海のレジャーでは要注意!ライフセーバーが不足している
私たちが海やプールで安全に遊べるよう守ってくれるライフセーバー。救助だけでなく、事故を未然に防ぐために活動をしています。しかし、時代の変化とともに課題が生まれ、さらに長年に渡って続く日本のライフセーバーの課題もあるようです。8月6日放送の『CBCラジオ #プラス!』では、CBC論説室の北辻利寿特別解説委員が、いまどきのライフセーバー事情について解説します。
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北辻「英語でライフセーバー、命を救う人という意味です。救命行為をライフセービングと言いますが、主に川や海など水辺の事故での救助、蘇生や応急処置をする人を『ライフセーバー』と言います。
ヨーロッパ発祥らしいです。
日本では大学生たちがアルバイトでしている場合が多いです。2020年からのコロナ禍で、大学が休校になったりして、ライフセービングなどのサークルがあったのですが、活動ができなくなって、人材育成のつながりが途絶えてしまったというニュースがありました。
しかし、公益財団法人の日本ライフセービング協会に聞いてみたら、コロナ禍も節目を迎えてふたたびライフセーバーのなり手も増えてきて、去、協会の資格を得た人は2,400人あまりあって、ほぼコロナ禍前に戻ってきたそうです」
ライフセーバー不足
北辻「しかし、問題はあって、日本の場合ライフセーバーの数自体は足りていません。
海上保安庁によると、日本の全国に海水浴場は1,038カ所。このうち認定の資格を持ったライフセーバーがいるのは215カ所、わずか2割です」
それ以外のところはどうしているのでしょうか?
北辻「自前のアルバイトを置いたり、海の家のスタッフが交替で見たりとかやっています。
そこにはライフセーバーの日本における立場の違いがあります。
一番大事なことは、日本の場合ライフセーバーの仕事はアルバイトが中心です。
なぜかというと海水浴シーズンは7月、8月だけです。通年で働くことがなかなかできないです。
大学生が夏休みにアルバイトで働くことはあるけれど、一般の人が担当するにはあとの10カ月仕事がないです。生活が安定しないと数が増えないですね」
海外ではどうでしょうか?
北辻「アメリカ、オーストラリア、ニュージーランドなどは『ライフガード』と呼びますが、立場が公務員です。警察官とか消防隊員と同じで公的な雇用となるので、年間通して給与も保証されていて、海水浴シーズン以外でも仕事があります。
だからスタッフの人数も安定的に確保されています。ライフセーバーの立場が決定的に違います」
海水浴客の激減
北辻「ただその一方、日本では海水浴をする人の数が減っています。
レジャー白書によると、40年ほど前のピーク時には3700万人以上の海水浴客がいた。
コロナ禍直前には600万人に落ち込んでいて、最新の調査だと海水浴客の数は300万人です。ピークの10分の1以下に減っています。
なぜかというと、レジャーが多様化しています。
昔はレジャーというと海水浴だけでしたが、他にもやることがいっぱいある。あと、海水浴が大好きな子どもたちの数が少子化で減っている。また、厳しい猛暑で日焼けが怖いと海に行かない人も増えています。
それによって海水浴場の数が減っているので、ライフセーバーたちの活躍の場もずいぶん影響を受けています」
自分の身は自分で
北辻「ライフセーバーの仕事はもともと溺れた人を助けるのではなく、事故を未然に防ぐことだそうです。そのためには自分の命は自分で守るということを徹底して欲しいと協会は話しています。
そういう意味で海水浴場が閉鎖になると、水と触れ合う機会が少なくなります。逆にそれが水の事故から身を守るということにつながっていかないという負のスパイラルになっているという現状です」
海水浴やプールに行った時、ライフセーバーがいるかどうか確認しましょう。
(みず)