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小池百合子氏が愛知へ託すメッセージと女性リーダーの挑戦――逆境を力に変えるリアルストーリー

小池百合子氏が愛知へ託すメッセージと女性リーダーの挑戦――逆境を力に変えるリアルストーリー
CBCテレビ me:tone編集部

ロールモデルではなく、身近な「隣の女性」が持つリアルな本音を取材・発信することで、「今」を生きる女性たちを応援したい――。 そんな思いから、CBCテレビは「me:tone編集部」を立ち上げました。

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愛知県の女性市長ら5名のリーダーによるパネルディスカッションの様子はこちら【画像一覧】

今回の記事では、愛知県が「びじょんネットワーク」(事務局:東京都)の理念に賛同し、開催した初のイベントで、ゲストの小池 百合子東京都知事が愛知県に向けて語ったメッセージをご紹介。さらに、愛知県の女性市長や女性経営者ら5名のリーダーが語った女性ならではの視点や、未来へ向けた取り組みについてお届けします。

女性が活躍できる企業と未来の人材、少子化解消のための新しい視点

講演のテーマは「女性の活躍と地方創生 〜若者や女性に選ばれる愛知とは〜」。前半では、小池氏が都知事就任から10年間で行ってきた取り組みや成果を紹介するとともに、女性視点や、大義と共感によって大きな目標を達成した事例などが紹介されました。

そして、愛知県が今できること、その取り組みへの期待についてこう語ります。

小池氏:「昨年11月に開かれた『あいち女性の活躍促進サミット』は、東京都の方向性とも一致しています。これからも東京都と愛知県が女性活躍分野でも連携することが、全体としての底上げにつながっていくと思います。東京都では、女子中高生のSTEM分野へのオフィスツアーを実施するなど、『理系は男性の得意分野』という思い込みからの意識改革を目指した取り組みも行っています。」

※STEM
Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Mathematics(数学)の4分野の総称

CBCテレビ me:tone編集部

小池氏:「日本全体の課題でもある少子化対策も、東京都は『チルドレンファースト』を掲げ、出会いから結婚、妊娠、出産子育てまでを支援してきました。その結果、2025年の出生数は9年ぶりにプラスに転じました」

成果を紹介しながら、愛知県へのアイディアも提案します。

小池氏:「今年は末広がりの令和8年。そして名古屋市の紋章は8。8がつく日や場所でキャンペーンを展開するのはどうでしょうか?令和7年7月7日は婚姻数が25%アップしました。今年は令和8年8月8日が訪れます。何かムーブメントを起こしてみませんか?」

予算を投じるだけでなく、ワクワクや共感を生む仕掛けを考える視点は、小池氏らしさがにじみます。

小池氏:「ちょっとした工夫で意識は変わります。街の知恵を募って、集め、共感とともに実行していただきたい。人口の半分を占める女性のエネルギーを活かさないのはもったいないですよね。女性の力は無限です。」

と締めくくりました。

CBCテレビ me:tone編集部

愛知県の女性リーダー5名が登壇、多彩なメンバーが語る今の活動

後半は、ファシリテーターの藤原淳子氏と5名の女性リーダーによるパネルディスカッションです。

パネルディスカッション登壇者プロフィール
小池 友妃子氏 -碧南市長
日本大学文理学部を卒業後、民間勤務を経て碧南市議会議員を8年務めた後、2024年4月に碧南市初の女性市長に就任。

石川 智子氏-知立市長
知立市生まれ。市内の小中学校、愛知淑徳高校・短大卒業。民間企業や司会業を経て、2018年に知立市議会議員、2024年12月からは知立市長に就任。

佐藤 有美氏一長久手市長
南山大学卒業後に損害保険会社、愛知万博日本館、保険代理店で勤務。市民活動を経て2011年から長久手市議会議員、2023年9月に愛知県初の女性市長に就任。

梶山 美也氏-魚太郎株式会社 代表取締役社長
アメリカの大学を卒業後、東京で広告代理店やホテル業界のマーケティングディレクターを務めた後、東海エリア鮮魚市場や飲食店を経営する魚屋の2代目に就任。

近藤 にこる氏-EdFusion CEO
STATION Aiで学生起業家支援プログラムをきっかけに起業し、教育AI事業を創業。DX共創スペース『Hero Egg』のプロデューサーや、AIワークショップ『ButterflyBase』などを運営。

