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まさに的確アプローチ!名手井端をレギュラーに導いたミスタードラゴンズの一言!伝説・立浪和義後編

まさに的確アプローチ!名手井端をレギュラーに導いたミスタードラゴンズの一言!伝説・立浪和義後編

CBCテレビ野球中継「燃えよドラゴンズ」燃えドラch
川上・井端のすべらない話シリーズ 立浪和義編

ドラゴンズ黄金時代を支えた投打の両輪でもあり、97年ドラフト同期でもある川上憲伸、井端弘和が、グラブからマイクに代え、イバケンコンビを結成!燃えドラchというフィールドで球界裏話や同僚、ライバル話を大放出!

大好評の川上・井端のすべらない話シリーズ、『伝説 立浪和義』後編!今回は井端さんをレギュラーに導いた一言がさく裂するぞ!

井端の野球人生を決めた一言

CBCテレビ野球中継「燃えよドラゴンズ」(C)燃えドラch

球団記録となる通算2480安打、そして487二塁打の日本プロ野球記録を持つ立浪和義さん。打撃の達人が臨時ではあるものの、来春キャンプに打撃コーチを務める。ドラゴンズファンにとってこの上ない朗報となった。そんな唯一無二ともいえる立浪さんのバッティングについて、思い出を語った。

川上『試合前の練習中、ボクら投手陣は外野でバッティング練習見ていたんだけど、立浪さんだけ独特のバッティング練習をしていたよね。平沼打撃投手(現一軍用具担当)のハエが止まるんじゃないかというぐらい遅いボールを引き付けて確実に芯で捉える練習。あれは普通の人にはできない芸当だったよね』

井端『遅い球だから我慢して打たないと力が伝わらない。自分の身体がどう動いているかと確認作業しながら打っていたと思うよ』

興味あるのは井端さんの現役時代、立浪さん本人から実際に教えてもらったことがあるのかないのか。
実のところマンツーマンでの指導はなかったという。
ただしウェイティングサークルでかけられた忘れることのできない一言があるようだ。

井端『3年目、試合に初めて出て、2番ボク、3番が立浪さん。チャンスで回ってきて、ピッチャーは讀賣にFA移籍したばかりの工藤さん(現ソフトバンク監督)。突然立浪さんが近づいてきて、“オイ、真っすぐ1、2、3で打ってこい!”って言われてね。本来なら初球からその難しいコース振らないだろっていう、アウトロー低めのストレートが来たの。でもその時は立浪さんに言われたから、打たないとじゃなくて、見逃しちゃいけないという気持ちが強くて、もうがむしゃらに』

川上『とにかく追い込まれた状況だったわけね』

CBCテレビ野球中継「燃えよドラゴンズ」(C)燃えドラch

井端『それが初めて立浪さんと会話したぐらいだったの。こっちが聞いたわけでもなく、立浪さんからアドバイスもらったから、“よぉーし!いったろ!”ぐらいの気持ちで挑んだら、ヒット打てたの。そこでタイムリー打ってから、試合に出られるようになった。今から思うと、その後押しが本当に必要だった』

まさに的確なアドバイス!
井端さんの野球人生を好転させた“一声”。
この話を聞くだけでも“指導者”として、かなりの腕利きであるのは間違いない!

川上『来年の沖縄キャンプで臨時コーチされるってことで、バッターはかなり変わってくるんじゃないかと。野球には関係ないけど、立浪さんってゴルフの時にアドバイスくれるのよ。これがまたスゴい的確で。人のこと見ていないようで見ていて、必要以上にしゃべらないんだよね。ある程度見て、ここだけは言わないといけないなということをポツリと言ってくれた。そこがまたなかなか自分のクセの中で一番苦労していることをついているわけ。同じ解説者でやる時も、立浪さんの解説を聞いていて“あぁ、そういうことか”と本当に勉強になる。“オレも今から野手やってみようかな”って思うことがあるもん』

人には見せない隠れた努力

CBCテレビ野球中継「燃えよドラゴンズ」(C)燃えドラch

現役当時、何をするにもとにかく練習で力をつけ、レギュラーの座をモノにした井端さん。ただ立浪さんは練習をガツガツとこなすことなく、涼しい顔してヒットを打ち続けていた印象が強いようだ。

井端『立浪さんって何がびっくりしたかというとバントが上手い!バントの練習している姿、一回も見たことないし、試合でも滅多にやらない。ただここという時にサインが出るわけ。こちらとしてはバントした姿見たことないから、“大丈夫かな?”と思うわけ。でも、なんなく涼しい顔で決めちゃうの』

川上『センスだよね!』

井端『こっちは必死に練習して上手くなっていったのに』

川上『イバなんて、生涯バッティング練習のうち、半分以上が右打ちとバントじゃないの?』

井端『あとファウル?(苦笑)プロ野球入って、当時の仁村二軍監督(現在もドラゴンズ二軍監督)に“お前はファースト方向へのファウルフライを打つ練習してろ!”って言われた時、この人、何言っているの!?と思ったもん』

