“今のままでは勝てないよ”低迷する立浪ドラゴンズに落合元監督からの辛らつエール!
【ドラゴンズを愛して半世紀!竹内茂喜の『野球のドテ煮』】
CBCテレビ「サンデードラゴンズ」(毎週日曜日12時54分から東海エリアで生放送)
反響が大きかった予告編
“彼”の影響力は相も変わらず大きいと再認識した。直近2回のサンドラ放送中で予告編を流し、現状のドラゴンズの戦いぶりを評価した内容に多くのドラゴンズファンによるSNSでの発信が散見された。
落合博満・元中日ドラゴンズ監督。
2004年シーズンからドラゴンズを8年間指揮し、2連覇を含む4度のリーグ優勝、そして53年ぶりとなる日本一に輝くなど、チーム黄金時代を作り上げた名将だ。
ふがいない戦いぶりが目立つドラゴンズに今いったい何が足らないのか。今週のサンドラは勝つことこそ最大のファンサービスと答えた過去を持つ落合元監督の独占インタビューを放送。
今でも落合元監督を溺愛するファンが多い中、反対の考えを持つファンも存在するはず。ただしかし、今この状況だからこそ、勝ち方を知り尽くした落合元監督が淡々と口にする“ドラゴンズへの想い”をすべてのドラゴンズファンへ伝えたい。
若手の積極的起用について
立浪ドラゴンズと落合ドラゴンズとの明確たる違いは何か。それは若手の積極的な起用に尽きる。
選手層の薄さからここで若手を起用しなければ未来のドラゴンズはないと感じ取った立浪監督。反対に若手とベテラン、同じ実力なら経験値が高いベテラン起用を実践していた落合元監督。その時の置かれた立場も違えば、戦いの考え方も異なる二人。
まずは落合元監督が感じる現在の若手積極起用法について聞いてみた。
落合元監督「ベテラン、中堅、若手というのでチーム構成すればいいんだけどね、今は若手ばっかりでしょ?それも使ってみなきゃ分からないという。打順の入れ替わりというのも、これがベストだろうと思って入れ替えているんだろうけど、見ていたらまだ試合に出られるレベルじゃない選手もチラホラいないことはないよね。チーム方針としてピッチャーを中心とした守りの野球をやるのか、点を取る野球をやるのか、そこがまだはっきりしていないんじゃないのかな。だから点数取れないと“ここで1本出ておけば”みたいなコメントがあるでしょ。1点も取れなかったら、1点もやらない投手陣作ればいいだけのことでね」
気になるのは落合元監督が野手陣に対し、何を一番言っていたのか。当然打てない時もあったはず。技術論なのか、はたまた気持ちを鼓舞するような言葉を投げかけていたのか?
落合元監督「何も言っていない。自分のやれる仕事をちゃんとしなさい。今できることをやりなさいと。手を抜いたら怒るってね。最低限これくらいはやってくれるだろうなという事をやってくれればいい。最高のモノは求めていない。最低限これだけの事をやれれば試合になる。最高は続かないもん」
ルーキーの起用法
落合元監督「当てはまるかどうかだよ、そのポジションに。その代わり1シーズンは使えない。1シーズン使うだけの体力は無い。だから必ず途中でファームに落として放牧させていたから。リフレッシュさせていたよ」
思い起こせば、今年2000安打達成間近の大島洋平選手、そして野本圭選手、藤井淳志もルーキーから起用されたものの1シーズンフルに一軍で起用されることはなかった。
落合元監督「プロ野球に入ってきて右も左もわからなくて気を使う。色々なところで神経すり減らして、そりゃ体力も落ちてくるだろうし、そこで這い上がってくるかどうかだよ。そのまま沈んでいくのもあるだろうし、リフレッシュして上がってくるのもいるだろうしね」
石川昂弥について