CBCテレビ me:tone編集部

愛知県の未来が、女性の活躍でさらに明るくなるように。そんなテーマでそれぞれが自己紹介をします。

小池(友)氏:「私は20歳で母を亡くし、仕事と子育ての両立の大変さを実感しました。また市長選の直前まで在宅介護も重なり、いつ寝ているかもわからない状態でした。そんな経験から、私自身は市民との対話を重視しております。さらに碧南市では女性の仕事と家事育児両立のため、女性起業家に対して補助金で支援しています。」

石川氏:「市議会議員を目指したときは子どもが小学生で、当時は知立市に子育て世代の女性議員がおらず、子育て世代の声を反映させたいと思ったのがきっかけです。知立市長に就任し、市の魅力と課題から可能性を感じているとともに、女性活躍・男女共同参画について女性だけでなく男性も考えることが大切だと思っています。」

佐藤氏:「長久手市は、平均年齢が日本一若い40.2歳で、多様性が尊重される街です。こうした柔軟な環境のなかで、積極的に対話することで生まれる施策をしたい、身近な存在でありたい。そんな思いで取り組んでいます。」

CBCテレビ me:tone編集部

そして、愛知県の女性経営者として2名が続きます。

梶山氏:「大学卒業後、17年間東京のホテルで働いていました。41歳のとき、突然父から『魚屋を継いでほしい』と連絡があり、ハイヒールを脱いで長靴での毎日が始まりました。当時、漁港の男だらけの現場では本当に苦労しましたが、今は魚屋になって良かったと思っています。」

近藤氏:「私は中学2年生で起業しました。いまは15歳、中学3年生です。AI時代の生き方を考え持続可能性のある世界を目指して、すべての子どもたちが本気で自由にAIやメタバース(XR)が学べるDX(デジタルトランスフォーメーション)教育施設などを展開しています。」

制服姿で堂々とスピーチする近藤氏に、会場からは感嘆の声や拍手が沸き起こりました。

CBCテレビ me:tone編集部

女性リーダーとしての強み、苦労したエピソードは?

続いて、女性ならではの視点や想い、就任当時のストーリーに話が及びます。

小池(友)氏:「女性は政治家に向いていると思っています。生活する上での課題・解決は、様々な経験をしたことのある人の方が現場での声を聞けるため、より豊かなアイディアが出せるんじゃないでしょうか。」

石川氏:「実際に市長になってみたら、子育て世代はもちろん多世代の声を聞く機会が増えて、幅広い視点が大切だと実感しています。まだまだ女性の視点が生かさせていないと感じているので、自分のなかの固定概念をとっぱらうところから始めたいです。」

佐藤氏:「私はよく、愛知県初の女性市長とかパイオニアという文言で取り上げていただくことも多いのですが、実は当選するまで全く気にしていませんでした。女性であることがハンデとは思いませんし、長久手市の有権者の方も性別では選んでいないのでないかと思います。」

梶山氏:「社長就任当時はひどいものでした。「女の下で働きたくない」「女の言うことなんて聞けるか」と直接言われましたし、私が右と言えばみんな左を選びました。そこから19年、いま魚太郎は鮮魚市場が7拠点、さらに回転寿司やBBQも運営するなど業務拡大しています。」

近藤氏:「中学1年のときの授業で、初めて起業という概念を知りました。それまで授業やテストで答えがひとつのものしか知らなかった私にとって、世の中にない答えを自分でつくっていくことにチャレンジしたい!という気持ちがどんどん大きくなりました。」

諦めないことで信頼は生まれる

ここからは女性経営者のおふたりの背景について深掘りします。

まずは梶山氏。華麗なキャリアを捨てて家業を継いだにも関わらず、待っていたのは現場の男性たちから受けた厳しい洗礼でした。

梶山氏:「東京時代は4つの部署を管轄して、秘書も男性部下もいたのに、魚屋では『FAX送っとけ』と言われる毎日。くじけそうになりましたが、信じてもらうには成果を出すしかないと思い直しました。スポーツなら性差があるけど、これはビジネスだ。私だけは性別を気にしないでいようと決めました。」

と振り返ります。そして、彼女が実際に行ったことは、

梶山氏:「商品の値札の下に説明文章をつけました。彼らには『無駄だ、お客さんには口で説明すればいい』と言われましたが、売上は伸びました。その後も、新鮮なシラスをバックヤードで冷凍するのをやめて、売り場に直接並べたところ、いまや主力商品になっています。」

と、それまでの習慣をやめて買い手目線を取り入れたことで成果を出し、信頼を勝ち取っていきました。

CBCテレビ me:tone編集部

続いて中学生の近藤氏が、進路を切り拓いていった方法について語ります。

近藤氏:「起業したい、向いているかもしれないと思ったけど、前例も環境もありませんでした。でもどうしても諦めるのは嫌だったので『起業部』という部活をつくったんです。」

