「しびれ」命に関わる病も…原因はどこにある?名医が解明!しびれの意外な原因
サマリーSummary
ドクター:医療法人 聖麗会 聖麗メモリアル病院 脳神経外科 脊椎センター長 稲垣浩
身近な健康問題とその改善法を、様々なテーマで紹介する番組『健康カプセル!ゲンキの時間』。
メインMCに石丸幹二さん、サブMCは坂下千里子さんです。
ドクターは、医療法人 聖麗会 聖麗メモリアル病院 脳神経外科 脊椎センター長 稲垣浩先生です。
今回のテーマは「〜しびれ外来の名医が解明〜真犯人は誰だ!しびれの意外な原因」
「しびれ」はよくある症状ですが、なかには危険な病が潜んでいる事もあるそうです。人によって「しびれ」の出る場所や感じ方は異なるそうで、病名が違っていても症状が似ている場合も多いので原因の特定が難しいケースもあるのだとか。そこで今回は、しびれの原因やその特徴などを専門医に教えてもらいました。
しびれの基礎知識
<しびれの主な原因>
しびれをもたらす原因の1つは、脳と身体をつなぐ神経の障害だそうです。例えば、正座やうたた寝は、身体や頭の重みが神経を圧迫。これが主な原因でしびれを感じるのだとか。先生によると、すぐ治るしびれであれば問題のないしびれである事が多いそうです。
<原因はしびれた箇所以外にある!?>
65歳以上で普段から手足のしびれを感じている人の割合は、74.3%というデータがあります。しびれは、人によって感じ方が異なり、感覚の異常や痛み・麻痺を伴う事もあるのだとか。そして、その原因はしびれを感じている場所ではない事が多く、症状は辛いものの原因が分からず悩みを抱えているケースも多く見られるそうです。
しびれに隠された命に関わる病
<しびれに潜む怖い病気(1)脳卒中>
脳の血管障害である「脳卒中」などが起こると、身体の片側にしびれや麻痺・ろれつが回らない、顔の半分が引きつるなどの症状が出るそうです。このような症状がある場合は、すぐに病院へ行ってください。
<しびれに潜む怖い病気(2)糖尿病>
糖尿病の合併症の一つ「糖尿病性神経障害」がしびれの原因になる事もあるそうです。血糖値が高くなると末梢の血管が傷つきます。すると、血流が滞って末梢神経に栄養などが届かなくなり、神経に障害が出る事があるのだとか。その症状は手や足の指の先端のしびれから始まり、それが徐々に広がってやがて感覚まで失うというもの。さらに、字を書くとしびれによって文字がぶれてしまい、上手く書けないなどの症状も見られるそうです。
手のしびれの原因
<しびれの原因はどこにある?>
先生曰く、しびれの原因で怖いのは脳や脊髄を含めた中枢神経。そのため、しびれ外来では、まず脳に原因があるかどうかを確認するそうです。そして、脳が原因のしびれを除外できた後に考えられる原因には、首にある手指や腕を司る「頸髄(けいずい)」という神経の大元が圧迫されている場合と、そこから出てくる末梢神経が圧迫されている場合があるのだとか。ただし、原因は1つとは限らず複数ある場合もあるそうです。
<手のしびれの原因(1)「脊柱管狭窄症」>
「脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)」は、首の骨の変形などで脊柱管という管が圧迫され、中枢神経に障害が出るそうです。
<手のしびれの原因(2)「頚椎症性神経根症」>
「頚椎症性神経根症」は、首の椎間板が変形して末梢神経に障害が出ます。首の狭窄部分を通る末梢神経は、手の親指と人差し指の先端まで伸びているので、手の親指と人差し指にしびれが発生するという特徴があるそうです。
<手のしびれの原因(3)「胸郭出口症候群」>
「胸郭出口症候群」は、鎖骨から脇を通る神経が肩の筋力低下などで圧迫されて起こるそうです。
<手のしびれの原因(4)「肘部管症候群」>
「肘部管症候群」は、加齢などの影響で、変形したひじの骨が神経を圧迫して起こるそうです。
<手のしびれの原因(5)「手根管症候群」>
「手根管症候群」は、手首の中にある手根管というトンネルがむくみなどの影響で神経を圧迫する事で起こるのだとか。そのため、親指から薬指までがしびれるそうです。
脱水もしびれの原因に!?
脱水による水分不足で末梢の血流が低下すると、神経に栄養が行き届かなくなり末梢神経に障害が出るのだとか。すると、しびれの原因になる事や神経の圧迫によるしびれが悪化する事もあるそうです。
足のしびれの意外な原因「下肢静脈瘤」
下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)は、足の血流が滞り血液が溜まるため、血管が膨らんだように見える病気。神経に栄養が送られにくくなるので、しびれなどの症状が出るそうです(※下肢静脈瘤の症状は個人差があります)。
姿勢が原因でしびれが起こる事も
先生によると病的なしびれの多くは、神経や血管の障害、血流の低下に多くの原因があるとの事。さらに、姿勢が原因で起こる事もあるそうです。注意したいのが軽度の変形性頚椎症いわゆる「ストレートネック」。悪い姿勢が長く続く事で骨や椎間板などに変性が起こります。すると、骨の中を通っている神経やその通り道が狭くなったり、歪んだりして、神経を圧迫し神経のトラブルを起こしやすくなるのだとか。そのため、長時間同じ姿勢が続く場合は、5分おきに伸ばすなど姿勢を変える習慣をつけると良いそうです。
しびれの治療について
しびれで病院へ行く際は、しびれ外来を受診すると良いそうです。近くに見当たらない場合は病院のホームページの診療項目に「しびれ」というキーワードが入っている事もあるとの事。また、脊椎の病気に現れる症状の1つとしてしびれが生じるので、脊椎の治療を行う病院であれば診てくれる可能性が高いそうです。
(2024年3月10日(日)放送 CBCテレビ『健康カプセル!ゲンキの時間』より)