世界最長の海底道路トンネル!“土木のアポロ計画”と呼ばれた「東京湾アクアライン」の裏側・緊急避難路に潜入
全国の道に特化したバラエティ番組『道との遭遇』では、道マニアがイチオシの道をご紹介。今回は、「東京湾アクアライン」を巡りました。(この記事では道情報だけをまとめてご紹介します)
川崎市と木更津市を結ぶ夢の架け橋「東京湾アクアライン」
構想から36年、総事業費約1兆5000億円をかけて造られた、神奈川県川崎市と千葉県木更津市を一直線に結ぶ夢の架け橋「東京湾アクアライン」。当時最先端の技術が集結され、その実現の難しさから“土木のアポロ計画”と呼ばれたこの海を渡る道路は、1997年12月18日に開通。走行距離は約3分の1に短縮し、今や首都圏の自動車交通にとって欠かせない道となっています。
「東京湾アクアライン」の全長は、約15km。木更津から東京湾に浮かぶPA「海ほたる」までを結ぶ、日本最長の橋「アクアブリッジ(約4.4km)」と、「海ほたる」から川崎方面へ渡る世界最長の海底道路トンネル「アクアトンネル(約9.5km)」の2つの道から構成されています。
「アクアブリッジ」は、路面の視認性を上げるために橋の欄干にライトをつけて路面を照らしているそう。海を照らさないよう環境にも配慮されており、「東京湾アクアライン」が海上に鮮明に浮かび上がる光景は、日本夜景遺産の1つとなっています。
排気ガスを排出する換気施設「風の塔」
「アクアトンネル」の壁面には青い「ペースメーカーライト」が設置されており、走行速度の低下などを意識させるため、時速80kmで走行するとライトの光が並走して見えるようになっているとのこと。
また、川崎市浮島の沖合約5kmの場所には、巨大な換気施設「風の塔(川崎人工島)」が存在。大小2つの塔があり、大きい塔から吸気し、小さい塔から排気ガスなどを排出しています。
「風の塔」の真下のトンネル内には、「風の塔(川崎人工島)地点 海面下57m」の看板が。「日本の道路で一番標高が低い地点。ここより低い国道はない」と道マニアは言います。
「アクアトンネル」の下にある緊急避難通路
360度を海に囲まれた人工島には、世界でも珍しい海に浮かぶPA「海ほたる」があります。その「海ほたる」から続く「アクアトンネル」の真下には、本線と同じ長さの避難用トンネルが存在。避難路天井のわずか40cm上にある本線を車が走っています。
避難路には避難用スロープや非常電話、さらに給水栓や救助用スロープがそろう避難場所が、300mごとに上り線33か所、下り線33か所、合計66か所あるそう。
また、内部に風を送って気圧を高くすることで避難路から本線へと空気が流れ、火や煙が入ってこない仕組みになっているとのこと。避難路から地上に出る際は、3か所ある「海ほたる出口」「風の塔出口」「浮島出口」が使われます。
12月19日(火)午後11時56分放送 CBCテレビ「道との遭遇」より