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アメリカの買収計画で話題のグリーンランドってどんな場所?

アメリカの買収計画で話題のグリーンランドってどんな場所?

トランプ米次期大統領は、デンマークの自治領であるグリーンランドの領有権をアメリカが所有すべきだと発言し、買収に応じない場合の経済的・軍事的圧力もちらつかせています。トランプ氏は第1次政権下の2019年にもグリーンランドの買収を主張し、拒絶されています。1月14日放送『つボイノリオの聞けば聞くほど』(CBCラジオ)では、グリーンランドについて、小高直子アナウンサーが説明しました。聞き手はパーソナリティのつボイノリオです。

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地図で見ると大きく見える

グリーンランドは北アメリカ大陸とヨーロッパの間にあります。

1721年から1953年(昭和28年)まではデンマークの植民地であり、その後、デンマークの県として支配されていましたが、1979年(昭和54年)に自治権を得て、内政の大部分で権限を獲得しました。

そして、2009年には正式な自治権を持つデンマーク自治領となり、近年では独立を望む声も多くなっているそうです。

ただ、デンマークからの補助金で財政を賄っている部分が多いため、独立は実現されていません。

メルカトル図法で描かれた日本を中心とした世界地図、私たちがよく見る四角い平面の地図で見ると、グリーンランドはアメリカの右側にあり、かなり広大な土地のように見えます。

しかし、実際の面積は日本の6倍程度です。

「グリーンランド」名前の由来

グリーンランド位置を地球儀で確認すると、カナダとスカンジナビア半島の間にあることがわかります。
その大部分が北極圏に属していて、80%以上が氷に覆われています。人が住んでいるのは沿岸部だけで、人口は約5万7千人。うち9割が先住民のイヌイットです。

沿岸部はフィヨルドが多く、道路や鉄道の建設が難しいため、かつて都市間の移動は夏は船、冬は犬ぞりだったそうですが、現在はヘリや飛行機が多くなっているそうです。

ところでほとんどが氷に覆われているのに、なぜ「グリーン」ランドと呼ばれるのでしょうか?

命名したのは「赤毛のエイリーク」と呼ばれた10世紀頃のバイキング。
この人は近くにあるアイスランドも先に名付けていたのですが、寒いイメージが強くて誰も移り住まなかったという反省から、逆に魅力的な名前をつけようと「グリーンランド」にしたそうです。
グリーンランドよりもアイスランドの方が暖かく、実際とは異なります。

産業構造が変わってきた

主な産業は漁業と水産物加工業で、2010年のデータでは輸出の87%が水産関連、中でもエビが半分以上を占めています。

しかし近年は地球温暖化の影響を受け、かつてマイナス20度ほどだった年間平均気温は、2006年にはマイナス5度まで上昇。
2021年には観測史上初めて、雪しか降っていなかった標高の高い場所に雨が降ったことがニュースとなりました。

氷に閉ざされた冬が長く続きましたが、最近は海が凍る期間が短くなってきているそうで、1980年代から2010年代までのおよそ30年間で、植物の生える地域が2倍になったという研究結果もあります。

氷が少なくなった分、漁ができる期間が増えた一方、エビの生息地が北上してしまったり、獲れる魚が変わってきたりと、温暖化は漁業にも影響を与えています。

また、寒さが和らいだことで観光に来る人が増え、観光ができる時期も長くなっているということで、氷山やクジラを見るクルーズやオーロラ鑑賞など、ヨーロッパからの観光客が増えているそうです。

さらに農業ができるようになり、キャベツやカブなど寒さに強い野菜を作る動きも出ているそうです。

その他には地下に石油や天然ガス、レアメタルやレアアースなどが大量に埋蔵されていて、氷が溶けたことによって掘りやすくなったとのことです。

なぜ買収したがるのか?

グリーンランドはヨーロッパとアメリカの間を結ぶ最短ルートにあり、第二次世界大戦中にはアメリカとイギリスを結ぶ中継地点とされていましたが、デンマークがドイツに占領された時、グリーンランドはアメリカが防衛していました。

1951年に軍事協定が結ばれ、今もアメリカはピツフィク宇宙軍基地を持っています。
北米に飛んでくる大陸間弾道ミサイルの監視や弾道ミサイルを搭載できる原子力潜水艦への警戒などを行なっています。

また、デンマークを通じてNATOに加盟しているため、アメリカとの関連性はあるものの、中国やロシアへの警戒のため、グリーンランドを買収したいという思いがアメリカ側にあるようです。

中国は北極海航路を「氷上のシルクロード」と呼び、北極圏での事業への投資を加速させています。

グリーンランド買収話の裏には、グリーンランドに近づく中国と、それを警戒するアメリカという構図があるようです。
(岡本)
 

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