てられた時、思わず帽子取って『どうもです』って言おうかなと思ったぐらい大きく見えました」
イチローさんは細身。小さいイメージを持っていたそうですが、川上さんは「パ・リーグの打線の中で一番大きいんじゃないか」と思うほどだったとか。
川上「マウンドの方がバッターボックスより高い位置なのは間違いないんですけど、イチローさんと対戦した時は上を見上げてる感じでしたね」
対戦したピッチャーでないと分からないイチローさんのすごさ。川上憲伸さんのイチロー体験記でした。
(尾関)
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