井端さん曰く、立浪さんほど練習している姿を見せない人はいないという。ただし練習をしないわけではなく、きっと陰で個人練習をしっかりこなしているだろうと。どこでやっていたかはいまだ謎のベールに包まれたままらしい。

CBCテレビ野球中継「燃えよドラゴンズ」(C)燃えドラch

今でも忘れることのできない井端が驚いた話。
井端さんが一年目とか二年目の二軍時代、立浪さんが故障して二軍落ち。普通、二軍の練習に参加すると思ったものの、一度も姿を見せなかったとか。
一週間ぐらい経った時、明日から立浪さんが一軍に上がる前に試合に出るらしいと耳にした井端さん。
場所は当時、二軍が使用していた阿久比球場。

井端『立浪さん、ブォーンと車でやって来て、2番セカンドで登場してカンカンカーンと3本ぐらいヒット打って、即一軍登録!“この人スゲーな!”と思ったもん』

川上『練習してないわけないからねぇ。でもたしかにガンガン打ち込んでいるとか、指に豆ができているとかないからね。手袋も常に新品っぽい。他のバッターなら、松ヤニとか手袋についていて色が変わっている人が多いけど、立浪さんは常に新品っぽかったもん』

井端『練習こなさなくても、それぐらい形ができていたっていうことだね。高校の時ぐらいから』

現役時代、決して他人には個人練習を見せなかった立浪さん。
ただ代打として一振りで勝負を決めていた晩年には井端さんに気を許したという。

井端『唯一の思い出として、遠征の時、立浪さんはいつも別階だったでしょ?最後の頃、同じ階にさせられたの。当時、立浪さんは代打で起用され始めたくらい。ご飯食べに行って、帰ってきた時、“ちょっと付き合え”っていうので、3カードのうちの1回2回ぐらいはホテルのエレベーター前でスイングチェックしていたのを見た』

川上『個別練習といっても、ただそれだけじゃないと思うけどな』

井端『部屋で振るっていっても、心おきなく振れないけど、エレベーター前なら、エレベーターが鏡になってバット振る姿が映るし、良い練習になったと思うよ。誰かが来ても大丈夫なようにオレがチェックしながら、“ちょっと見てくれ”とか“どうだ”とか言われたね』

最後は笑い話で締めるのがイバケン!

CBCテレビ野球中継「燃えよドラゴンズ」(C)燃えドラch

憲伸さんから見た立浪さんの印象、それは一番三振が取りづらいタイプ。
味方の立場からすれば、彼ほど期待に応えて打ってくれるクラッチヒッターはいなかった。

川上『たとえば1アウト3塁とか、1塁3塁の場合、ゴロになると1点入る可能性がある。ピッチャーとしては三振が取りたい。でも12球団で一番三振か取れないバッターじゃないかなと、同じチームにいながら思っていた。だからチャンスの時は常に打ってくださいと思っていたよね。どんな速い球でもリキむことなく打ち返してくれたよね』

前編、後編ここまで大先輩・立浪さんということで、遠慮してか得意のお笑いトークがさく裂しないおふたり。
しかし、期待を裏切らないのがケンチン・カワカーモ!(この呼び名については、川上・井端のすべらない話シリーズ メジャーリーグ編を参照下さい…笑)

川上『余談だけど、キャンプの時、ブルペンに突然やってきて、“ケン!(打席に)立っていいか?”って言われて。もちろん断れないから、でもその日は本当のこと言うと、ストレートを投げ込む日だったの。でも“ケン!悪いけど、カットボールをインコースに投げてくれ!”と言われて』

大先輩の無茶ぶりな要求に心の中とは真逆のキラキラした笑顔(きっと)で応えたであろう憲伸さん!

『“ケンはコントロールええからなぁ”と言って、ベース付近にどんどん近づいてきて。万が一、立浪さんの足にボール当てたら大変やと思って、あの時カットボール投げた緊張感はとんでもなかったね!』

そこで瞬時に考えた!
投げる球をカットではなくストレート系にこそっと変えた憲伸さん(笑)。

川上『そしたら立浪さん、“これがカットか!ケンわかった!”って言って帰ったけど。オレからしたらほぼほぼストレートだったわけで。“えーコントロールしとるわぁ”って言ってくれたけど、これ以上、曲がらんように曲がらんように投げてたよ』

是非来春キャンプ、ぶらりとブルペンにやってきて、“打撃の達人”としての目で大野や柳の球をチェックしてもらいたいですね!
また根尾、石川、岡林ら、若竜たちへ、ミスタードラゴンズの遺伝子をたっぷりと注入してくれることを切に願います!

(竹内茂喜)

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