イバケンコンビ声高らかに宣言!“孝介?狙うはレギュラーしかないでしょ!”天才バッターは天邪鬼ばかり!~福留孝介後編
CBCテレビ野球中継「燃えよドラゴンズ」燃えドラch
川上・井端のすべらない話シリーズ 福留孝介編
ドラゴンズ黄金時代を支えた投打の両輪でもあり、97年ドラフト同期でもある川上憲伸、井端弘和が、グラブからマイクに代え、イバケンコンビを結成!燃えドラchというフィールドで球界裏話や同僚、ライバル話を大放出!
大好評の川上・井端のすべらない話シリーズ、福留孝介の後編!前回思いもよらぬ井端さんのぶっちゃけ発言に思わずびっくり!さて、今回もひと波乱ありそうな予感…。
札幌ドーム第一号での裏話
福留のバンザイエラーで締めた前編。
実はこれ憲伸さんによる後編へとつなぐサインだったようで…。
川上『孝介は広島のサヨナラバンザイエラー、あれからいったような気がするね。孝介の時代っていうのはね』
井端『完全に外野へ行ったのは山田さんの時だよね。佐々木さんがヘッドでやられてね』
川上『そうだね。外野転向して、バッティングに集中できたのかな。最初の頃はチャンスにはそんなに強くなかったってイメージだったけどね。ピッチャーだからよく分かるじゃん。初めの頃は結構“ここで!”って言う時に応えてくれないなっていう感じはあったんだけど(笑)』
入団当初からそれなりに打っているイメージがあったものの、たしかに外野へ転向してから水を得た魚のようにチャンスの場面でしっかりと期待に応える強打者へ成長した福留。そして話題は記録の話へ。
川上『孝介は何かのね“第一号”だとか、何とかの球場での“第一号”とか記念となる一発を打った覚えがあるよね?』
井端『札幌ドームね!その時、一番福留、二番井端だったの。相手のピッチャーはダリル・メイ!あの時、第一号ホームランを打つと賞金が100万出るとか出ないとか噂があったでしょ?オレなんかホームラン打てるわけもないし、興味がなかったからそもそも詳しく聞いてなかったけど、いきなり初球からドカンと右中間にホームラン打ったよね!』
遡ること20年前、2001年6月26日、札幌ドームで行われたプロ野球公式戦こけら落としの巨人対中日戦。1回表、左バッターボックスに立った福留が、巨人先発メイ投手の初球を右中間スタンドに見事に叩き込む「初回先頭打者本塁打」で華々しく幕を開けたのだ。
井端『次、オレの番じゃない。ヒット打ったの、センター前に。そうしたら一塁ベース上で清原さんかな。もう完全にね…シラけていた(笑)。巨人の選手はみんな狙っていたんだって!』
川上『そりゃそうだよ!』
井端『セカンドに行ったら、二岡が“みんな狙っていたのに…”って言うの。オレが言うのもなんだけど、ゴメンねって感じだったね』
川上『まあ、そういう読めない部分…まあ、読むこともないのだけど、普通は(笑)』
井端『いまだに札幌ドームの第一号ホームランが当たった場所にはプレートなんかがあるんでしょ?』
川上『そういう場面に強いイメージがあるよね!彼は』
今でも札幌ドーム右中間スタンドの座席(111通路20列147番)の床には、福留の名前を記した記念プレートが設置されている。
集中した時に見せる福留の“凄み”
そして話は本格的に外野へコンバートされた2002年へ。
この年から佐々木“ヨッシャー!”恭介氏が一軍打撃コーチとして入団。二人三脚での打撃フォーム改造に着手したところ、急激に打撃力がアップ!巨人・松井秀喜と首位打者争いのデッドヒートを繰り広げる活躍を見せていった。
井端『すごいなって思ったのは、世の中の流れが三冠の松井さんに集中していたでしょ?二冠はほぼ確定で、あとは打率だけっていう時にさ、二人とも3割3分3厘で競っていた』
当時、シーズンも終盤も終盤、2002年10月2日時点で巨人・松井秀喜は.335、かたや福留は334と、厘差の争いを演じていた
井端『松井さんは伸び悩んでいたのに、孝介は巨人戦で3本ぐらい立て続けに打って、一気に3割4分ぐらいに乗せたよね。それでそのまま逃げ切った。当時、世の中的には松井さん三冠で、さあメジャーっていう流れだったよね?』
川上『正直、全国のファンの方は“松井さん三冠王”を願っていたと思うけどね。そういうところで奪い取るっていう』
井端『あの時の集中力っていうのは見事だったね!その次の年ぐらいから、さらにレベルが上がっていったじゃん』
川上『ホームランも増えたよね』
井端『30本打った。3割30本100打点ぐらい残したと思う』
川上『もともと守備はね、肩も強かったし、フェンス際もね…ぶつかるんだ、そしてコケるんだ(笑)。よくフェンスにぶつかって、孝介はコケていたイメージがある』
褒めて、落とす。なかなかできない芸当。
さすがトークのキレがカットボール級の鋭さ!
