定年より少し前の退職した方は得する?損する?
『北野誠のズバリ』(CBCラジオ)の「ズバリマネー相談室」では、貯蓄、保険、税金、節約などのお金にまつわる疑問や質問を募集し、小宇佐・針田(こうさ・はりた)FP事務所のファイナンシャルプランナーが回答しています。5月18日の放送では、「定年退職よりも少し早く辞めた方が得という話は本当?」という疑問に対し、針田真吾さんが回答しました。聞き手はパーソナリティの北野誠と大橋麻美子です。
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この記事をradiko(ラジコ)で聴く誕生日の2日前に退職した方が良い?
今回、番組で取り上げたおたよりは次のとおりです。
「7月20日生まれで今年64歳になりますが、来年の誕生日で定年になります。よく先輩から『誕生日の前に会社を辞めないと年金がきちんともらえませんよ』と言われるのですが、イマイチわかりません。
具体的に何日前に退職をすれば良いのでしょうか?誕生日を過ぎると何かが変わるのでしょうか?教えてください」(Aさん)
針田さんは「おそらく失業手当のことだと思います」と前置きしつつ、65歳になってから退職するよりも、65歳の誕生日の前々日までに退職をすれば、失業手当が多く受け取れるというしくみを紹介。
法律上、年齢が1歳上がるのは誕生日の前日の24時のタイミングとされているため、誕生日の前日に退職すると、それは65歳まで働いたとして扱われます。
前々日の退職を勧めるのはこういう理由です。
Aさんの場合は2027年7月18日までに退職すると、64歳時点での退職で失業手当が多くもらえることになります。
失業手当の具体的な金額は?
では、なぜ65歳に退職すると失業手当は減るのでしょうか?
失業手当の金額を算出するには、まず失業をする前の半年間のボーナスを除く給料を日数にあたる180で割り、その80%となる「基本手当日額」を出します。
それに雇用保険の加入期間や退職をした理由に応じた日数をかけて支給されます。
この日数が多ければ多いほど失業手当の金額が上がることになりますが、64歳で辞めると基本手当という扱いになり、自己都合退職の場合、日数は90~150日間。
一方で65歳で辞めると、高年齢求職者給付になり、日数は30~50日間と3分の1に減ります。
失業手当で具体的にどれぐらい金額の差が出るのかといいますと、例えば20年以上勤めていた方が平均40万円給料をもらっていた場合、基本手当日額は5,999円。
64歳で退職すれば失業手当は150日分で約90万円なのに対し、65歳だと50日分で約30万円と60万円ほどの差が出ます。
退職金が減るデメリットも
ただし早く辞めるということは、退職金もそれだけ減る可能性があります。
定年前に自己都合で退職することで退職金の算定率が低く設定される可能性があるため、確認が必要です。
さらに収入がもらえない空白期間が生じることにも注意が必要。
失業手当はハローワークに申請してから7日間は待機期間が設けられ、その後原則として1か月間の給付制限が設けられるため、1か月半近く収入がないことになります。
昨年法律が改正され、自己都合退職であっても仕事を辞める前の1年前に所定の教育訓練を受ければ、1か月の給付制限はなく待機期間のみとなりました。
ただし、針田さんは「定年直前に教育訓練を受けるのには少し疑問が生じる」と注意。
その他、年金にも注意が必要。早く退職すると厚生年金の加入期間が短くなるため、もらえる年金が減ります。
例えば1年早く退職すると、月々2千円ほど年金が減るとのことです。
64歳で退職した方が良いケース
結局、64歳で辞めた方が良いのか、65歳まで働いた方が良いのかはケースによって異なります。では、64歳で辞めた方がいいのはどのような人でしょうか?
針田「20年以上働いてきた方で、直近で再就職する予定がないが働く意思はあるという方は、65歳より前で良いのではないか」
また、退職の理由が自己都合ではなく、特定の理由の扱いになると日数が150日から240日に延びるとのこと。
「特定の理由」とは会社の倒産や解雇以外に、本人の病気や親の介護などが認められることもあるそうです。
逆に65歳まで働いた方が良い方は、もともと再就職するつもりがない方や4週間ごとにハローワークで手続きするのが面倒くさい方が当てはまるとのこと。
よくネットで「退職で得する方法」とうたって、65歳の直前に退職することを勧める動画がありますが、「一度冷静になって計算された方が良いと思います」とアドバイスする針田さんでした。
(岡本)
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