立浪ドラゴンズに見せてほしい!2年連続最下位から逆襲するパッション(情熱)

立浪ドラゴンズに見せてほしい!2年連続最下位から逆襲するパッション(情熱)

立浪ドラゴンズのシーズンオフが過ぎていく。いつも通りに、そして淡々と。年が明ければ球団創設88周年を迎える長き伝統の中、初の2年連続最下位という屈辱。そこからの脱出は並大抵なことではないと考えるが、ファンとして反撃への“決定打”を見つけることができず、何となくモヤモヤしている。

フェスタよりも猛練習を

本拠地のバンテリンドームでは、11月25日に「ファンフェスタ」が開催された。3万5000人を超えるファンが詰めかけ、選手たちとの楽しい時間を過ごした。3年余りの新型コロナ禍が節目を迎えたからこそであろう。

実は竜党仲間から会場へ誘われていた。所用もあったことから断念したのだが、足が向かなかったことも事実である。2年続けて最下位だったチーム、球場で勝利を見せることができなかった反省に立って、ゲームや余興の代わりに、猛特訓風景を見せてもらってもよかった。最も弱いチームには“寸暇を惜しんでの”練習しかない。グラウンドで見たいのは「勝利」である。

ドラフトも目立たなかった

「サンデードラゴンズ」より草加勝投手と立浪和義監督©CBCテレビ

ドラフト会議も、何だか“淡々と”過ぎてしまった印象である。多くの監督たちはドラフト総括を、普通「100点」と語るが、立浪和義監督は「80点」と総括した。そこには、事前に指名を公表した選手を、クジで逃した誤算もあるのだろうが、即戦力の先発として期待される草加勝投手ら、マイナス20点を埋めることは、今後十分に期待したい。

ただ、ドラフトは「戦力補強」と共に「チームの勢いを世間にアピールする」という、もうひとつ大切な役目がある。そこから考えれば、今回のドラゴンズのドラフトは「最下位から逆襲するぞ!」という熱を、残念ながら発することができなかった印象である。

戦力補強と若返りの行方

チームの戦略補強も進んでいる。現役を引退した選手、戦力外通告を受けた選手、そして契約更新なく帰国した外国人選手、このオフも大勢がドラゴンズブルーのユニホームを脱いだ。

その一方で、百戦錬磨のベテラン・中島宏之内野手や、福岡ソフトバンクホークスで活躍した上林誠知外野手ら、4選手を獲得した。それぞれへの期待もある。しかし、いずれも所属チームを“戦力外”になった選手であり、この2年間「若返り」を合言葉に歩んできたチーム作りとの整合性は、腑に落ちてこない。

プロは結果がすべてであり、杞憂に終わればいいのだが、将来に向けてのチーム編成の軸だけは、ぶれてほしくない。

主力選手の大いなる危機感

「サンデードラゴンズ」より大野雄大投手©CBCテレビ

私たちファンだけではない。2年連続の最下位に、選手たちも相当な危機感を持っている。それは主力選手たちからの発言でも明らかだ。

エース大野雄大投手は「選手だけでなく、がらっと変わらんと勝てない」と、監督、コーチ、そして球団まで名指しした。2000安打を達成した大島洋平選手は、若手の練習量が足りないとして「何のためにやっているのかよく分かっていないと思う」と断言した。選手会長の柳裕也投手は、ファンフェスタでの挨拶で「応援していただけることは当たり前ではない」とチームを引き締めた。本拠地ドームの観客数が増えたからといって、この成績で喜んでいる場合ではない。

最下位脱出への“よほどのこと”

今後、1年前には細川成也選手を獲得して大成功だった現役ドラフトがある。トレードもあるかもしれないし、さらなる選手の補強があるかもしれない。貧打に泣いたチームだけに「打てる外国人選手」の発掘にも期待がかかる。

ただ、1軍が借金26の最下位、2軍も借金37の最下位、そして、いずれも2年連続の最下位である。ここまで弱まったチームを上昇させることは、容易ではない。普通のことをしていては、到底無理である。残念ながら、現状は“普通のこと”を超えるような、驚く変化は見えてきていない。逆襲に向けての、ほとばしるパッション(情熱)が球団全体にほしい。

毎年のことながら、短いシーズンオフはあっという間に過ぎる。3年目を迎える立浪ドラゴンズは、2月の春季キャンプ初日、どんな顔ぶれで、どんな熱量で、屈辱からの一歩を踏み出すのか。しっかり見守っていきたいと思う。
                         
  
【CBCテレビ特別解説委員・北辻利寿】

※中日ドラゴンズ検定1級公式認定者の筆者が“ファン目線”で執筆するドラゴンズ論説です。著書に『屈辱と萌芽 立浪和義の143試合』(東京ニュース通信社刊)『愛しのドラゴンズ!ファンとして歩んだ半世紀』『竜の逆襲  愛しのドラゴンズ!2』(ともに、ゆいぽおと刊)ほか。

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