鉄道の下にねじれたトンネル!?線路の下を斜めに貫く「ねじりまんぽ」とは
ミキの昴生と亜生がMCを務める、全国の道に特化したバラエティ番組『道との遭遇』。今回は、全国100万キロ以上の道を巡ってきた道マニア歴25年の鹿取茂雄さんと、岐阜県にある“鉄道沿線の道”を巡ります。
鉄道が原因で幅員減少 道マニアが沸く通称「ハト標識」
鹿取さんと一緒に旅をするのは、一般の男性。
(道マニア・鹿取茂雄さん)
「今回は、鉄道沿線の道。道路と鉄道の交わる部分を中心に見ていきたい」
東京駅から東海地区を通って兵庫県の神戸駅までをつなぐJR東海道本線。中でも、岐阜県にある“沿線ならではの特殊な道”を巡ります。
2人が最初に訪れたのは、岐阜県瑞穂市。東海道本線のすぐ近くを走る県道171号を歩いていると、見えてきたのは、幅員減少とト形道路交差点ありの2つの標識。これらの標識が縦に並ぶとカタカナの「ハト」に見えることから「ハト標識」と呼ばれ、道マニアの間でファンが多いそう。
(道マニア・鹿取茂雄さん)
「東海道本線の高架橋が原因で、道路の幅員が減少する」
東海道本線が全線開通したのは、明治22年(1889年)のこと。当時その工事の影響で鉄道下の道路の幅が狭まり、幅員減少の標識が設置されて「ハト標識」が生まれたそう。
(道マニア・鹿取茂雄さん)
「こんなに交通量が多いのに、突然センターラインが無くなる。対向車とすれ違いできないくらい狭い」
かつての参道!?鉄道の下を通る「ねじりまんぽ」
続いて訪れたのは、大垣市新開町。「東海道本線開通の影響で、一風変わった道が沿線にできた」と鹿取さんの案内で辿り着いたのは、鉄道下を通る変わった造りのトンネル。
(道マニア・鹿取茂雄さん)
「トンネルの下の部分はレンガが横に整列して並んでいるが、上半分はレンガが斜めに積まれてねじれている。このようなねじれた構造のトンネルを、“ねじりまんぽ”と言う」
「まんぽ」は地方の言葉で「トンネル」を意味し、「ねじりまんぽ」は全国に30か所ほどしかないそう。ここにあるねじりまんぽは、明治20年(1887年)に竣工の「甲大門(こうだいもん)西橋梁」。
(道マニア・鹿取茂雄さん)
「普通は鉄道と道路が直角に交わるところ、ここは鉄道に対して道が斜めに入っているので、強度を出すためにねじって造られている」
特殊なレンガの積み方で強度を高めてまで、あえて斜めに道を造ったのはなぜか…?トンネルを抜けた先に見えてきたのは、八幡神社の鳥居。
(道マニア・鹿取茂雄さん)
「この道は、昔から使われていた参道の可能性がある」
東海道本線開通よりもずっと前から八幡神社に繋がる参道として使われていたため、線路の下を斜めに貫いてまで維持させたのではないか、とのこと。
内部でレンガ製とコンクリート製に分かれる「宮東橋梁」
2人は東海道本線に沿って、「甲大門西橋梁」から少し東へ移動。すると、鉄道の下に2つ並行したトンネルが出現!
(道マニア・鹿取茂雄さん)
「一つは歩行者が通るための道。もう一つは水路を通すためのトンネル」
こちらは、道路と水路で二股に分けられた「宮東(みやひがし)橋梁」。トンネル内は、北側はレンガ、南側はコンクリートと造りが違う構造になっています。
「宮東橋梁」の近くには、北側に旧揖斐川橋梁、南側には現在の揖斐川橋梁が架かっています。東海道本線(揖斐川橋梁を含む区間)が開通した明治20年当時、かつての揖斐川橋梁が架設されましたが、東海道本線の複線化に伴い廃止に。昭和30年代に新しく橋(現在の揖斐川橋梁)が建設され、線路が切り替えられたそう。
(道マニア・鹿取茂雄さん)
「開業当時の橋梁として現位置にあるのはここだけ。岐阜県が誇るべき遺産」
鹿取さん曰く、そのとき橋に近い宮東橋梁だけ線路幅を確保するため、コンクリートで付け足したのではないか、とのこと。旧揖斐川橋梁は、歩行者・自転車専用の道路として今も活用されています。
10月10日(火)午後11時56分放送 CBCテレビ「道との遭遇」より