注意すべき背骨の病気
サマリーSummary
ドクター:埼玉成恵会病院 院長 脊椎外科センター長 長谷川岳弘
身近な健康問題とその改善法を、様々なテーマで紹介する番組『健康カプセル!ゲンキの時間』。
メインMCに石丸幹二さん、サブMCは坂下千里子さんです。
今回のテーマは「~その手足のしびれがサイン!?~注意すべき背骨の病気」
いよいよ冬本番。これからの時期に増えてくる症状が「手足のしびれ」。たかがしびれ…と放置しがちですが、なかには背骨の病気が潜んでいる可能性もあるのだとか。背骨に異常をきたすと、手足のしびれや痛みだけでなく日常生活に支障をきたし、そのまま放っておくと最悪の場合寝たきりや要介護につながる恐れもあるといいます。そこで今回は、注意すべき背骨の病気について専門医に教えてもらいました。
背骨の基礎知識~手足のしびれと背骨の関係~
背骨は医学的には脊椎といい、頸椎・胸椎・腰椎の大きく3つに分かれており、横から見るとS字状にカーブしています。このS字カーブは、人間が2本足で立って歩く時のクッションの役割として頭や上半身を支えているそうです。先生によると、背骨には常に負担がかかっており、老化などによって背骨の病気をより引き起こしやすくなってしまうのだとか。背骨の病気のサインには、手のしびれや足のしびれがあるそうです。
注意すべき背骨の病気(1)「腰部脊柱管狭窄症」
<腰部脊柱管狭窄症とは?>
脊柱管とは、背骨の中心にある神経の通り道で脊髄などの神経を保護する役割があります。しかし、加齢変化によって脊柱管が狭くなると、内部を通る神経を圧迫してしまうのだとか。この神経は下半身に繋がっているため、圧迫が生じると下半身に痛みやしびれが起こるそうです。
<50歳以上の腰痛の最大原因!?>
腰部脊柱管狭窄症は、50歳以上の腰痛の最大原因と考えられ高齢化に伴って増加しているそうです。患者数は推計でおよそ580万人。主に加齢が原因の背骨の老化現象ですが、重いものを持つなど腰への負担が大きい仕事でリスクが上がると考えられているそうです。
<代表的な症状「間歇性跛行(かんけつせいはこう)」>
腰には「馬尾」と呼ばれる馬の尻尾のような形状の神経の束がお尻まで通っています。
そのため、馬尾が障害されると下半身に様々な症状が現れるそうです。代表的な症状は、「間歇性跛行」といって歩くと脚に痛みやしびれが出て歩けなくなり、前屈みで少し休むと、また歩けるようになるというもの。前屈みになると脊柱管が広がって症状が和らぐため、つい放置してしまう人も少なくないそうです。
<頻尿や残尿感などの症状が現れる事も!?>
先生によると、腰部脊柱管狭窄症になると膀胱障害でトイレが近くなったり、残尿感が出たり、ひどくなると失禁する事もあるのだとか。泌尿器科を受診して原因不明とされていた尿の障害の原因が、腰部脊柱管狭窄症という事もあるそうです。
注意すべき背骨の病気(2)「頸椎椎間板ヘルニア」
<頸椎椎間板ヘルニアとは?>
椎間板とは骨と骨の間にある軟骨でクッションの役割をしています。この椎間板の中の髄核が加齢や首への負荷によって飛び出すのが「頸椎椎間板ヘルニア」。椎間板ヘルニアは腰に起こる病気と思われがちですが、首に起こる事も少なくないのだとか。先生によると、20~40代の男性に多く、通常は左右どちらか片側に首から肩への強い痛みが走るのが特徴だそうです。
<椎間板ヘルニアの原因は?>
椎間板ヘルニアの発症には姿勢や動作などの環境要因や遺伝要因、骨の加齢等が関係しているそうです。頭の重さは4~5kgあるといわれており、まっすぐ立っているだけでも頸椎には負荷がかかっているのだとか。スマートフォンを見る時などのように首が傾いた姿勢だと、頭の重さを支えるために筋肉が緊張して頸椎への負荷が増してしまうそうです。
<頸椎椎間板ヘルニアの治療法>
先生によると、ヘルニアは急性期を過ぎると飛び出した部分が自然に消失して痛みが改善する事が多いため、手術なしの治療が基本との事。頸椎椎間板ヘルニアの保存療法には「薬物療法」「頸椎カラー」「ブロック療法」などがあるそうです。
ドクターオススメ!背骨の老化に負けない予防ストレッチ
背骨の病気を予防するためには、ストレッチがオススメだそうです。
<頸椎ストレッチ>
▼姿勢を正しくして椅子に座る
▼あごを引いておへそを見るように下を向く
▼両手を後頭部で組み あごを喉につけるイメージで頭を下に押す
▼1日1回20秒を1セット
緊張した首の後ろの筋肉を緩めて血流を促進し、頸椎への負担を軽くする効果が期待できるそうです。(※痛みやしびれが出る場合は無理をしないで下さい)
<腰椎ストレッチ>
▼仰向けになって片方のひざを両手で抱えゆっくり胸に近づける
▼反対側の脚はしっかり伸ばす
▼反対の脚も同様に行う
▼ 左右共に1日1回20秒を1セット
お尻と股関節の筋肉にアプローチして姿勢を安定させ、腰椎への負担を減らす効果が期待できるそうです。(※痛みやしびれが出る場合は無理をしないで下さい)
~50歳以上の女性はカルシウムの摂取も!~
50歳以上の女性は骨量が減少するため、背骨の健康のためにもカルシウムを摂取する事が大切だそうです。
(2022年12月4日(日)放送 CBCテレビ『健康カプセル!ゲンキの時間』より)