廃道に残る「洞門」の様式美に感動!静岡県・伊豆半島の廃道を巡る旅
全国の道に特化したバラエティ番組『道との遭遇』では、道マニアがイチオシの道をご紹介。今回は、静岡県にある“廃道”を巡りました。(この記事では道情報だけをまとめてご紹介します)
当時の最先端!大正時代に造られたコンクリート製の廃隧道
伊豆半島の伊東市と熱海市をつなぐ国道135号の「新宇佐美トンネル」。東沿岸部には今も使われている整備された旧道があり、その奥には大正14年竣工の「宇佐美隧道」が眠っています。
平成5年に新宇佐美トンネルができたことで廃道化。70年近く使われた宇佐美隧道は幕を下ろしました。今はガードレールが設置され、車両が通行できないようになっています。
特別な許可を得て中へ入ると、隧道の内部はコンクリートブロックが詰まれた当時最新の造りになっていて、コンクリートに混ぜられた石が随所に見られます。
美しいデザインの「洞門」が眠る廃道へ
新宇佐美トンネルのすぐ北側にある「御石ケ沢(おいしがさわ)トンネル」は、昭和49年に完成。すぐ脇にある旧道は使われなくなり、廃道となりました。荒れた廃道の先には、落石や雪崩を防ぐための立派な「洞門(どうもん)」が今も残っており、明かり採りの窓と美しい洋風デザインが相まって、その様式美に目を奪われます。
廃道には、「片(かた)1号」「片2号」「片3号」と呼ばれるコンクリート製の洞門が3つ連続して眠っています。さらに少し離れた場所に存在する「曽我浦片隧道(4号・5号)」は、今も現役で活躍中。「近代土木遺産」にも指定されていて、通ることはもちろん、隣の道から気軽にその姿を楽しむことができます。
「立岩トンネル」の近くに存在する旧道と旧旧道
熱海市にある、平成17年開通の「立岩トンネル」。現役で使われているこのトンネルの近くには、昭和に使われていた旧道と、さらに大正時代に使われていた旧旧道の3世代の道が存在します。
立岩トンネルの海側には、大正時代に使われていた道がありましたが、昭和5年に起きた北伊豆地震で道が崩落。その道の代わりに造られたのが「網代(あじろ)隧道」です。
地震から2年後の昭和7年に完成したものの、幅が5mほどしかなく大型車同士のすれ違いができないため、新しく立岩トンネルが造られることに。網代隧道は平成17年まで使われ、立岩トンネルの開通後は旧道となり役目を終えました。
みなさんも、“廃道”をいつもと違う視点で楽しんでみてはいかがでしょうか。
6月6日(火)午後11時56分放送 CBCテレビ「道との遭遇」より