“えっ!?平井さんっすか?”寵愛のあまり本音がポロリ!吉見、浅尾ご指名!涙のリクエスト
CBCテレビ野球中継「燃えよドラゴンズ」燃えドラch
吉見一起の“ヨシトーーク”開幕投手のウラ側編
元ドラゴンズの絶対的エース・吉見一起さんの初々しいトークが評判の燃えドラch『ヨシトーーク!』。現役時代さながらの絶妙なコントロールで球界裏話や同僚、ライバル話をビシバシ投げ込む!
おなじみ同級生・浅尾拓也二軍投手コーチをゲストに迎えてのスペシャルトーク!
今回は胴上げ投手のウラ側について語ります!
浅尾オンリー“涙のリクエスト”
吉見さん、浅尾さんは同級生ということもあり、プライベートは別としても一旦ユニホームを身にまとえば、お互い良きライバルのような関係に思えますが…どうも違うようです。
吉見『オレのライバルは…実は自チームにいなくて各球団のエースというか勝ち頭に負けたくないという思いで、あえてそこで投げたいという自分がいたよね。タクが自分のことをライバルというのを人づてに聞いたことがあって、去年ぐらいに』
浅尾『ライバルといっても、競争しているわけではなくて、吉見が頑張っている姿を見て、自分が燃える、そんなライバル。頑張っているからオレも頑張らなきゃなと思わせてくれる感じ。バチバチの関係ではなくて』
吉見『確かに役割が違うからね。もしこれが同じ先発だったり、タクがセットアッパーしていて、ボクが敗戦処理を任されていたら、もしかしたら思っていたかもしれないです』
逆に吉見さんは浅尾さんをライバルではなく信頼するパートナーのように感じていたそうです。
吉見『タク知っているかもわからんけど、ボクは自分の中で“7回まで投げれば何とかなる”っていう思いがあって』
7回終わると、“どうだ?”とお得意の肩を回しながら、森コーチが吉見さんに聞いてくるのが定番となっていた。
吉見『行ける時は“行きます”って言うし、でも9割ぐらいは“もういいです”って言ってた。その時、何回“浅尾でお願いします!”って言ったか(笑)。森さんからは“どんだけ指名するんだ!”って言われてましたね(笑)。ただ一回だけ“今日浅尾と使えねぇ”と言われてことがあって…』
その試合まで三連投の浅尾さん。
しかしそんなことにはお構いなくの吉見さん。
いつも通りに浅尾リクエストをしたものの、この日の森コーチはつれない返事!
“浅尾は使えないから、平井で行く!”
予想もしない森コーチの言葉につい吉見さんは本音をポロリ。
吉見『えっ!?平井さんっすか!』
後から聞けば、吉見さん、なんとも嫌そうな顔をしていたらしい(笑)。
まさに大失言!
その言葉に森さん、思わず“お前!平井じゃイヤなのか!”
吉見『嫌じゃないですが…浅尾が…』
まさになかなか折れないガンコな吉見さんを見せたシーン!
ただそれだけ同級生の浅尾さんを信頼していたという証拠です!
吉見『それぐらい“浅尾でお願いします!”と、指名していましたね。もうライバルという関係ではなかったですね』
しかし、後を投げて欲しいという“指名”なんてできるものなのか?
その疑問に二人は口をそろえて言う。
吉見・浅尾『できないです!』
当時の首脳陣だから叶えられた“涙のリクエスト”だったようだ。
驚異の防御率0.41
一方、浅尾さんは他球団で意識するセットアッパーは存在したのだろうか?
浅尾『うーん、ウチにいる岩瀬さんが凄すぎて。一番手本になる方がいたので。もちろん(巨人の)山口投手や越智投手の世代で刺激にはなっていましたけど、とりあえずそこまでライバルという余裕はなかったですね。他の選手の結果をあまり見ることがないというか』
吉見『打たれてないからね、タクは!』
フリップに書かれているお題目の数々を見て、吉見さんは驚きの声をあげる。
吉見『防御率0.41なんて有り得ない数字ですからね!何点取られたの?まず何イニング投げたの?』
浅尾『自責が4点かな?』
2011年に残した浅尾さんの成績、それはひとえにアンビリーバブルの一言!
79試合に登板し、87回1/3を投げ、なんと自責点は4点!
吉見『すごいなぁ!この数字』
しかし浅尾さんは冷静に当時のピッチングを振り返る。
浅尾『この年はそんなに良くなかったんだよ』
良くない?防御率0.41なのに!?
吉見さんが指名しまくっていた2011年。
この言葉を聞いて、“どこが良くなかったんじゃい!”と突っ込む方は多いことでしょう。
まあ、ここは浅尾さんの話を聞いてみましょうか。
浅尾『塁上にランナーがいる時に出て行って、結構打たれているんですよ。だから自分の中では良い印象があまりないですね』
とはいえ、過去に防御率0.41という驚異の数字を残した中継ぎピッチャーは誰一人として存在しない。
2000年以降、50試合以上投げた投手を見ても、当時絶好調だった阪神・藤川、巨人・山口ですら、0.6以上の数字しか残せなかったのだ。
まさに浅尾さんは無敵のセットアッパーだったのであった。
心苦しかった守護神への思い
無双ともいえるこの年、浅尾さんはリーグ優勝の胴上げ投手も務めたことでもドラファンの記憶に残っているはずだ。
最後のバッター、筒香を三振に打ち取りゲームセット!
さぞかし優勝が決まった瞬間は嬉しかっただろうと思いきや、これまた浅尾さんの気持ちは防御率0.41同様、クールかつ複雑なものだった。
浅尾『嬉しかったですね。その試合ダメだったら、あと2試合しかなかった。決めないとヤバいと思って、(9回2死)に森コーチがマウンドに来て、“岩瀬さんに代わる、代わらない”みたいなやりとりがあったんです』
“行け!”
マスクを被っていた谷繁さんと森コーチが続投を決め、最後を締める形に。
当時、守護神である岩瀬投手の調子が芳しくなく、浅尾さんが代わりに抑えを任される場面が一度や二度ではなかったため、この日も好調を維持していた浅尾さんに締めの指令が下されたのであった。
吉見『優勝決まった瞬間、岩瀬さんが嬉しくなさそうな顔しているのを鮮明に覚えている』
浅尾『ボクも心苦しかったですね。根に持つ人じゃないですけど、その顔が印象に残っていますね』
守護神としてマウンドを守り続けてきた岩瀬。
さぞかし不甲斐ない一心で躍動する浅尾さんの勇姿を見つめていたに違いない。
後編へ続く
(竹内茂喜)