井上竜がハマスタ“撃沈”で最下位転落、期待しては裏切られるファンの嘆き節
そうならないといいなと心配していたが、そうなってしまった。井上ドラゴンズは横浜スタジアムで3タテされた。クライマックスシリーズ(CS)の灯(ともしび)は一気に霞んでしまった。(敬称略)
松山が打たれ逆転負け

“守護神”松山晋也が打たれたならば仕方ない。そう言えるのは、シーズン前半の話だろう。ペナントレースも最終盤の今、そんな言葉は当てはまらない。2026年(令和8年)8月30日、ドラゴンズは横浜DeNAベイスターズに9回裏に逆転負け。松山の調子が悪いと見たら、すぐに次の投手カードを切る。それぐらいのことをしても、勝ち切れねばいけなかった後のない重要なゲームだった。8月の終わり、ハマスタでの3連敗は痛すぎる。
節目となりそうな痛恨の敗戦

ペナントレースが終わった時に「あのゲームが節目だった」と言われそうなのが、勝てば今季初の6連勝となった8月27日の阪神タイガース3戦目ではないだろうか。大野雄大と涌井秀章、2人のベテラン先発投手が猛虎打線を抑えて連勝し、この日マウンドに上がった金丸夢斗も素晴らしいピッチングだった。7回表の2死満塁の大ピンチに、4番・佐藤輝明のバットをへし折って抑えた姿には拍手喝采だった。しかし、後を継いだリリーフ陣が打たれて痛恨の逆転負けを喫した。
なぜ代打を出さなかったのか?

この試合は、スタメン出場のジェイソン・ボスラーの後逸や投手リレーの人選など、ファンからも様々な感想が飛び交った。それほど期待は高く注目の試合でもあった。そんな采配について最も大きな「なぜ?」は、代走で途中出場した樋口正修を、1点リードされて迎えた9回裏、2死1、2塁でそのまま打席に立たせたことだ。
樋口は今季、プロ入り初打点を挙げるなど打撃でも頑張っている。しかし、ベンチには、前日の試合で2安打の花田旭、勝負強い田中幹也、そしてベテラン木下拓哉も控えていた。樋口はピッチャーゴロに打ち取られてゲームセットとなった。
同点なければ延長なし
井上一樹監督は敗戦後に、樋口に代打を送らなかった理由について「延長に入った時にどうするかを考えておかないといけない」とコメントした。しかし、同点にしなければ、その先の延長戦はないのである。思えば5月にも、延長で捕手がいなくなるといけないという理由で代打を見送ったことがあった。「勝負どころ」を見誤っていないか。ましてやペナントレースも大詰めなのである。連勝が5でストップした以上の、大きな痛い敗戦となった。
ルーキー花田の起用法

舞台を横浜スタジアムに移して、3位のベイスターズとの3連戦でも、ルーキー「花田旭」の名前がキーワードになる。8月28日の1戦目、スタメン起用された花田は、先制ホームランを打つ。そのバットは好調なのだ。この試合も2安打1打点だった。しかし、あわや完全試合かノーヒットノーランかと思われた高橋宏斗(※「高」は「はしごだか」)が8回に緊急降板して逆転負け。
翌日の試合、前の日にホームランを打った花田はベンチスタートだった。驚いた。他の外野手との兼ね合いを考えたベンチ判断なのだろうが、勢いのある若手を“起爆剤”にできないところに、このところのドラゴンズの残念さが横たわる。本当にもったいない。
最下位という厳しい現実

5連勝の後、タイガースそしてベイスターズに4連敗して、3位のベイスターズとの差は5.5ゲームとなった。「3位と5.5ゲーム差」と言われると、6連勝すれば追いつくかもと思いがちだが、その間には4位の東京ヤクルトスワローズと5位の広島東洋カープがいる。残り22試合、最下位のドラゴンズにとって、見上げる先はとてつもない距離があることを自覚しなければならない。そして、それを招いてしまったと思われる采配の数々の「なぜ?」。ここと言う時に勝ち切れない、それが球団創設90周年を迎えたドラゴンズの現在地だ。

逆転負けの数は34度目となった。今季の負け数のほぼ半分である。一生懸命に応援しながらも、期待することに疲れ、裏切られることに慣れてきてしまった現実。本拠地でのゲームは9月1日からのカープ3連戦を含めて、残り6試合しかない。チケットは完売状態、どうか私たち竜党が納得する戦いを見せてほしい。「なぜ?」はもう要らない。
【CBCマガジン専属ライター・北辻利寿】
※中日ドラゴンズ検定1級公式認定者の筆者が“ファン目線”で執筆するドラゴンズ論説です。著書に『愛しのドラゴンズ!ファンとして歩んだ半世紀』『竜の逆襲 愛しのドラゴンズ!2』(ともに、ゆいぽおと刊)『屈辱と萌芽 立浪和義の143試合』(東京ニュース通信社刊)ほか。