井端『結構激しく当たっていたよね』
川上『激しく当たって、よくパワプロである“ピヨピヨ”ってなってた感じ。あのピヨピヨって孝介が作ったんちゃうかな!(笑)』
ピヨピヨって(笑)。でも言いたい意味は良く分かる!
典型的な負けず嫌い
川上『あと孝介ってさあ、他の人がなかなか打てない球とか投げているピッチャーがいても、“全然速くないっすよ。チェンジアップ投げているかと思ったスよ”とか、平気な顔で言ってたこと覚えている』
井端『分かる!分かる!分かる!』
川上『分かるでしょ?三振してもそんなこと平気で言うの!』
イメージあるわぁー。福留が言いそうな感じ!
井端『まだ3番に固定する前、一番福留、二番井端の並びの時で相手ピッチャーは巨人の木佐貫がプロ初登板で三振したの。カウント3-2から高めの真っすぐを。オレもね、見た目150キロぐらい出ていたから、孝介に“球、来てんの?”って聞いたの。そうしたら、“イヤ…全然っス”って』
川上『絶対言うよね!(笑)』
井端『球、来てないのかぁと思って、初対戦だし、オレも初球から真っすぐきたら打ってやろうと思っていたらめちゃくちゃ速くて、“来てんじゃん!”って心の中で叫んだもんね!(笑)』
そんな典型的な負けず嫌いである天邪鬼・福留の思い出話が弾む中、イバチンの頭の中にはもう一人、ドラゴンズ史上でも大物といえる天邪鬼スラッガーの顔が浮かんだようだ。
井端『憲伸に問題出していい?そんな孝介と同じ人がもう一人いた。誰だか分かる?』
川上『ドラゴンズ?分かる!』
何っ!?あまりにも早いぞ!早すぎるぞ!そんなに簡単な問題なのか!?
川上『なんでオレ分かるか知ってる?ナゴヤドームってさあ、ピッチャーは一塁側の奥の方に座るじゃん。後ろの方に。先発ピッチャーって、気になるのよ。今日の先発ピッチャーって、打てるんかな、打てないのかなって。そしたら和田さんとか…』
驚きの顔が“オー!正解っ!”と言っているように見える井端さん!
川上『言ってもうたっ!(笑)』
井端『そう!当たり!』
天邪鬼は天才バッターの共通点
意気揚々と正解の答え合わせを述べる川上さん。
川上『和田さん、前に座っているじゃん。三振してベンチに帰って来た時も、“全然球来ないしさ”って。その後、オレも打席が回ってくるじゃない。和田さん助言とかしてくれるの。“ケン、真っすぐ全然来てないぞ”って。“ホントっす?”ってニヤニヤして打席入って、イチニ、サンって振ったら完全なる振り遅れ(笑)』
そんな福留、和田さんと対称的なのが荒木現一軍守備コーチだそうで。自分の世界、そう荒木ワールドに入ったら、何も見えなくなるそうです、ハイ。
井端『荒木の後に打つことが多かったから、ボールが来てるかと来てないかとか聞きたいじゃん。初球にポップフライでアウトとか、三振とかで帰ってきたりすると、アイツふてくされているから。オレが3回くらい聞き直しても横を素通りしてくの。“もう少し冷静になろうよ”って(笑)』
川上『全然情報伝達ができてない』
荒木コーチ話は一瞬で終わり、再び話は和田さんへ。
ていうか、福留話はどうしたの?(笑)
井端『和田さんより打順が先じゃない?“イバ、球来てんの?”とか聞かれるの。“来てますよ!”って答えるの。和田さんの打席が終わり、守備位置に着く時、ショートとレフトって同じ方向に走っていくじゃん。そうしたら和田さんが言うの。“全然来てねぇーじゃん!”。こっちは“えーっ!”だよ。逆に打った時は…』
揃って、ふたり声を合わせて
『来てるね!って言うんだよね!(笑)』
井端『そういう時、内野のオレ、森野、荒木は“和田さんが言っていることは真逆だろ”って話してたんだよね!打ったら、来てる。打てなかったら来てないというから、ホント!』
川上『孝介もホントあるよ、そういうところ。キャンプ中にブルペンで投げていたら、キャッチャーの近くに現れて、“ケンさん、いいっすか”って言って、バット持って立つの。インコースにカットとか何球も投げて、こっちはビシっ!といいボールが行ったなあと思っていたのね。そうしたら孝介、何て言ったと思う?“ケンさん、いつカット投げるんすか?”って』
マウンドの土にめり込むくらいにコケまくったという憲伸さん。
川上『こっちはまあまあ自信持って投げてるっちゅうの!カットはオレの代名詞やん!』
もうそれ以来、福留がブルペンで立った時はカットを投げなかったというから、大人気なさもタイシタもの!
