北海道「野付半島」の先端にある“謎の遺跡”の正体とは 知られざる歴史を道から紐解く旅
ミキの昴生と亜生がMCを務める、全国の道に特化したバラエティ番組『道との遭遇』。今回は前回に引き続き、YouTubeチャンネル「おもしろ地理」でさまざまな道を紹介している、道マニア歴23年のかずまるさんが、地元・北海道にあるイチオシの道を巡ります。
海の上を歩ける!野付半島の遊歩道
かずまるさんと一緒に旅をするのは、プロギャルのぱにぱにぱにぱにともちんぱさん。道道950号から、釣り針のような独特な地形が特徴の「野付(のつけ)半島」の先端を目指していた2人。先端には何があるのか?なぜ変わった地形をしているのか?道を巡って野付半島の知られざる歴史を紐解きます。
野付半島の根元から車を走らせること5分。ミズナラの木が立ち枯れたまま残る「ナラワラ」が姿を現します。土に海水が流入したことによって立ち枯れ、その物寂しく荒れた光景から最果ての地と言われています。立ち入り禁止エリアですが、道沿いの展望スペースから景色を楽しめるようになっています。
野付半島の真ん中あたりに来たところで、道道から分岐した道を進む2人。「この先に見せたい道がある」とかずまるさん。辿り着いたのは、海の上を歩ける遊歩道。
(道マニア・かずまるさん)
「いろんな道を歩いてきたけど、こんな海の上をゆっくり歩けるところはここだけ。その先はトドワラが広がっている」
遊歩道の先には、北海道を代表する針葉樹・トドマツが海水に侵食されて朽ちたトドワラが。木々が育たなくなり、現在の荒涼とした景色になったそう。環境保護の観点から自然公園に指定されており、観光客が景色を楽しめるよう遊歩道が設置されています。
土砂が堆積してできた日本最大の砂嘴
トドワラから車を走らせること15分。道道950号の終点から、さらに奥の立ち入り禁止エリアへ。特別な許可を得て、歩いて向かいます。
道中では鹿と遭遇し、2人は大興奮。ほかにもキタキツネや、暖かい季節にはアザラシを見ることもできるそう。野生動物が生息する野付半島は、「豊かな生態系が魅力的」とかずまるさんは言います。
さらに、歩くこと40分。先端の手前には、かずまるさんが見てほしいというポイントが。
(道マニア・かずまるさん)
「ここ一帯は、非常に多くの土砂が堆積してできた地形。その土砂は、すぐ近くの標津川や摩周火山などから流れてきた土砂が徐々に堆積して、海流でこのようないびつな形になった。多くの土砂と特徴的な海流によって野付半島の素晴らしい地形ができた」
このような土砂が堆積してできた半島を、「砂」の「嘴(くちばし)」と書いて「砂嘴(さし)」と呼び、全長26kmにも及ぶ野付半島は、日本最大の砂嘴として知られています。
野付半島の先端にある“謎の遺跡”の正体とは
2人はいよいよ最先端へ。歩くこと1時間。ついに野付半島の最先端に到着。
(道マニア・かずまるさん)
「1000以上の日本の市町村を回ってきたけど、こんなに周りに海がずっと広がる景色を初めて見た!」
野付半島は、海流のスピードや運ばれてくる土砂の量によって日々形を変えているため、昔と比べてもかなり地形は変わっているそう。そして…
(道マニア・かずまるさん)
「もう1か所行きたいところがある。違う先端には“謎の痕跡”が残っていて、その遺跡がこの地域の歴史を示す手がかりになっている」
“謎の痕跡”を探しに、2人は別の先端へ。鹿の群れを横目に、湿地帯を歩くこと1時間。先端に辿り着き、現れたのは石塔。
(道マニア・かずまるさん)
「これは供養塔。『きらく』といって、昔人が住んでいた場所」
江戸時代から明治時代の初期まで、野付半島の先端には「きらく」という町が存在したそうで、漁業が盛んで多くの人が集まる場所だったと言われています。1799年に設置された宿泊施設「通行屋」が起源とされており、さらに、国後島へ行くために先端から船を出す交通の中継地点として重宝されました。
近くには墓石もあり、「ここで働いていた人のお墓」とかずまるさん。さらに、もう一つ言い伝えがあるそうで…
(道マニア・かずまるさん)
「ここに遊郭があって、娯楽の地になっていたらしい」
一説には、旅人や漁師が通ったとされる遊郭があったとも言われており、「きらく」の由来は、“気が楽になる”からきているとかずまるさんは言います。
幻の町の歴史を持つ野付半島ですが、現在地盤が毎年1.5センチほど沈み続けているようで、いずれ孤島になるのではないかと言われています。
2024年12月17日(火)午後11時56分放送 CBCテレビ「道との遭遇」より