「白内障」発症・進行が早い人の特徴…完治できる?白内障発症や進行を早める原因と白内障手術
身近な健康問題とその改善法を、様々なテーマで紹介する番組『健康カプセル!ゲンキの時間』。
メインMCに石丸幹二さん、サブMCは坂下千里子さんです。
ドクターは、さいたま赤十字病院 眼科部長 医学博士 石井清先生です。
今回のテーマは「〜発症しても完治できる!?〜世界が変わる白内障手術」
50代の約半数、80代ではほとんどの人が患う疾患「白内障」。白内障は、目の中の水晶体というレンズが濁る病気。視界がぼやけたり、光がまぶしく見えたりして、長期間放置すると失明する恐れもあるそうです。白内障には原因がさまざまあり、人によって発症時期や進行スピードが異なるのだとか。そこで今回は、白内障の発症が早くなる原因や白内障の手術について専門医に教えてもらいました。
白内障は年を取ると誰もがなる病気?

白内障は、早い人だと40代、50代から発症し、80代になるとほとんどの人が罹ると言われている病気だそうです。
白内障と認知症の関係
白内障は誰もがなりうる病気ですが、進行が遅いからといって放置すると、見えないだけでなく、生活の質が低下し認知症のリスクにもつながります。実際に、白内障の手術を受けている人は、白内障の手術を受けていない人に比べて約29%認知症が少ないという研究データもあるのだとか。先生によると、人間が外から得ている情報の80〜90%は視覚情報だそうです。そのため、白内障で見えなくなると入ってくる情報量が極端に減少。すると、外出をする気も起こらなくなり、認知症がさらに進行する悪循環に陥ってしまうそうです。
白内障が引き起こす代表的なサイン「ぼやけ」「まぶしさ」
モノを見る時、視界に入ったものは光の情報となり、水晶体を通ります。そして、水晶体を通った光は、目の奥の網膜に映し出され、そこに張り巡らされた視神経を通し、信号として脳に伝わることで見ているものが認識できるのだとか。ところが、水晶体が濁ると網膜に正しく映し出されず、正確に認識するのが難しくなってしまいます。すると、視界がぼやけたり、まぶしさを感じたり、細かい色の違いが分かりにくくなるといった白内障の症状につながるそうです。
<白内障によるリスク>
直近1年間に転倒の経験がある人の中で、白内障を患っている人は白内障を患っていない人よりも1.8倍多く、さらに白内障の人は白内障でない人と比べて交通事故が2.5倍多いというデータもあります。白内障自体で亡くなることはありませんが、交通事故など間接的に命に関わることもあるため、決して侮ってはいけない病気だそうです。
白内障発症や進行を早める原因
加齢によって誰もが発症する可能性がある白内障ですが、日常の習慣で発症や進行が早まる恐れもあるそうです。
<ポイントは「水晶体」と「血管」のダメージ>
水晶体は、主に水とたんぱく質でできていますが、白く濁る原因の1つが、そのたんぱく質に異常が起きること。そして、血管は主に目に栄養や酸素を送る働きをしていますが、ダメージを受けると、目に栄養などをうまく送ることができず、水晶体が衰える原因になるそうです。
<白内障発症・進行が早い人の特徴>
(1)外に出る機会が多い
紫外線を目に浴びると、水晶体などで活性酸素が発生します。活性酸素には、強い酸化力があり、体内のウイルスを撃退したりする役割があります。しかし、過剰に活性酸素ができると細胞まで酸化させ、 DNAやたんぱく質を傷つけ細胞の機能低下を招いてしまうそうです。つまり、紫外線を長い時間多く浴びることで水晶体内のたんぱく質が酸化。濁りにつながってしまうのだとか。さらに、長期間にわたり紫外線を浴び続けることも、白内障の発症や進行が早くなってしまうそうです。
(2)喫煙の習慣がある
タバコを吸うと、紫外線を浴びた時と同様に活性酸素が発生するため白内障の発症・進行を早めてしまうそうです。