落合元監督「球団がどういう風にしたいかでしょ。レギュラーとして試合に出続けるだけの体力があるかどうか、それで実績を積んでいけるかどうかっていうね。そこでの判断だと思う。まだ何の実績もない選手を4番に据えたわけでしょ。それは首脳陣の考え方であって、ある意味冒険だよな。そりゃ将来的な事を考えての事なんだろうけども、それに見合うだけのものを、彼がこれから作り上げる事ができるかどうかでしょ。本人次第だよ」
チームの4番に座るならば、その覚悟が必要。それは何があろうとも外れる事を非ずと考える事。落合元監督は石川昂選手がインタビュー前日の7月26日の試合に出場していない事に言及。理由が脚の筋肉の張りと知ると、呆れた表情で辛らつに言い放った。
落合元監督「そんなもんで試合休むんだ。筋肉の張りなんてしょっちゅうだよ。練習が足りないって事ですよ。使い続けるなら、腹括らなきゃ。それで悪かったら自分で何が悪いかを考えさせるような指導・教育をしていけばいいんであって…過保護だよ。だったら怪我するまでやらしちゃえばいい。なんで怪我したのか自分でも分かるはずだから」
手厳しいの一言。
プロなんだから身体の管理は自分自身でしっかりするのが当たり前だろ、他人に頼るなという事か。それでは今の若い子はついてこない!なんていう“時代”という言葉で片づけないのがオレ流思想なのかもしれない。
そして核心へと続く。
立浪ドラゴンズへメッセージ
落合元監督「今のままでは勝てないよ。1個ずつ課題を解消していくためにどれだけ練習を積んでいくかという事でしょ。自分のところで何が一番足りないのか。それをどうやって補強していくのかというのは目に見えている。考えられないようなエラーをする。だったら練習させるしかないわけでね。それを実践した荒木と森野がいるわけでしょ。だから彼らに任せればいいんじゃないの。責任は監督がとればいいだけの事であってね。立浪が自分で思うような野球をやって最終的にどうなるかは分からないけどね。まあでも、今のままでは勝てない」
勝つための方法論についてインタビューが取れていたのか否か分からないが、放送で流れたのはここまで。感じたことは、やれる事をしっかりこなす。できなければ代わりの選手はいくらでもいる。レギュラーは力で勝ち取った者だけが手にする権利を持つ。そして少しぐらいの怪我では休まない覚悟がなければ務まらない。常勝チームを率いた将だけに彼の言葉は重い。ただスタジオ解説者で現役当時、三冠打者・落合博満と対峙した山田久志さんはまた違った見立てをした。
山田氏「たしかに落合の言うことに一理はあるけどね。ただ落合が監督を引き受けた時のチーム事情と今ではまったく違う。あの時はセンターラインがバチーンと決まっていたから。谷繁がいて、アライバがいて、センターにはアレックスがいた。投手陣もしっかり整備されていたし、手を付けるところが何箇所しかなかったからね。だからやりくりがいっぱいできた」
落合元監督がドラゴンズを率いる前は山田さんが苦労してチーム立て直しを図り、常勝チームの土台を作り上げたのはドラゴンズファンであれば誰もが知る周知の事実。だからこそ現状の立浪監督の気苦労を一番理解できるのかもしれない。
山田氏「今は若手を使わなきゃ、どうしようもない!いないんだから!(落合元監督就任当初とは)まったく違う!簡単には優勝は狙えないけれど、ただ確実にチームは良くなっている。これは間違いない!」
なかなか良い結果が表れず、最下位に沈むチームにため息すら出ない毎日が続く。来季を見据えた采配をという声も聞く。しかしまだ試合数は残っている。選手たちには、今やれる事はしっかりこなした上で試合に臨んでもらいたい。誰だって負けるために試合をする者はいないはず。これ以上、ドベゴンズと呼ばれて悔しい思いをする子供たちを増やさないためにも、目の前の試合を全力で勝ち切ってもらいたい。
がんばれドラゴンズ!
燃えよドラゴンズ!
竹内 茂喜