その町以外ではあまり知られていないけど…地元の人はみんな知っている！ その町で生まれ、根づく愛されフードを加藤愛が全力で調査します。今回は、天下の奇祭“はだか祭”で知られる『愛知・稲沢市国府宮（こうのみや）』の『羽二重餅』です。

超やわらか！ フワホワでスッという不思議な食感

聞き込みによると、『羽二重餅』は『松屋長春（まつやちょうしゅん）』という店の看板商品で、皮がモッチモチで、扱いが難しいほど軟らかいとか。高級小豆を使った中のあんこもたまらない味だそう。

おじゃました『松屋長春』は今年で90年の昭和10年創業で、“はだか祭”が行われる国府宮神社御用達の和菓子店でもあります。毎朝作りたての生菓子が30種類ほど並びますが、『羽二重餅』はほぼ予約分で完売してしまうという国府宮の銘菓です。情報通り、すごく軟らかく、慎重に手に取る愛ちゃん。「手で持った瞬間からホワホワだけど、口の中に入れてもフワッホワッで、お餅がスッと伸びて、スッと切れる不思議な感じ」と味わいました。

“つぶしあん”がタップリ！ 食べ応えもある羽二重餅

この軟らかさを作り出しているのは、滋賀県産のもち米のその名も“滋賀羽二重糯（もち）”を製粉したもち粉。サラサラのパウダースノーのようでありながら、強いしっとり感があり、水分を取り込みやすいとか。少しずつ水を加えながら丁寧に練り、液体のようなゆるい生地を蒸し上げるとプリンプリンの餅に。さらにメレンゲを混ぜ合わせることで、モチモチでふんわりとした餅が出来上がります。それを楕円形に１枚ずつ手で伸ばし、丸めたあんこをのせフワッと包んだら完成です。

中のあんこは、つぶあんとこしあんの中間の“つぶしあん”。小豆は兵庫県産の“丹波春日大納言（たんばかすがだいなごん）”で、国産小豆の生産量のわずか1％ほどしかない貴重な高級品種です。アク抜きを繰り返し、えぐみを徹底的に除去しつつも小豆が持つ旨みをしっかり残すため、あんこ作りにかかる時間はなんと５日間。この作業によって、のど越し滑らかなこしあんのようなスッキリ感と、つぶあんが持つ深いコクも残った“つぶしあん”が出来上がるのです。

2代目が何度も見た夢が現実に！ 人気に火がついたきっかけとは？

この究極の『羽二重餅』は、創業時に初代が考案。その後、2代目となった現店主が現在の形へと改良したのが50年ほど前で、当初から手応えを感じ、何度も行列ができる夢を見たとか。そんなある日のこと、その夢が現実に！ 息子さん(3代目)の幼なじみであるビオラ奏者がこの羽二重餅の大ファンで、演奏会のたびに差し入れをしていたとか。すると、友人でもあるバイオリニストの高嶋ちさ子さんが気に入ってくれ、18年前のある日、全国ネットのバラエティ番組でこの店の『羽二重餅』を紹介してくれたところ、一夜にして大ブレイク！　放送後の深夜から店の前に人が並びだしたそうで、「正夢になった時は、本当にビックリしました」と2代目が当時を振り返りました。

現在は、1か月前からの予約販売と毎朝先着5名の当日販売のみとなっていますが、羽二重餅と同じ生地を使った季節の生菓子もオススメだそうです。

（ＣＢＣテレビ「チャント！」2月28日(金)放送より）