「ダニ」「カビ」あなたの家は大丈夫?...危険な秋のアレルギー!専門家に学ぶ!正しい掃除法や対策
サマリーSummary
ドクター:国立病院機構相模原病院 臨床研究センター 臨床研究センター長 医学博士 海老澤元宏
身近な健康問題とその改善法を、様々なテーマで紹介する番組『健康カプセル!ゲンキの時間』。
メインMCに石丸幹二さん、サブMCは坂下千里子さんです。
ドクターは国立病院機構相模原病院 臨床研究センター 臨床研究センター長 医学博士 海老澤元宏先生です。
今回のテーマは「〜意外な場所に潜んでいる!〜秋のアレルゲンは家の中にアリ」
秋は身体の不調を招きやすいシーズン。その原因の1つがダニやカビなどによる「アレルギー」。日本人の2人に1人は何らかのアレルギーを持っているといわれるなか、1年のうちダニアレルギーを引き起こす原因が最も多くなる季節が秋なのだとか。そこで今回は、家の中の意外なところに潜むダニ・カビを徹底調査!正しい掃除法や対策などを専門家に教えてもらいました。
アレルギーの基礎知識
<アレルギーとは?>
本来無害であるはずの物質(アレルゲン物質)に免疫が過敏に反応し、鼻水・くしゃみなどの症状を引き起こす事をアレルギーというそうです。
<秋の2大アレルギー「ダニ」「カビ」>
先生曰く、秋の2大アレルギーはダニとカビ。特にダニのアレルギー物質は秋に大増殖するのだとか。しかも、ダニアレルギーは大人になってから発症するケースも多く、今は症状がなくても油断は禁物だそうです。
<アレルゲンはダニのフン!?>
先生によると、ダニ自体はアレルギーを引き起こす原因にはほとんどならないそうです。原因となるのは、ほとんどがダニの「フン」。消化のために分泌される消化酵素がフンに混ざってアレルギーの原因になっているのだとか。そのため、ダニの数が最も多いのは8月頃ですが、夏が終わるとダニのフンがカーペットなどに大量に残るため、アレルゲンの量は1年の中で秋がピークになるそうです。
<ダニアレルギーの症状>
先生によると、ダニのアレルゲンが目に入ると目の痒みが出たり、鼻に入るとアレルギー性鼻炎の症状を起こしたりするとの事。さらに、アレルゲンが気管支に到達すると、喘息の発作を引き起こし命に関わる事もあるそうです。
<アレルギー対策は「掃除」が重要!>
ダニアレルギー対策に欠かせないのが掃除。しかし、やり方を間違うと逆にアレルギーが悪化してしまう事もあるのだとか。そのため、正しい方法で掃除を行う事が大切だそうです。
ダニの温床!「カーペット」
カーペットは、繊維1本1本に皮脂の汚れなどの色々な汚れがつき空気中の湿度も吸ってしまうため、ダニが好みやすい環境だそうです。
<掃除のプロ直伝!正しいお掃除のポイント>
(1)掃除機はゆっくりとかける
(2)掃除機は手前に引く事を意識する
掃除機は、前へ進みやすいよう中のブラシが前方に回転するものがほとんどなのだとか。
そのため、手前に引くようにするとカーペットの奥に潜むダニをかき出して、吸い取りやすくなるそうです。
(3)掃除機をかける時は窓を閉める
掃除の前に窓を開けてしまうと、風によってアレルゲンが舞い上がり拡散してしまうため、逆効果だそうです。そのため、窓を開けて換気をするのは掃除の後にしましょう。
キッチンの意外なところに潜むダニ
<まさかの食材にダニ?「七味唐辛子」>
米びつの虫除けなどに使われる唐辛子ですが、虫除け効果があるのは生の唐辛子に含まれる「テルペノイド化合物」という成分。テルペノイド化合物は、乾燥すると効果がなくなるため、食卓に放置すると七味唐辛子にもダニが寄ってくる事があるそうです。
<パンケーキアナフィラキシーに注意!>
お好み焼き粉やパンケーキの粉など小麦由来の製品を不適切な状態で保存していると、ダニが大量に繁殖する恐れがあるそうです。小麦由来の製品についたダニを経口摂取する事で激しいアレルギー症状を起こす事を「パンケーキアナフィラキシー(パンケーキ症候群)」と呼ぶのだとか。パンケーキアナフィラキシーは、呼吸困難などを引き起こし、最悪の場合、命の危険もあるそうです。
<大事なのは保存方法!>
ダニは、袋の外や口の部分についた粉に寄ってきてしまうそうです。そのため、口を閉めた状態でさらにビニール袋に入れて保管するのがオススメ。七味唐辛子などの調味料は、キャップをしっかり閉めて冷蔵庫に保存しましょう。