川上『二度と投げるか!と思ったもん』
井端『そうでも言わなければ、自分自身が不利に働くとか思っちゃうんだろうね』
川上『そうかなぁ。ホントはそう思ってんじゃない?』
突然、福留と和田さんの共通点があることに気づく憲伸さん。
川上『あの二人って、人が打てない球打つじゃない?』
井端『打つね!』
外角の飛んでもない高い位置に指をさす憲伸さん。
川上『こんな高い球を大根切りみたいに打つしさ、また地面這うようなスイングで打ったボールがヒットではなく、ホームランになるじゃない』
井端『うちらの次元に合わせて振ったら、打てないと思ってるのかな』
川上『うん、たぶんそういうレベルの人だと思うんよ』
井端『初球から藤川球児が投げた最高のフォークをセンター前に打ったりとかね』
川上『そう!そういうこと。球児からは甲子園でセンターバックスクリーンへホームラン打ってたしね』
井端『球児の頭付近を抜けて、一直線で入った!』
川上『もう、まるで漫画のドカベンの世界!思わず球児、しゃがんだもんね、あの時!あれはタイロン・ウッズもびっくりだったホームランだったよ、あれは!』
今でもYouTubeで“和田 藤川 ホームラン”と打つで見られる伝説のホームラン。まさに弾丸ライナー!一直線!何度見ても驚愕する一発である。
狙うはレギュラーのみ!
川上『和田さんと対決しているのね、オレ。ピッチャーって、ボールをリリースした瞬間、これはホームランにされるなって分かるんだわ。投げた時、“この球は見逃すだろう”と思ってホームラン打たれたのは和田さんとセギノールぐらい。セギノールなんか、ひじに当たるんちゃうかなと思った球を!』
井端『あれ上手くさばいたよね!スリーランだったよね。和田さんもえらいインサイドだった。西武ドームでしょ!ひじをたたんでライナー系のね!』
そういえば和田さんはドラゴンズへ移籍する前、日本シリーズの大事な場面で憲伸さんから価値ある一発を放っていましたねぇ。
セギノールも日本一に輝いた2006年の札幌ドーム初戦で喰らったっけ。
ドラゴンズファンにとっては思い出したくもないホームランの数々…。
川上『和田さんとセギノールと孝介はなんか辿っていくと共通点があるかもしれない。神がかった何か。今どちらかというと、ドラゴンズの野手って、想像外の打撃をする人っていないよね。孝介はたぶん教えるというより。見て盗めよ状況になっていると思うのよ。若い選手とかがね』
井端『左多いしね』
川上『根尾クンだとか』
井端『岡林とか。京田も若い。周平だってまだ見習う点があるだろうしね』
川上『ボクらからすれば期待したいけど、本人は全くそんなことないと思う』
井端『レギュラーですから!』
川上『レギュラーしかない!』
福留というスラッガーを知り尽くした二人だからこそのシュプレヒコール!
レギュラーを奪い取った時、彼のインタビューが早く聞きたい!
そして普通に“当たり前ですから”と素っ気なく返答する福留の天邪鬼ぶりが見たいぞっ!
(竹内茂喜)