しかし、当初は順調にはいかず、

近藤氏:「メンバーを集めてもすぐいなくなってしまいました。でも、やりたい未来を語り続けているうちにAIと出会って、社会問題や地域についての課題が見えてきました。そこで、大人になってからじゃなく子どものうちからAIが学べる場所があるといいなと思ったんです。」

と、諦めない姿勢こそが道を切り拓くと語りました。

CBCテレビ me:tone編集部

女性首長が考える、女性活躍と未来のビジョン

最後に、これからの愛知やご自身について全員で意見交換をしました。

小池(友)氏:「市長室にいるよりも、まず現場に出て色んな方と対話し、実行に移していきたいです。特に子どもたちの話に耳を傾け、夢を描けるまちにしたい。碧南市から人の在り方を変え、日本を変えたいです。皆さまも、やりたいと思ったことを諦めずに1年続けてみてください。」

石川氏:「地方ならではの生きやすさや先人の方がつくってくださった文化を大切に、新しいものと融合をしていきたいです。『知立に新しい風を』というキャッチフレーズで当選したので、まずは自分のなかの意識を改革して、チャレンジし続けていきます。そのために、健康も大事にしたいですね。」

佐藤氏:「市政は生まれてから死ぬまで関係するものです。密着することで変えられると信じて、子どもたちが夢や希望を描けるまちづくりを進めていきます。女性初の総理大臣も誕生し、これまでの当たり前が崩されたはずです。女性であっても問題ない、そして性別問わず活躍できる社会をつくっていきましょう。」

梶山氏:「最初は社内で色々とぶつかりましたが、今では『何があってもこの人たちといれば大丈夫』と思えるくらいの信頼関係が築けています。これからの時代は、性別や場所に関係なくチャンスが降ってくる社会になりそうです。みんなが平等に活躍できるように、私たちのような年齢の人間が応援していけるといいなと思います。」

近藤氏:「AIやテクノロジーによって、年齢や性別関係なく同じ知識が身につけられる世界になります。知識の差がなくなった人間に残るものは、感じる力です。これからも新しい時代に飛び込んで、小さな一歩で世界を変えたい。今の目標は、リヤド万博が開催される2030年に、10代で世界一のエドテック企業になるべく挑戦をしていきたいです。」

最後に、ファシリテーターの藤原淳子氏が「明るい未来が見えてきた気がします。これから本当に世の中が変わっていくなかで、少しでも自分自身の価値観をアップデートしていけたらいいなと、私自身も感じました。」

と締めくくりました。

CBCテレビ me:tone編集部

会場を訪れた観客からは、
「経営者として悩むことが多いので、話を聞いて共感できるところがたくさんありました。私も、女性だからとか若いからと言われて話を聞いてもらえなかった経験があるので、魚太郎の社長さんの『成果を出して信じてもらう』という言葉を支えに、私も頑張ろうって思いました。辛い思いも頑張るエネルギーも含めて、私は1人じゃないと背中を押していただけました。(40代女性)」

「普段は市役所で働いています。他の市長さんの考え方や、一番若い近藤さんがどんなお話をされるのか気になって参加をしました。近藤さんが中学生で起業していらっしゃることに刺激を受けましたし、自由な感性や挑戦していく姿勢がいいなと思いました。(20代女性)」

「参加する前は女性活躍推進というイメージで参加しましたが、性別だけでなく世代も超えていくことや幅広い視野を持つこと、固定概念を崩していくことが大切というお話があり、その通りだなと感じました。(40代女性)」

といった感想が伺えました。

前半では、小池百合子東京都知事が10年の歩みとともに示した「共感から社会を動かす」戦略に触れ、後半では愛知で挑戦を続ける女性リーダーたちのリアルな声を追いました。
印象的だったのは、誰もが“特別な存在”として語られたいわけではないということ。大義を掲げるだけでなく、ネーミングを工夫し、数字で成果を示し、目の前の一人と対話を重ねる。あるいは、現場で成果を出し続ける。そうした小さな積み重ねこそが信頼を生み、やがて社会の空気を変えていくのだと感じました。

女性活躍の本質は「性別に関係なく力を発揮できる環境をどうつくるか」という問いにあります。東京から始まったムーブメントが愛知へと広がり、行政・企業・次世代が交差した今回の場は、そのヒントに満ちていました。

“隣の誰か”の挑戦が、次の誰かの勇気になる――。me:tone編集部はこれからも、そんな連鎖が生まれる瞬間を丁寧に伝えていきます。

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