家の中の意外なところに潜むダニ「本棚」
本棚はダニが繁殖するのに最適な環境。本についた埃などにダニが繁殖し、掃除をしないとダニの温床になってしまうそうです。
<掃除のプロ直伝!ダニを一掃する正しいお掃除のポイント>
まず、軍手を2枚重ねてつけます。その上にストッキングのつま先の部分を切って被せたら準備OK!ストッキングの静電気が埃を吸い寄せてくれるので、手で埃を取っていきましょう。手を使うので、本の細かい段差も楽に掃除できるそうです。
家の中の意外なところに潜むダニ「化粧ポーチ」
ファンデーションなどのパウダー類に人の脂を好むコナダニが発生する事があるそうです。
<掃除のプロ直伝!ダニを一掃する正しいお掃除のポイント>
(1)しっかり洗う
スポンジやパフなどをしっかりと洗いましょう。手洗いと同じで洗う事がとても大事だそうです。
(2)完全に乾かす
湿った状態で片付けると、ダニもカビも増えやすくなるそうです。そのため、洗った後は完全に乾かしましょう。
危険な秋のアレルギー!実は秋に大増殖「カビ」
秋のアレルギーでダニ以外に注意すべきものの1つが「カビ」。秋は、梅雨の時期と温度や湿度が近く、カビが発生するのに適した季節だそうです。
<カビアレルギーの症状は?>
先生によると、アレルギーを起こすカビにはさまざまな種類があるそうです。そのうちの1つ「アスペルギルス」というカビは、目・鼻・気管に影響する事があるのだとか。特に気管支喘息を持っている人は血痰や熱が出たり、呼吸困難になったりなど、重い症状を引き起こす恐れがあるそうです。
<家の中の意外なところに潜むカビ&対策>
カビは、エアコンや水回りだけでなく意外な場所に発生するそうです。それが「玄関」。革靴・スリッパなどはカビの栄養源が豊富なのだとか。さらに、「食器棚」にも要注意。洗った後にしっかり乾かさないまま食器棚に入れてしまうとカビが発生する恐れがあります。カビ対策の基本は除湿!玄関は防湿剤などで湿気を取り、食器はしっかりと水気を取ってから食器棚に片付けましょう。
秋の花粉症にも注意!第3の花粉症「ブタクサ」
春の花粉症はスギ・ヒノキが有名ですが、秋の花粉症はブタクサ・オオアワガエリに注意が必要だそうです。飛散時期は8〜10月で、主な症状はくしゃみ・鼻水・鼻詰まり・目の痒みなど。飛散距離は100m程度と言われているそうなので、ブタクサやオオアワガエリが生息する公園や河川敷などに近づかない事も大切だそうです。
秋の不調は気温のせい?寒暖差アレルギー
<寒暖差アレルギーとは?>
大きな気温差による刺激で、鼻の粘膜の血管が広がりくしゃみや鼻水などの症状を引き起こす事を一般的に「寒暖差アレルギー」といいます。1日に7℃以上の寒暖差があると要注意だそうです。
<寒暖差アレルギーはアレルギーじゃない!?>
寒暖差アレルギーは、正しくは「血管運動性鼻炎」といい、原因がダニやカビのようなアレルゲンではないため、症状は似ているものの厳密にはアレルギーではないそうです。
<アレルギーと寒暖差アレルギーの見分け方>
秋は、花粉やダニなどアレルゲンも多い時期。先生によると、最も分かりやすい見分け方は、目に痒みがあるかどうか。目の痒みや、充血がない場合は寒暖差アレルギーと考えられるそうです。
<寒暖差アレルギーの対策>
寒暖差アレルギーを防ぐためには大事なのは、口や鼻の粘膜を冷やさない事。そのため、マスクをして口や鼻を守る事で症状が出にくくなるそうです。不調の原因はアレルギーなのか、寒暖差なのかをしっかり見分けて対策を行いましょう。
<寒暖差による痒み「寒冷じんましん」>
運動した後やお風呂上がりなど、急激な温度変化による身体の痒みは、寒暖差アレルギーの一種で「寒冷じんましん」と呼ばれるそうです。寒冷じんましんは、急激に体が冷えることで皮膚が刺激され、痒みの原因となるヒスタミンを分泌してしまい、じんましんが出る事。逆に、急に温まると「温熱じんましん」と呼ばれ同じような症状が出るそうです。
<寒冷じんましんの対策>
寒冷じんましんは、体を温めて安静にすると自然に症状が落ち着いてくるそうです。一番の対策は、急激な温度差をなるべく避ける事!寒い場所に行く時は皮膚が出ている首などをマフラーなどで温めて冷たい刺激を防ぎましょう。症状が重い場合は、お近くの病院で相談してください。
(2023年9月17日(日)放送 CBCテレビ『健康カプセル!ゲンキの時間』より)