10月から27都道府県で上がる最低賃金。今後はどうなる?
27の都道府県で10月からの最低賃金上昇が相次ぎました。背景には、各地域での労働力確保の苦労があるようです。9月7日放送のCBCラジオ『大石邦彦のNOW ON SHARE!』では、CBC論説室の大石邦彦アナウンサーが最低賃金について解説します。
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この記事をradiko(ラジコ)で聴く地域格差の是正
企業の使用者側が労働者の賃金の最低額を定めた「最低賃金」。
厚生労働省が全国一律50円の引き上げを目安と示していたところ、27の都道府県において目安を上回る引き上げが行われるようです。
最低賃金は時給で換算され、「最低賃金法」で定められています。
毎年7-8月頃に引き上げ額が決定され、10月頃に改定されます。
大石「ようやく決まった、というニュースなんですね」
地方と都会では当然ながら、住宅費や食費など物価が異なります。
こうした地域格差による不公平感を是正するため、最低賃金は地域ごとに設定されます。
大石「確かに都会の物価はいま半端ないですからね!」
東京都の新築分譲マンションの平均価格は現在、1億円を突破していると大石。
同じような仕様なら10年ほど前の価格帯は5千万円前後でしたが、建築資材や人件費の高騰が背景にあるようです。
大石「そう考えると、名古屋くらいがいいですよね。名古屋も高くなったけども…住みやすいですよ、東京と比べたら」
「名古屋に住みながら東京にたまに出向くのがいい」と続けます。
東京のアイスオレは2400円!
また、最低賃金は地方によってランク付けされています。
放送エリアでは愛知がAランク(1077円)、岐阜(1001円)と三重(1023円)がいずれもBランク。
ちなみに北海道はBランク(1010円)で、東北は軒並みCランクです。
関東は基本的にAランク、北陸はBランク(900円後半)、関西はAランク(大阪、1114円)やBランクが多くなっています。
中国地方や四国はBランクか、Cランクで、九州はCランクとなっています。
Aランクがいいというわけではなく、その都道府県では住居費などの出費が嵩むことになります。
大石「各地方によって、違うわけなんですよね」
東京は住宅費以外にもいろんな物価が上がっている、とため息をつく大石。
最近、東京のホテルの打ち合わせで飲んだアイスオレは2400円だったそう。
大石「普通のアイスオレでしたよ。名古屋のコメダ珈琲のアイスオレは数百円で美味しい」
人材の海外流出に歯止めを
最近まで、給料の上昇分が物価高騰に追いつかない状況がなんと26か月も続いていました。
27か月ぶりにプラスに転じた6月まで、ずっとマイナストレンドが続いていたのです。
大石「実質賃金はずっとマイナスが続いているんですね」
では、海外の最低賃金はどうなのでしょうか?
1月時点で比べると、オーストラリアは2441円でした。
大石「東京というか、日本の倍以上です」
そのため、オーストラリアには短期の出稼ぎに行く人も増えています。渡航費や滞在費を加味しても、お釣りが来るようです。
他の国では、ドイツが1943円、イギリスが1893円、フランスが1800円台。
一方、韓国と日本は1000円台をやや超えた程度。
給料が安いと、いい人材がどんどん海外に流れてしまう懸念もあります。
大石「日本はここでちゃんと考えないといけない、と思いますね」
長いトレンドでみれば、800-900円台だった頃よりはずいぶん上がったといえますが、「結局は給料を上げないといい人材が集まらない」と大石。
大石「バブル以降、儲かっても人に還元せずに企業が溜め込んだ。30年間内部留保して、いいことありました?」
日本経済の成長鈍化の原因はそこにあると指摘する大石。
内部留保せず、人材にしっかり使っていただきたい、と期待を寄せました。
(nachtm)