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最先端医療

最先端医療

サマリーSummary

ゲンキスチューデント:北原里英
ゲンキリサーチャー:コカドケンタロウ(ロッチ)
専門家:愛知医科大学 医学部 客員教授 医療ジャーナリスト 医学博士 植田美津恵 ほか
医療が進歩すると、安全性が高まったり身体への負担が軽くなったり、患者にとって多くのメリットがあります。そこで今回は、私たちの健康を強力にサポートしてくれるさまざまな最先端医療をご紹介します。

「肝臓がん」の最先端医療

・肝臓がんの治療法「腹腔鏡手術」
肝臓がんの治療法の一つが、腹腔鏡手術。腹部に開けた2cmほどの穴から器具やカメラを入れ、がんの摘出などを行います。傷口が小さく、患者の負担が少ないのが特徴です。しかし、肝臓は見えない場所に多くの血管があり、手術の難度が高い臓器といわれています。患部が見える開腹手術と違い、腹部に差し込んだ視野の狭いカメラの映像を見ながら行うため、医師には長年の経験と繊細な技術が求められるそうです。

~<最先端医療>VRが見えないがんを見える化~
東京都の都立駒込病院では、血管や腫瘍を正確に確認できるVRを使って、手術のシミュレーションに使用しているそうです。さらに、実際の手術の現場にもVRを使用。手術の合間に、モニターに映った肝臓の映像とVRを重ねて見る事で、血管の位置や切除ルートの確認ができるので、手術中のリスク軽減に大きく役立っているのだとか。また、このシステムはインターネットを通じて離れた場所にいても同じ空間でミーティングが可能。世界中の専門家に話を聞き、患者にとってベストな治療法を選択する事もできるそうです。

「変形性膝関節症」の最先端医療

変形性膝関節症とは、膝の軟骨がすり減り、骨と骨が直接当たって痛みが生じる病気。自覚症状がある人だけで、約1000万人もいるといわれています。

・変形性膝関節症の治療法
治療に使われるのは、人工膝関節。方法は、軟骨がすり減った膝の骨を人工膝関節が入る形に切ります。そこに、軟骨の代わりになるポリエチレンの板と金属の関節を入れて完了となります。先生によると、手術で重要なのは骨を正確に切る事。骨を正確に切る事ができれば、正常な膝の人と同じように体重が膝の中心にかかるため、痛みが起きにくくスムーズに膝を動かす事ができるのだとか。この治療法は50年以上に生まれ、年間8万件以上の手術が行われているそうです。

~<最先端医療>誤差1度以下!人工膝関節の救世主「ロボティックアーム」~
人工関節の手術をサポートしてくれるのが最新ロボット「ロボティックアーム」。人によって異なる骨の太さや長さを正確に認識し、切るべき骨の範囲を表示します。さらに、ロボットが筋肉・靭帯・血管などを傷つけないように制御するので、より安全かつ正確に人工関節を設置する事ができるそうです。従来の手術では、骨を切る角度に3度程度の誤差が生じていましたが、ロボットの場合は誤差1度以下。実際に、患者さんのアンケートでは従来の手術よりもロボティックアームを使った手術を受けた人の方が、生活に不自由を感じた人が少なかったのだとか。ロボットが支える安全・安心な医療は現在全国に広がりつつあるそうです。

「変形性頸椎症」の最先端医療

変形性頸椎症とは、背骨のクッションである椎間板が潰れる事で、骨と骨が直接当たって形が変わり、背骨の中の神経が圧迫されてしまう病気。手の細かい動きが難しくなる、階段をうまく降りられないなどの症状が現れます。50代から徐々に増え始めて60~70代に多く、推定患者数は約1000万人。高齢化に伴い、これからも患者数が増加するといわれています。

・変形性頸椎症の治療法
神経が通っている脊柱管を広げる手術を行います。方法は、背骨を切りセラミック製の部品を間に入れて糸で固定すれば完成。骨とセラミックが安定するまで10日~2週間ほどの入院が必要で、退院後も1か月ほど首を固定する必要があるそうです。

~<最先端医療>小さな部品が起こした大きな医療革命~
従来の手術では1ヶ月程度首を固定する必要がありましたが、金属製のプレートを使用する事によって、その必要がなくなったそうです。秘密は、骨の固定方法。セラミックの代わりにプレートを入れ、糸ではなくスクリューで固定します。手術直後からしっかりと固定できるため、退院まで最短で2~3日。多くの人が1週間程度で退院しているそうです。このプレートを考案したのは、1人の医学博士。8年かけて改良や試験を繰り返し、2013年に国の承認を得る事ができたそうです。

がんの最新医療

・大腸がんの早期発見に!AI搭載の大腸内視鏡検査
最新の大腸内視鏡検査では、内視鏡のスコープにAI(人工知能)が搭載されていて、人の目だけでは見落としてしまいかねない初期の小さながんをAIが見つけて教えてくれるものがあるそうです。

・抗がん剤治療の最先端
現在、研究が進められているのが抗がん剤治療における遺伝子解析。遺伝子を解析する事によって、その人に合った抗がん剤を選ぶことができ、より安全で効果のあるものを使えるようになるそうです。

98種類の腹腔鏡手術に対応!最先端の手術支援ロボット「センハンス」

腹腔鏡手術に使われる「センハンス」は、手振れがなく繊細で正確な手術が可能な最新の手術支援ロボットです。その大きな特徴の1つが、操縦機に触角センサーが付いている事。そのため、臓器の硬さなどからより詳細な病変がわかるのだとか。さらに、手術をする臓器以外に不用意に触れるなどの臓器損傷のリスクが軽減できるそうです。センハンスを使って行える腹腔鏡手術は98種類あり、その全てが保険適用で受けられます。

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