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25%関税で日本車が大赤字に?トランプ大統領が衝撃の方針表明

25%関税で日本車が大赤字に?トランプ大統領が衝撃の方針表明

アメリカのトランプ大統領が自動車への25%関税方針を表明し、日本の自動車産業に深刻な影響が懸念されています。現在2.5%の関税が10倍になることで、アメリカの新車販売の4割を占める日本車の競争力が大きく低下する可能性があります。2月20日放送の『CBCラジオ #プラス!』では、CBC論説室の石塚元章特別解説委員が、トランプ大統領が進める関税政策の背景と、詳細発表までの不透明な展開について解説しました。

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自動車関税10倍の衝撃

日本が対象となった場合、基幹産業である自動車業界への影響は避けられない状況です。
現在、乗用車には2.5%の関税が課されており、これが10倍になれば経営に大きな打撃を与えることになります。

アメリカの新車販売の4割近くを占める日本車も標的となる可能性があり、深刻な事態となりかねません。自動車は日本の対米輸出額の28.3%を占める最大の輸出品目です。

関税引き上げにより販売価格の上昇は避けられず、品質の高さを誇る日本車であっても、価格競争力の低下は免れません。

企業が利益確保のために値下げで対応すれば、収益が圧迫され、アメリカ市場での事業継続にも影響を及ぼす可能性があります。

185兆円の赤字に危機感

トランプ大統領の政策の根底には、貿易赤字の縮小・解消という明確な目標があります。
貿易赤字とは、輸出額が輸入額を下回る状態を指します。アメリカの場合、他国からの輸入が輸出を大きく上回り、結果としてお金が海外に流れ出ている状況です。

この問題は長年続いており、1970年代からアメリカの貿易収支は継続して赤字を計上しています。特に1980年代のレーガン政権下で赤字幅が大きく拡大。さらに2024年の赤字額は前年比14%増の約185兆円と、過去最大を記録しました。

トランプ大統領は選挙戦において「アメリカを最強の国にする」というスローガンを掲げており、この貿易赤字の解消は重要な公約のひとつとなっています。

4月までの不透明な展開

トランプ大統領は貿易赤字の原因を相手国に求め、その解消策として輸入品への関税強化を打ち出しています。すでにメキシコやカナダに対しては、移民問題なども含めた複合的な理由から25%の関税を課す方針を示しています。

自動車への25%関税が実現すれば、日本経済への影響は避けられない状況です。しかし、この政策の詳細について、トランプ大統領は4月2日まで明らかにしないとしています。対象国や具体的な実施方法など、重要な情報が明示されていない状態です。

この手法について、石塚は「まさにトランプ氏らしい交渉術」だと指摘します。
発表から実施までの期間、各国が様々な対応を迫られる中、日本の経済産業省も警戒を強めています。

広がる関税の影響

トランプ大統領は、公約としてさまざまな政策を打ち出している以上、「実行している」という姿勢を示す必要があります。

しかし、実際に関税を発動すれば影響が大きいことも理解しているため、「25%」と大きく宣言しつつ、具体的な対象国や適用方法については慎重に判断する構えのようです。各国の出方を見極めながら、交渉の余地を残す狙いもあるかもしれません。

一定の猶予期間を設けることで、各国の出方を見極める一方、支持者には「公約通りに動いている」とアピールできます。こうした駆け引きの中で、今後の対応が注目されます。

しかし、実際に関税がかかれば、その影響は非常に大きくなります。

1台売るごとに赤字に

自動車産業は、単に自動車メーカーだけの問題ではありません。自動車産業は裾野が広く、多くの部品メーカーが関わっています。鉄、ゴム、プラスチックなど、さまざまな素材や部品が必要になるため、関税の影響は自動車本体だけでなく、関連する幅広い業界にも及びます。

これは、日本にとって、非常に大きなリスクです。

例えばトヨタの場合、2019年から2023年度の売上高に対する営業利益率は約10%。これをもとに考えると、400万円の車の場合、利益は10%の40万円となります。

しかし、25%の関税がかかると、100万円が追加コストとして発生します。すると、利益40万円ではこの負担をカバーできず、1台売るごとに60万円の赤字が発生する計算です。

価格を下げて対応しようとしても、売上が伸び悩み、経営への打撃は避けられません。

4月の発表前から、トランプ大統領の駆け引きは続き、日本の自動車産業は厳しい局面を迎えそうです。
(minto)
 

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