「尿トラブル」原因を徹底解明…頻尿・尿もれ・残尿感「冬の尿トラブル」原因と解決法
身近な健康問題とその改善法を、様々なテーマで紹介する番組『健康カプセル!ゲンキの時間』。
メインMCに石丸幹二さん、サブMCは坂下千里子さんです。
ドクターは、三井記念病院 泌尿器科 部長 医学博士 榎本裕先生です。
今回のテーマは「〜頻尿・尿もれ・残尿感〜専門チームが救う!冬の尿トラブル」
近年、様々な自治体で尿トラブルに対する市民講座や尿もれ予防体操教室が開催され大人気だそうです。頻尿や尿もれなどの尿トラブルは男女問わず起こります。60歳を境に尿のお悩みを感じる人は急増。放置しているとますます悪化し、睡眠不足・外出への不安・気の落ち込みなどによって身体を動かす機会が減り、寝たきりの要因の1つになることもあるのだとか。そこで今回は、真冬の尿トラブルの原因や解決法を専門医に教えてもらいました。
尿トラブルの基礎知識
<冬にトイレが近くなる理由は?>
冬は尿トラブルが深刻になる季節。冬にトイレが近くなるのは、寒さもあるそうですが、汗をかく量が減ると体内の水分が減りにくくなり、その分、尿として排出されるため、尿量が増えるという理由もあるそうです。
<尿トラブルを歳のせいだと諦めない!>
「歳だから仕方ない…」と諦めてしまいがちですが、尿トラブルの原因は季節や加齢以外にも色々あるのだとか。そのため、原因をしっかりと見極め、早めに対処することで長く健やかに過ごせるそうです。
尿トラブル(1)「頻尿」
<頻尿について>
先生によると、頻尿の定義は「起きている間の排尿の回数が8回以上」だそうです。一般的な成人が膀胱にためられる尿の量は約500mL。通常、膀胱の容量の半分ほどの200〜300mLで尿意を感じ排尿されます。しかし、頻尿の場合は少ない容量で尿意を感じてしまうため、トイレが近くなってしまうのだとか。その原因として考えられるのは「膀胱の容量が小さい」ことや「膀胱に尿がためられない」ことだそうです。
<頻尿の原因「過活動膀胱」>
頻尿の原因の1つが「過活動膀胱」。過活動膀胱とは、膀胱や神経のトラブルによって、尿の量に関係なく尿意を感じてしまう状態。その原因は、加齢や生活習慣によって生じると言われています。日本では1000万人以上が悩まされ、女性のみならず男性にも多い病気だそうです。先生によると、突然強い尿意を感じる場合は、過活動膀胱になっている可能性があるのだとか。そんな過活動膀胱は、ちょっとした意識で改善できる可能性があるそうです。
<過活動膀胱の簡単改善法「膀胱トレーニング」>
過活動膀胱を改善するには、少しずつ尿をためる時間を延ばしていくことが大切だそうです。そこでおすすめなのが「膀胱トレーニング」。尿意を感じたら深呼吸をしながら他のことに意識を向け、5分程度我慢してからトイレに行くようにしましょう。過活動膀胱による尿意は1〜2分で落ち着く事が多く、尿をためるくせをつければ自然とトイレの回数が減少するのだとか。5分我慢するのが苦でなくなったら10分我慢してみるなど、少しずつ時間を延ばしていくと良いそうです。
尿トラブル(2)「尿もれ」
<くしゃみで起こる尿もれ「腹圧性尿失禁」>
尿もれの原因の1つ「腹圧性尿失禁」とは、お腹に強い圧力がかかった時、尿がもれ出してしまう症状。特に女性に多く、くしゃみや重い荷物を持ち上げる時、階段の上り下りでも尿がもれ出す場合があるそうです。その原因は、尿を調整する筋肉「骨盤底筋」の緩み。骨盤底筋は、産後や加齢で緩むといわれているそうです。
<腹圧性尿失禁の簡単改善法「骨盤底筋を鍛えるエクササイズ」>
(1)硬めのイスを準備
(2)浅めに腰掛ける
(3)脚を肩幅に開く
(4)骨盤が立つように背筋を伸ばす
(5)肛門を引き上げるように力を入れ その後緩める
(6)(5)を10回繰り返し1日5セット行う
冬の尿トラブル(3)「尿が出にくい・残尿感」
<原因(1)前立腺肥大症>
残尿感の原因の1つ「前立腺肥大症」とは、男性の膀胱付近にある前立腺が加齢などの影響で肥大化。尿道を圧迫し、排尿がしにくくなる病気だそうです。
<原因(2)尿道括約筋の緊張>
わたしたちの排尿は、自律神経によって制御されているそうです。脳から「尿を出しては行けない」と信号が出ると、交感神経が働き尿道括約筋を緊張させ、尿がもれ出ないようにしています。一方、「尿を出して大丈夫」と脳から信号が送られると副交感神経が働き、尿道括約筋の緊張が解け、排尿ができるようになっているそうです。先生によると、尿が出にくい原因の1つに、交感神経と副交感神経の切り替えが上手くできず、尿道括約筋の緊張が解けにくくなっている場合があるとのこと。膀胱にも適量があり、尿をためすぎると力が出ないので、基本的には尿をためすぎないことが大切だそうです。
女性の尿トラブル治療
先生によると、女性の「頻尿」や「尿もれ」の治療は薬での治療が中心になるとのこと。さらに、重度の「腹圧性尿失禁」には、メッシュ状のテープを使い、尿道の下側を支えることで尿もれを改善する手術などが行われる場合もあるそうです。
男性の尿トラブル治療
男性の場合、圧倒的に多い病気が「前立腺肥大症」。50代くらいから症状が出始め、軽症も含めると60代で約5割、70代で約6割の人が前立腺肥大症に相当するのだとか。前立腺肥大症の治療は、薬も多数あり、薬でなかなか改善しない場合は手術が行われる場合もあるそうです。
<前立腺肥大症の手術による治療>
前立腺肥大症の手術は、尿道から内視鏡を入れて、ホルミウムレーザーという特殊なレーザーで肥大した前立腺をくり抜くように切除します。その後、くり抜いた前立腺は膀胱内で細かく粉砕し、吸引することで体外に排出されるそうです(※手術方法は病院や症状によって異なります。手術後再治療が必要な場合もあります)。
「前立腺肥大症」の危険度チェック
下記の項目に2つ以上当てはまる場合は、一度泌尿器科で検査を受けた方が良いそうです。
(1)排尿後に残尿感を感じる
(2)排尿後2時間以内にトイレに行きたくなる
(3)排尿中に尿が途切れる
(4)排尿を我慢するのがつらい
(5)尿の勢いが弱いと感じる
(6)出し始めにいきむ
(7)眠っている時に尿意で2回以上起きる
一人で悩まず泌尿器科へ
尿トラブルを「恥ずかしい」「人には言いにくい」と感じる人も多いと思いますが、尿トラブルは加齢とともに誰でも起こり得るもの。一人で悩まず、ぜひお近くの泌尿器科を受診してみてください。
(2025年2月2日(日)放送 CBCテレビ『健康カプセル!ゲンキの時間』より)