前立腺
サマリーSummary
ドクター:東海大学医学部 外科学系腎泌尿器科学 准教授 医学博士 小路直
身近な健康問題とその改善法を、様々なテーマで紹介する番組『健康カプセル!ゲンキの時間』。
メインMCに石丸幹二さん、サブMCは坂下千里子さんです。
今回のテーマは「~早期発見がカギ!~前立腺肥大と最新がん治療!」
男性だけが持つ大事な臓器「前立腺」。加齢とともに肥大する人が多く、残尿感・夜間頻尿といった症状が出る事もあるといいます。さらに、この30年で前立腺がんになる人が約8倍に増加。2017年には男性のがんの部位別患者数でトップになっているのだとか。そこで今回は、今こそ知るべき前立腺について専門医に教えてもらいました。
前立腺の基礎知識
前立腺とは、直腸と恥骨の間にあり、前立腺液という精液の一部を作る臓器。男性にしかなく、大きさはクルミ大ほど。40歳を過ぎた辺りから、前立腺が肥大する人と萎縮する人に分かれるといわれています。前立腺肥大は、男性ホルモンやメタボリックシンドロームが関係するといわれていますが、明確な原因は不明だそうです。
前立腺肥大症の気になる症状
下記のいずれかの症状に当てはまる場合は、前立腺肥大症の可能性があるそうです。症状がたびたび起きる場合は、一度泌尿器科で相談してみてください。
・尿の勢いが弱い
前立腺は尿道を囲むような場所にあるため、肥大すると尿道が圧迫されて尿が出にくくなり勢いも弱くなるそうです。
・尿が途切れ途切れになる
前立腺が肥大すると尿道が圧迫されるので、尿を押し出そうと力を入れてしまいます。すると、途中で力を抜いた時に尿が止まってしまうので、途切れ途切れになってしまうそうです。
・頻尿
前立腺が肥大すると尿が出にくくなるため、力を入れて排尿するようになります。すると、膀胱の筋肉が異常に発達してしまうのだとか。先生によると、膀胱に余分な筋肉がつくと、尿を溜めにくくなるとの事。さらに、尿が溜まった事を脳に知らせる神経が誤作動を起こしやすくなるため、頻尿になりやすいそうです。
・一晩に2回以上トイレに起きる
・残尿感がある
・尿が我慢できない
前立腺肥大症の怖さ
前立腺肥大症は、結節と呼ばれる良性のしこりが膨らむ事で起きるそうです。そのため、結節がある場合は症状が進行していく恐れがあるのだとか。放置していると、尿道が詰まる「尿閉」、尿が溜まって膀胱に炎症を起こす「膀胱炎」、さらに尿の流れが悪くなると「腎機能障害」など、さまざまな病気につながる恐れがあるそうです。
前立腺肥大症の治療法
先生によると、前立腺肥大症の場合、まずは薬による治療が行われるそうです。悪化して尿閉などの症状が出た場合は、内視鏡を使った手術を行う事もあるのだとか。その場合は、まれに射精障害や一時的に血尿・発熱が起きる事があるそうです。
前立腺がんについて
前立腺がんの患者数は、この30年間で約8倍に増加しています。先生によると、5年生存率は高く、前立腺がん自体での死亡率は低いのだとか。ところが、臓器は心臓から血液を受け取って戻しており、血液が前立腺から心臓に戻る時に背骨の血管を通ります。そのため、背骨に転移しやすいといわれているそうです。
<前立腺がんを早期発見するには>
前立腺がんを早期発見するためには、PSA検査が有効だそうです。PSAとは、前立腺で作られる特殊なたんぱく質で、前立腺がんから多く分泌されるのだとか。現在は全国の各自治体の約8割で実施されており、PSA検査が広まった事で発見率が上がり前立腺がんの患者数が増えた側面もあるそうです。
<一般的な前立腺がんの治療法>
・外科的切除術
(ロボット支援下手術・腹腔鏡手術)
・放射線治療
※転移がある場合は、ホルモン療法や抗がん剤による治療が行われるそうです。
<前立腺がんの最新治療>
東海大学医学部附属病院では、メスを使わないHIFUという超音波治療が行われているそうです。治療は1時間程度で終わり、入院期間は最短で1泊2日ほどなのだとか。ただし、この治療に適しているのは前立腺がん患者のおよそ3割で、前立腺からがんが転移しておらず、前立腺の一部にがんが限局している場合に限られているそうです。
(2022年1月23日(日)放送 CBCテレビ『健康カプセル!ゲンキの時間』より)