世界経済に衝撃!トランプ大統領、中国・メキシコ・カナダに関税強化
2月1日、アメリカのトランプ大統領が中国とメキシコ、カナダに関税を課す大統領令に署名したことが明らかになりました。中国からの輸入品には10%、メキシコとカナダからの輸入品には25%の追加関税を課すという内容です。2月3日放送の『CBCラジオ #プラス!』では、CBC論説室の石塚元章特別解説委員が、この話題について詳しく解説しました。
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アメリカでは、大統領が変わることで政策が大きく転換することがよくあります。共和党と民主党の2大政党制では、政権交代とともに官僚の顔ぶれも大きく入れ替わることがあり、方針転換を選挙の売りにすることもあります。
特にトランプ大統領の場合、通常では考えられないような政策を多く打ち出しており、「そんなことをやってしまうのか」という驚きを感じさせます。
石塚は、トランプ政権の特徴について、次のように指摘します。
石塚「トランプ大統領の場合は“仮想敵”を作るようなやり方。敵をわざと作って『あいつらが悪い。あいつらを倒さなければならない』という感覚を訴える。ああいうやり方がハマりやすいんでしょうね」
このアプローチは、支持者の感情をより強く刺激し、共感を得やすい戦略です。
国民の不満が選んだ大統領
パーソナリティの三浦優奈が「見ていると、本当にとんでもない政策ばかりだなと私は思う」と率直な感想を述べると、石塚がアメリカの政治事情について、さらに深い分析を展開します。
選挙で一見変わったことを言うトランプ大統領のような人が返り咲いてしまった背景には、複雑な事情があります。
民主党側が選挙で掲げていた主張は、確かにかっこよく、正論に聞こえるかもしれません。しかし、実際に世の中で暮らしている国民からすると、景気が良くならず、苦しい生活が続いているという現実があります。
トランプ大統領の政策が一定の支持を得た背景には、移民政策をめぐる賛否が社会の分断を深める中で、意外な層からの支持も集まったことが挙げられます。
移民たちの複雑な本音
不法移民は冷静に考えると、法律に従って入国していない人々であることは事実です。しかし、一方で頼ってきた人を追い返すことへの倫理的な疑問も存在します。
最も興味深いのは、すでにアメリカに生活の拠点を築いている移民たちの中にも、後から入ってくる移民が問題を起こすことで、自分たちが白い目で見られることを恐れる人々がいることです。
彼らは、新たな移民による社会的な悪影響を懸念し、むしろ厳しい移民政策を支持する立場をとっていたのです。
民主党は、移民問題の複雑な実情に気づかず、単純に「移民は自分たちの味方だ」と思い込んでいました。
分断を突く政治戦略
一方、トランプ大統領は、社会の中で不満が溜まっている層に対して、「あなたたちの気持ちを理解している」という巧みなアプローチを展開しました。
彼の戦略は、本来であれば反対側にいるはずの人々の心にまでくさびを打ち込み、自陣営へと引き寄せることに成功したのです。
このような政治的手法の是非は別として、トランプ大統領の政治的感覚は非常に鋭いものがあったといえます。
揺れる世界経済
トランプ大統領の関税政策は、アメリカ国内だけでなく、世界経済にも大きな影響を及ぼす可能性があります。しかし、その評価については経済の専門家の間でも意見が分かれています。
日本経済への影響も同様で、プラスの側面を指摘する声がある一方、マイナスの影響を懸念する意見もあります。
特に注目されるのは、連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長の対応です。政策金利を据え置いたパウエル議長は、性急な判断を避け、慎重に経済の動向を見極める姿勢を示しています。
常識を超える関税戦略
トランプ大統領の関税政策は、従来の国際的な経済ルールから逸脱しているとの指摘もあります。
特に、薬物問題や移民問題への対応として関税を武器のように使用する手法は、世界的な常識から見ても異例のアプローチといえるでしょう。
さらに興味深いのは、トランプ政権内にもこの関税政策に慎重、あるいは批判的な意見があることです。
政策発表時の曖昧さや、具体的な実施時期の不明確さは、政権内部の意見の相違を示唆しているとも解釈できます。
トランプ大統領の関税政策は、世界経済に大きな影響を与える可能性を秘めています。その真の影響については、今後の経済動向を注視する必要があるでしょう。
(minto)