名医オススメ!“骨”貯金を増やす方法
サマリーSummary
ドクター:伊奈病院 整形外科科長 医学博士 石橋英明
身近な健康問題とその改善法を、様々なテーマで紹介する番組『健康カプセル!ゲンキの時間』。
メインMCに石丸幹二さん、サブMCは坂下千里子さんです。
今回のテーマは「~何歳からでも遅くない!~名医オススメ!“骨”貯金を増やす方法」
骨粗しょう症になると、日常の何気ない行動でも骨折しやすくなってしまいます。さらに、骨が脆くなって骨折すると、寝たきりになってしまったり、死亡率が上がったりする事も分かっているそうです。そこで今回のテーマは、何歳からでも遅くない!「名医オススメ骨貯金を増やす方法」。骨の量を増やして丈夫にする「骨貯金」の方法を専門医に教えてもらいました。
骨貯金とは「骨の密度」
先生によると、骨貯金は「骨密度」で示されるそうです。骨密度は20歳頃が一番高く、その後男性は60歳、女性は50歳頃から骨密度が低下しはじめ、骨粗しょう症になりやすくなるといわれています。骨密度が減って骨折をしないように、貯金のように骨の量を増やしたり維持したりする事を「骨貯金」と呼ぶそうです。
日常生活に潜む落とし穴!骨貯金が減る原因
・骨貯金が減る原因(1)「女性ホルモンの減少」
骨には、骨を溶かす「破骨細胞」と骨を新しく作る「骨芽細胞」の2つが存在しており、約3か月かけて新しい骨を形成しています。ところが、女性の場合は女性ホルモンの減少により破骨細胞が骨芽細胞の数を上回ってしまうため、細胞のバランスが保てなくり骨密度が急激に下がりやすくなるそうです。
・骨貯金が減る原因(2)動かない
骨は、重力に逆らうタテ方向の負荷を加えると、骨芽細胞が活発になるといわれています。
そのため、動かずにごろごろしているような生活を送っていると、骨貯金の減少につながってしまうそうです。
・骨貯金が減る原因(3)カルシウム不足
骨は主にカルシウムから作られています。そのため、魚や乳製品などは骨にとって大事な食材。不足すると骨貯金が減る原因になってしまうそうです。
・骨貯金が減る原因(4)ビタミンD不足
ヒトは、日光にあたる事でビタミンDを生成する事ができます。ビタミンDにはカルシウムの吸収を助ける効果があるため、1日15分程度日を浴びてビタミンDを生成すると良いのだとか。さらに、ビタミンDは魚・きのこ類に多く含まれているので、食べ物から摂取する事でも丈夫な骨を作る事につながるそうです。
~体重が少ないと骨粗しょう症になりやすい!?~
年齢から体重を引いた値が20を超えていると、骨粗しょう症のリスクが高くなるというデータがあるそうです。例えば、年齢70歳で体重45kgの場合は<70-45=25>になるので、骨粗しょう症のリスクが高いといえます。骨は、負荷や衝撃を受けて強くなるため、体重が軽い人よりも重い人の方が、骨密度が高いといわれているそうです。
骨貯金の低下が引き起こす「圧迫骨折」の恐怖
圧迫骨折とは、背骨が潰れるように骨折する事。徐々に骨が潰れていくと、痛みを感じない場合もあるので、知らない間に骨折している事も少なくないのだとか。「昔と比べて身長が3cm以上縮んだ」「最近背中が丸くなった」という人は、圧迫骨折の可能性があるそうです。実際に70代になると男性は10.8%、女性は22.2%の確率で圧迫骨折をしているというデータもあるそうです。
<放置するとさまざまな不調につながる恐れも>
先生曰く、圧迫骨折を放置すると全体的に動きが悪くなる・痛みが続く・転びやすくなる、などの症状が現れるそうです。さらに、肺を圧迫して呼吸機能が悪くなったり、心臓を圧迫して心機能が悪くなったりする事もあるのだとか。また、内臓を圧迫するので食道炎や胃炎などの内科系の病気も増えてしまうそうです。
何歳からでも遅くない!名医オススメ「骨貯金を増やす方法」
・骨貯金を増やす方法(1)「食事改善」
骨の構造を鉄筋コンクリートの建物に例えると、鉄筋にあたる部分がたんぱく質の一種・コラーゲン。その周囲を囲うコンクリートがカルシウムにあたります。そのため、骨貯金を増やすにはカルシウムとたんぱく質が含まれている大豆製品(納豆・豆腐・豆乳など)を日頃から積極的に摂取するのがオススメ。他にもカルシウムの吸収を良くするビタミンDを摂取するなど、バランスの良い食事を心がけると良いそうです。
・骨貯金を増やす方法(2)「運動」
<オススメの運動その1「かかと上げ」>
かかと上げは、骨に体重の負荷がかかり骨を作る骨芽細胞が活発になるそうです。
▼肩幅程度に足を開く
▼かかとを上げて落とす
▼20回を1日3セット行う
≪ポイント≫
ポイントは、つま先立ちの時に背筋を伸ばす事。かかとを落とす時は力を入れすぎないように注意してください。
<オススメの運動その2「片足立ち」>
片足立ちをすると、骨を丈夫にするとともに筋肉も鍛えられるそうです。
▼椅子などの支える物に掴まり 片足を上げる
▼背筋を伸ばして立ち 前を見る
▼左右1分ずつ 1日5~10回
骨貯金を増やすために欠かせない「骨質」
先生によると、骨密度とともに、骨にとって大切なのが「骨質」だそうです。骨質とは、鉄筋コンクリートで例えると鉄筋にあたる部分。成分はコラーゲンなどのたんぱく質です。骨質が悪くなると、たんぱく質が劣化して骨の強度が低下します。すると、骨は脆く折れやすくなってしまうのだとか。そのため、骨質を維持する事も大切だそうです。
<「骨質」が悪くなる原因>
・酸化
酸化は身体のサビといわれ 腎機能が悪い人は骨の酸化が進みやすく骨が弱くなる可能性があるそうです。
・糖化
糖化は、摂取しすぎた糖分が骨などに含まれるたんぱく質と結合し、細胞にダメージを与える事。糖化が進むと、骨が変色して弱っていくそうです。
~自分の骨の状態を知る事が大切~
先生曰く、最も大事なのは自分の骨の状態を知る事。50歳以上の方は、自治体の検診や人間ドッグのオプション検査などで「骨密度」を一度測ってみた方が良いそうです。
(2022年8月21日(日)放送 CBCテレビ『健康カプセル!ゲンキの時間』より)