怠ると10万円以下の過料発生!相続登記の義務化に注意
少子高齢化により、中小企業や小規模事業者の後継者難が大きな経営課題となっています。そして、元気なうちに資産の管理や、次世代へのスムーズな承継について考えていく必要性も高まっています。CBCラジオ『北野誠のズバリ』「シサンのシュウカツにズバリ」では、事業承継と資産承継について専門家をゲストに学んでいきます。12月4日の放送では、豊富な不動産を持っている方の相続についての相談を北野誠と松岡亜矢子が三井住友信託銀行 名古屋営業部 財務コンサルタント山﨑徹治さんに伺いました。
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今回、山崎さんが紹介したのは、不動産を沢山持っていて代々相続しているAさんからの相談です。
山崎「不動産をお持ちなのは羨ましいですが、中には田畑や山林など、売れない不動産やもらっても困る不動産というのが結構あります」
今回のケースは、先祖代々の山林や田畑などを県内外に持っていて、中にはこどもたちがその場所や存在すら知らない物件もあるのだそう。
こどもたちはサラリーマンや主婦なので管理ができません。固定資産税などもかかり「正直なところ負担になります」と山崎さん。
知らないと過料も?相続登記の義務化
Aさんは、なぜ山崎さんに相談してきたのでしょう?
山崎「ひとつのきっかけは、今年4月に法制化された『相続登記の義務化』です」
かつて相続した不動産は名義を変えなくても罰則はなかったそうですが、今年度から速やかに登記することが義務になりました。
もし正当な理由なく登記を怠った場合には、10万円以下の過料が適用されてしまう場合もあるそうです。
北野「それは今年4月より前にお亡くなりになっている場合も対象になる?」
山崎「そうなんです。すでに相続が発生している不動産も対象になります」
現状では代替わりを重ね、持ち主不明の土地がどんどん増えてしまっているとのこと。そんな状況から国や行政も本腰を入れて対策にあたり始めているそうです。
不動産を承継しないと、他にも影響はあるのでしょうか?
山崎「私は、不動産は人の手が入って活きるものと思っています。建物は人が住まないと傷みが早いですし、田畑山林を放置されてしまうと耕作放棄による我が国の食料の問題や、里山の機能低下による野生動物の人間の生活圏への侵入など(が考えられる)」
日本が抱えている社会問題に繋がることを危惧する山崎さん。
いざという時の準備を
北野「そういえば、この夏のコメ不足とかクマが街に下りてくるとか、よく耳にしますね。どのような対策をとっておけばいいんですか?」
現在はAさんが管理できていますが、事故や災難など急な事態になり亡くなった場合など、こどもたちが遺産分割で、良い不動産やお金は奪い合い、要らない不動産は押し付け合う争いに発生しかねないと山崎さん。
山崎「そうならないために、まずはご家族のうちでしっかり不動産を管理できる人を選んでおく必要がある」
誰を選ぶかは家族の状況次第ですが、仮に全員が反対だとしても、その管理の手間を負担する代わりに遺産も多めに相続させると決めて、遺言を作る方がよいと提案した山崎さん。
北野「遺言でもって、ちゃんと管理できる人にお金といっしょに承継してもらおうということですね」
場合によってはこどもの配偶者など第三者に相続することも考えられます。
山崎「原則的に遺言書で誰に渡すかは自由に指定ができます。ただし、田畑などの農地は、農地法により誰にでも渡せるとはいかない場合もあるので注意が必要です」
詳しくは専門家に聞いてほしいと促す山崎さん。
遺言書でしっかり継承
北野「最後に同じ悩みをお持ちの方に伝えておきたいことはありますか?」
山崎「中には扱いに困る土地もあるでしょうが、先祖代々の大切な不動産です」
国や行政も制度づくりを急いでいるとのことですが、「まずは家族内で承継することを主眼に検討してほしい」と山崎さんは続けます。
山崎「これから継いでいく子や孫たちのためにも、日本の原風景を守るためにも、遺言書でしっかり承継してご資産を守ってもらいたいと思います」
山崎さんの話に「遺言書が有効になってくる」と改めて認識する北野でした。
(野村)