松本人志さんが訴えを取り下げ。その理由を弁護士が解説
各社報道によると、11月8日、文藝春秋を提訴していた芸人の松本人志さんが訴えを取り下げ、裁判を終結させたことがわかりました。松本さんの代理人を務める八重洲総合法律事務所が吉本興業のオフィシャルサイトで発表し、代理人の弁護士は「裁判を進めることでこれ以上多くの方にご負担、ご迷惑をおかけすることは避けたいと考え、訴えを取り下げることと致しました」とコメントしました。11月9日放送『北野誠のズバリサタデー』では今回の裁判の顛末について、オリンピア法律事務所の原武之弁護士が解説しました。聞き手はパーソナリティの北野誠と、加藤由香アナウンサーです。
関連リンク
この記事をradiko(ラジコ)で聴く取り下げとなった理由
急展開の印象が持たれた今回の取り下げ、なぜこういう結論に至ったのでしょうか?
原弁護士「おそらく最初の主張をやり取りする中に、明確な証拠がないだろうというところが明らかになって、証人尋問しかない。
証人尋問になればいろんな話が出るし、この問題だけじゃなくてハレンチなこととかいろいろ出ちゃうので、おそらく原告代理人の方だと思うんですけど、裁判所を促して裁判所から和解案を出してもらったんじゃないのかなと思いますね」
考えられる和解案
では、どのような和解案が考えられるのでしょうか?
原弁護士「裁判所がこういう真偽不明の時によくやるのが、原告側は事実があったと思われたくないから、事実はないと否定させてあげる。
ただ、迷惑をかけたり(飲み会を開いたり)したことは事実だと。
あと一番よく言われるフレーズは『傷つけたり嫌な思いをした方がいらっしゃれば謝罪します』という文言を入れるんですよ。
事実を否定させてあげるけど、一定の何かがないと相手も引き下がらないから入れるフレーズなんですよ。
文春側には『一定のお詫びがあるんだからいいでしょう』ということで説得したと思うんですね」
どちらにもメリットが
訴えの内容は喧嘩という軽いものではないですが、喧嘩両成敗ということでしょうか?
原弁護士「松本さんとしては、このまま行けば勝ったって尋問でいろんなことがしゃべられて」
北野「それでまた文春に取り上げられて」
原弁護士「文春だけが得しちゃうんですね。おそらく文春は判決まで行っていいやと思ったかもしれませんけど、被害者の方たちが嫌だと言った可能性があるんですね」
北野「尋問に来るということは、本人が来なあきませんからね」
原弁護士「文春も守る術を失いかねないんですね。だとすると、ここは痛み分けで行った方がお互いにメリットがあるだろうということで、最後は裁判官が押したんじゃないのかと」
口頭弁論手続きの延期などで裁判の期間に空白があった件について、「裁判官が何かやったんだろうなと思うんですよね。お互いに強く言ったんだと思います」と推測する原弁護士。
勝った負けたではない結論
今回の取り下げを巡っては、X上で「松本さんの勝利」「文春の勝利」と意見が沸き上がっているようですが、少なくとも勝ち負けはなさそうです。
松本さんは一定の傷を負いながらも平常に戻ることができますが、一方で「文春の意図が読めない」と原弁護士。
原弁護士「裁判でよくあるんですけど、文春は何をやりたかったのかなと正直思いますね。
こんな終わらせ方をしたら結局真実は何かわからず、何のために報道したんですかっていう話ですよね。
報道というのは一定の目的があるわけで、『こんな玉虫色に終わらせるんだったらやらなきゃ良かったじゃん』っていう意見も出るんじゃないかなと。
となると、やっぱり文春側にもこうしなきゃいけない理由があったと思うんですね。
そういう意味でどっちが勝ったっていう話になると、松本さんの側の方が得るものがあったんじゃないかなと何となく思いますね」
北野は「芸人の立場で見ると、長い裁判を抱えるのはしんどい」と語り、これまでの裁判の経緯は結局よくわからないものだったとまとめました。
(岡本)