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相続の妨げに?チェックしておきたい「未分割財産」

相続の妨げに?チェックしておきたい「未分割財産」

少子高齢化により、中小企業や小規模事業者の後継者難が大きな経営課題となっています。そして、元気なうちに資産の管理や、次世代へのスムーズな承継について考えていく必要性も高まっています。CBCラジオ『北野誠のズバリ』「シサンのシュウカツにズバリ」では、事業承継と資産承継について専門家をゲストに学んでいきます。2月19日の放送では、「未分割財産」がある場合の遺言書作成とその対応について三井住友信託銀行 名古屋営業部 財務コンサルタントの山崎豊さんが解説しました。

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「未分割財産」ってなに?

今回山崎さんは、「未分割財産」がある場合の遺言作成についての事例を解説しました。
そもそも「未分割財産」とはどのような財産なのでしょう?

山崎「遺言者が相続権を有しているが、『遺産分割協議』が終わっていないため、確定的に所有していない不動産等、遺言者名義に登記されていない財産のこと」

例えば、亡くなった方の名義のままの預金通帳などの金融資産も同様に未分割財産となるそうです。
事例に取り上げた人はどのような状況だったのでしょう?

山崎「80代の女性で、ご主人を4年前に亡くされており、推定相続人は、長男、二男、三男の3名」

財産としては不動産が3つ。自宅建物と土地がありましたが、自宅土地の一部が賃貸駐車場として保有されており、亡夫名義のままで「未分割財産」だったと続ける山崎さん。

山崎「自宅の評価額は7千万。長男の自宅敷地は5百万。二男の自宅敷地は5百万です」

金融資産は2千万とのことで総額1億円の財産でした。

「未分割財産」にはどんな問題が?

北野「そのお客様は自宅を亡くなったご主人の名義のままにしていたんですね?これはありがちなの?」

山崎「そうなのです」

自宅土地のうち、賃貸駐車場部分の土地を売却するか否かで、息子さん3人との間で意見がまとまらないまま相続税申告期限が迫り、遺言者自身で未分割状態での申告納税を完了したという経緯があったのだと山崎さん。
固定資産税に関しても、相続登記をしなくても支払いに支障はなかったことから、遺産分割協議が面倒になり遺言者自身の相続時に合わせて決めればよいと考えたのだそう。

山崎「相続開始後から4年間放置されていました」

北野「未分割財産が残っていることの問題点は何でしょうか?」

「未分割財産」は文字通り分け方が決まっていない財産です。遺言の執行時、つまり遺言者の相続が発生した後に、支障や各種リスクが内在することになります。
今回の事例の女性の場合、資産1億円のうち未分割財産が7千万であり、問題を先送りしている資産が大半を占めていると言わざるを得ない状況でした。

山崎「相続発生後に相続人間で意見の調整がつかず、揉めてしまう可能性があります」

北野「未分割には事情があったとはいえ、問題先送り感は否めませんね」

後から相続者同士で揉めることがないように!

山崎さんは、どのようなアドバイスをしたのでしょうか?

山崎「遺言を作成する前に、遺産分割協議を行っていただくようアドバイスしました」

その結果、こどもたちはこれまで不都合なことが何も生じないで現在に至っていたため、遺産分割協議は完了していたものと勘違いしていたことが判明したのだそうです。

そこで山崎さんは、相続に「亡くなった夫の遺産分割協議を完了し遺言者の財産を確定させなければ、遺言者自身の相続も完了できない」と説明したところ、こどもたちは遺産分割協議に協力をしてくれたそうです。

山崎「遺言者様は、遺産分割協議によって未分割財産をご自身の名義に変更することを実現した後、きちんと遺言作成をしていただきました」

北野「無事に遺言作成できてよかったですね」

山崎「はい。未分割財産には円滑な相続に支障が生じることが想定され、思わぬリスクも内在します」

「未分割財産があるからといって遺言書を作ることができないわけではない」と続けた山崎さん。後々禍根を残すことにならないように、故人の財産は処理をきちんと進めて遺産分割を終えて名義を変更することが大事だと勧めました。

山崎「未分割財産がある場合や、交流の希薄な親族が相続人となる場合などは、遺産整理業務を信託銀行などの専門家に相談されるのも良いかもしれません」

北野は、相続者たちが後から揉め事にならないよう「未分割財産を解消した上で、しっかりと資産を承継できるようにしておかなくちゃいけないね」と締めくくりました。
(野村)
 

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