(3)熱中症になった経験がある
熱中症で体温が上がると、水晶体内の温度も上昇します。すると、水晶体内のたんぱく質が変化し、白内障のリスクが上昇する可能性もあるといいます。先生によると、熱中症にかかった人は、定期的に目の検査を受けてほしいそうです。
(4)血糖値が高いと言われた
血糖値が高いと、水晶体に糖が蓄積し変性しやすくなるため、白内障の発症・進行を早めてしまうそうです。また、血糖値が高いと糖尿病につながります。健康診断で糖尿病に関連する値に異常が見られたら、糖尿病の検査とともに白内障の検査を受けてみてください。
(5)目や目の周りをかく(こする)
目や目の周りをかくと、水晶体を保護している水晶体嚢(すいしょうたいのう)や周りの組織を傷つけてしまうため、白内障発症のリスクを高めてしまうのだとか。アトピー性皮膚炎など、思わぬ原因が潜んでいることもあるため、定期的に検査を受けた方が良いそうです。
(6)強い近視がある
近視の人は眼球が長くなるそうです。眼球が長くなると、本来の硝子体の大きさを超えてしまい、その濃度が薄くなってしまいます。すると、薄まった硝子体を酸素が通りやすくなり、水晶体に酸素が過剰に触れやすくなるため、白内障の発症や進行が早くなりやすいそうです。
60歳を超えたら半年に1回診察を

白内障の検査は、50〜60歳の人は1年に1度。60歳以上の人は半年に1回診察を受けた方が良いそうです。
白内障の発症・進行を遅らせるには?
先生によると、重要なのは生活習慣。そして、活性酸素を抑えるために抗酸化作用のあるビタミンCを摂取しましょう。紫外線を浴びた後だけでなく、外出する前にビタミンCを摂っても、酸化を予防できるそうです。特にフルーツやピーマン、ブロッコリーなどはビタミンCが豊富で活性酸素を抑える効果がありオススメ。また、サングラスや日傘をさすなどの紫外線対策も有効だそうです。
白内障と診断されたら?
先生によると、白内障と診断されたら白内障の進行を抑える薬の処方や手術など、程度に応じた治療法があるとのこと。白内障の手術は一度したら二度とする必要はないそうです(※後発白内障を除く)。
暮らしが大きく変わる白内障手術
<白内障の手術「超音波乳化吸引術」>
「超音波乳化吸引術」は、傷口が小さく手術時間も短いため、目への負担が少ないのが特徴。日帰りでの手術も可能な術式です(※病院によって異なります)。手術は、点眼薬で麻酔をして角膜の縁を2〜3mm切開。そこに細い器具を挿入し、濁った水晶体を超音波の振動で細かく砕きながら吸い出します。切開した部分に人工の眼内レンズを入れたら手術完了。術後すぐは、麻酔や手術中のライトの影響ではっきりとは見えませんが、1週間も経てば、視界がくっきりするそうです。(※手術費用は保険適用です。詳しくは医師にご相談ください)
<眼内レンズは2種類>
眼内レンズは大きく分けて2種類。「単焦点レンズ」は、近くなら近く、遠くなら遠くと、一定の距離にピントを合わせるレンズ。対して「多焦点レンズ」は、いろいろな距離にピントを合わせることができる優れもの。単焦点レンズは保険診療。多焦点レンズは、レンズ次第では自由診療になるそうです。どのレンズにするかは、元の見え方やライフスタイルを基準に医師と相談しましょう。
<気になる人は医師にご相談を>
昨年白内障の手術を受けた人は、日本で170万件。日本の外科手術の中で一番多く、70歳以上の2人に1人が手術を受けている統計もあります。先生によると、術後は手術翌日に診察し、その後は1か月に2〜3回通院。2か月経てばスポーツなども全て可能だそうです。よく見えることで暮らしも変わるので、気になる人は医師に相談してみてください。
(2025年11月2日(日)放送 CBCテレビ『健康カプセル!ゲンキの時間』より)
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