食品ロス削減は進む?外食の持ち帰りガイドライン策定
NHKの報道によれば、厚生労働省は16日、まだ食べられるのに捨てられてしまう「食品ロス」を減らすため、飲食店などで食べ残した料理を衛生的に持ち帰るためのガイドライン案を公表したとのこと。2022年度の食品ロスは472万トンと推計され、およそ半分の236万トンは外食での食べ残しや商品の売れ残りなど、事業系の分野で廃棄されているという状況。今回のガイドライン案では、持ち帰りは消費者の自己責任で行なうことを前提としています。10月26日放送『北野誠のズバリサタデー』(CBCラジオ)では、消費者庁が開催した「食品期限表示の設定のためのガイドラインの見直し検討会」の委員で、日本女子大学家政学部家政経済学科教授の小林富雄先生が、食品ロスを減らすための対策について解説しました。聞き手はパーソナリティの北野誠と加藤由香アナウンサーです。
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まずは小林先生に、日本の食品ロスの現状について伺いました。
2019年に食品ロス削減推進法が制定され、その後コロナ禍があったため減少傾向にはありましたが、コロナ禍が明けて外食産業も復活してきたため、リバウンドするのではないかとみられています。
食品ロスが多い原因のひとつが、イベントに絡んだ食品の販売が多いこと。
以前、恵方巻の大量廃棄が問題となりましたが、イベントが始まるまでは大量に生産して準備するにも関わらず、イベントが1日でも過ぎると一気に市場価値がなくなり、売れ残ってしまい、大量の食品ロスが発生してしまいます。
さらに鮮度に関してすごく敏感という日本人の特性も原因とされます。
小林先生は「残存期間と呼ばれますが、期限が残っているものに対する価値観が非常に高い」と評します。
例えば、飲み切るのにそこまで期間がかからないにも関わらず、スーパーでできる限り期限が後ろの牛乳を手に取りがちというのも特徴です。
ガイドライン策定の理由
今回、小林先生も関わっているガイドラインの策定は、飲食店で食べ残ったものを持ち帰りやすくすることから始まっています。
捨てられるのがもったいないので客側が「持ち帰りたい」と言っても、飲食店側が断るケースは多く、特にチェーン店や関東の店舗で目立つそうです。
ガイドラインでは責任の所在を明確にすることとし、お店側は説明を行なうことと、客側は持ち帰りが自己責任であることを検討しています。
持ち帰ってからいつ食べたのか、食べるまでどのように保存していたのかまでは店側では責任が持てない一方、何かあった時は客側が店名を挙げてSNSで広めるリスクを抱えています。
現状の法律では、あまり客側の責任に踏み込んだものはないそうで、ガイドラインでどこまで規定できるかがポイントとなりそうです。
持ち帰りしやすくする取り組みも
小林先生はドギーバッグに関する活動にも力を入れているそうですが、これは持ち帰りをしやすくするためのもの。
以前はお店側での持ち帰り禁止ルールをなくそうという内容でしたが、ここ10年ほどで解禁が進み、今は客側が恥ずかしがらずに持って帰りやすくする方向にシフトしているそうです。
また最近ではタッチパネルで「持ち帰り容器」をオーダーできる店舗もありますが、店内でのアピールが少ないため、あまり浸透してないのが現状。
アピールしづらい理由は食中毒が発生した場合の責任問題とのことです、やはり持ち帰りのルール化が求められているようです。
(岡本)